組織としての成長がユーザーの期待に応えるサービスにつながる
〜モバイルオーダーサービスエンジニアインタビュー〜

CLIENT
エームサービス株式会社
一般的にも普及してきたモバイルオーダーサービスですが、NECネッツエスアイが提供する「モバイルオーダーサービス」は誰でも気軽に利用ができるLINEを先駆けて採用。スタジアムなどスポーツ観戦施設を中心に展開しています。
今回は、開発を担ったエンジニア2人に開発のエピソード、そして今後の展望を聞きました。
左:DXビジネス推進本部 先端技術開発グループ 大谷 洋平
右:DXビジネス推進本部 先端技術開発グループ 渥美 孝輔
※2022年3月現在の所属です。

LINEを他社に先駆けて採用し、利便性を向上
―モバイルオーダーサービスはどのようなサービスですか?
渥美:モバイルオーダーサービスはスマートフォンから事前注文・キャッシュレス決済ができる商品の注文サービスです。お店の行列・待ち時間を解消することで、顧客の体験価値向上、密回避、軽減することで、店舗の回転率向上、店舗の運営効率化を実現しています。

大谷:当時の競合サービスは、注文のインターフェースとして専用アプリを使用している企業が多かったのですが、NECネッツエスアイでは他社に先駆けてLINEを採用しました。日本で1番利用率が高いチャットサービスであり、端末を問わず使えること、そしてインストールのハードルが低くすぐに利用できる点が採用のポイントになりました。
関係者とのコミュニケーションを大切に、実証実験を重ねサービスを改善
ー開発のプロセスについてはどのように進んでいきましたか?
大谷:モバイルオーダーサービスの開発は2019年度から始まっています。当初は、NECネッツエスアイが展開する「デジタルタウン」というまちづくりソリューションの中で挙げられていた「地域活性化」というテーマからから始まった企画でした。
スタジアム向けに飲食サービスを提供している企業様とタッグを組んで、スポーツICTサービスで地域を盛り上げるプロジェクトとして始まっています。

開発にあたっては実証実験を繰り返し、徐々にサービスを改善して本格導入に至りました。
実証実験は2019年度の横浜スタジアムからスタートして、まずは一部の会員方向けの座席を使って実験をさせていただきました。
当時はiOS限定で、まだLINEではなくApple Business Chatを使っていましたし、決済方法も現金のみ。商品もお店の方が座席に運ぶ体制で、まずはスマートフォンから注文できるというだけで始まりました。
そこから2020年度は京セラドーム大阪での実証実験。ここでは対象も一般顧客に広げての実証実験となりました。
この頃にはLINEを採用したシステムで、クレジットカードの事前決済も導入されていました。15分ぐらい経つとお客様に通知が来て、お店に取りに行っていただくような仕組みです。
ここで高評価をいただき、本格的にサービス化に向けて動き出すことになります。
アンケートの結果から、注文の選択方法・クレカの情報入力方法といった操作性の向上や、決済方法の拡充、調理完了の通知の機能など…細かい部分までサービスをブラッシュアップし、2021年度から本格的に導入がスタートしています。

渥美:私達2人は2020年度からプロジェクトに参加し、ちょうどLINEを導入する頃から関わっています。大谷がプロジェクトマネージャー、私が開発リーダーとして動いています。
開発メンバーが若手中心であったり、iSGM*1のメンバーに参加してもらっていたため、NECネッツエスアイとしての品質の担保といった点には意識して取り組みました。
そうしなければならない理由や例を提示した上で指示をするなど、コミュニケーションに工夫をするようにしていました。
*1 iSGM:ICT Star Group Myanmar。ミャンマーに所在するNECネッツエスアイの海外現地法人。
大谷:モバイルオーダーサービスは「そもそもどういったモノを作るか」というのを考えなくてはいけないですし、その全体像をきちんと伝えて作ってもらう必要があるので、そこには苦労していましたね。
そこで渥美が作業開始前の意識合わせや、「こういうふうにやろう」という整合を取るという点を意識してやってくれたので、どんどん連携がスムーズになっていったなと感じています。
サービスへの反応はもちろん、内部メンバーの成長が喜びに
―サービスがリリースされてのご感想は?
大谷:初めて一般消費者向けのサービス開発を担当したのですが、エンドユーザーの生の声を聞けるのがとてもおもしろいですね。今はSNSがあるので、投稿されるんですよね。「これ面白い」といった投稿があったときには、このサービスやってよかったなと感じました。

一方で、エンドユーザーの声というところでいうと、実験をさせていただいたスタジアムの方から「もっとエンドユーザーのことを考えてほしい」と指摘いただいたことで、非常に刺激を受けました。
渥美:私はサービスのリリースもさることながら、後輩が成長する姿を見られたことが嬉しく、印象に残っています。
私自身は今11年目になるのですが、以前から若手メンバーが下につく事が多かったので、一緒に組むメンバーが成長していくことは常に意識してやっています。
山本五十六の名言が好きなんです。「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」これをなるべく実践できるようにというのは意識してやっていますね。
昔は自分のエンジニアリングスキルを磨く方も意識していて自分でなんとかする精神が強かったのですが、徐々に下を育ててチームとして成長していこうと考え方が変わってきていますね。
他サービスとの連携でさらなる事業展開へ
―今後、モバイルオーダーサービスプロジェクトで実現したいことはありますか?
渥美:1つは店舗で持っているPOSシステムとの連携ですね。現在は店頭での注文とモバイルオーダーでの注文は別のシステムで管理されているのですが、そこを連携させて店舗の方の負担を減らすような仕組みを作っていきたいです。
あとはロボティクスとの連携でしょうか。NECネッツエスアイでは配膳ロボットなどもサービスとして提供しているので、厨房からお客さんのいるところまでロボットが商品を運ぶなど、他サービスと連携したサービス改善をしていきたいです。
大谷:また、グループ会社であるNECマグナスコミュニケーションズが、飲食店でよく使われる自動券売機で強いシェアを持っています。
そこと連携することで、新しい事業展開ができないかなど、ビジネス的な視点でも今後の展開を検討していきたいです。

ビジネスとスピードのバランスで、ユーザーの期待に応えるサービスを
―最後に、お2人がこれからやっていきたいことは?
大谷:一般消費者向けのサービスはもっとやってみたいなと思っています。
これまでもスピードと品質のバランスを取るという点については意識して取り組んできたのですが、いかに売れるサービス・ビジネスを作るかというところを考慮して、リソースをコントロールしてビジネスを拡大していければと思っています。
渥美:途中でも品質担保といったお話をさせていただきましたが、品質担保はしつつもスピード感もって実装できるようにしていきたいですね。
これまで関わってきたサービスはお客様の方で要件や納期が決まっていて、それに向かって開発をすすめるような形でしたが、モバイルオーダーサービスでは運用していく中でやりたいことや要望がどんどん出てくる。従来の開発プロセスでは、そこにマッチしていないのかなと感じることがあります。
今後はアジャイル開発などの手法を取り入れ、お客様やユーザーの要望に応えられる体制を作っていきたいです。
関連リンク
- モバイルオーダーサービス 紹介サイト https://symphonict.nesic.co.jp/mobile-order/
- デジタルタウン 紹介サイト https://symphonict.nesic.co.jp/digitaltown/