2024年3月は以下のような種類のインシデントが発生しました。
当月は取り立ててユニークなインシデントはありませんでした。
取り上げるような目新しい攻撃はありませんでしたが、引き続きIvanti製品に対する攻撃が散見されたのでIoC情報を示します。
標的の脆弱性
CVE-2023-46805
CVE-2024-21887
CVE-2024-22024
CVE-2024-21893
いずれも攻撃元IPは143.244.188[.]172でした。
米国CISA(サイバーセキュリティー・インフラセキュリティー庁)が公開しているKEV(悪用が確認されている脆弱性一覧)から2024年3月に追加されたものを抽出しました。
JPCERT/CC等の日本国内組織からも注意喚起されている脆弱性は要注意としてマークしています。
要注意 | 脆弱性番号 | ベンダ | 製品 | 脆弱性名 |
---|---|---|---|---|
CVE-2023-21237 | Android | Pixel | Android Pixel Information Disclosure Vulnerability | |
CVE-2024-23225 | Apple | Multiple Products | Apple Multiple Products Memory Corruption Vulnerability | |
CVE-2024-23296 | Apple | Multiple Products | Apple Multiple Products Memory Corruption Vulnerability | |
CVE-2023-48788 | Fortinet | FortiClient EMS | Fortinet FortiClient EMS SQL Injection Vulnerability | |
CVE-2021-44529 | Ivanti | Endpoint Manager Cloud Service Appliance (EPM CSA) | Ivanti Endpoint Manager Cloud Service Appliance (EPM CSA) Code Injection Vulnerability | |
CVE-2024-27198 | JetBrains | TeamCity | JetBrains TeamCity Authentication Bypass Vulnerability | |
CVE-2024-21338 | Microsoft | Windows | Microsoft Windows Kernel Exposed IOCTL with Insufficient Access Control Vulnerability | |
CVE-2023-24955 | Microsoft | SharePoint Server | Microsoft SharePoint Server Code Injection Vulnerability | |
CVE-2019-7256 | Nice | Linear eMerge E3-Series | Nice Linear eMerge E3-Series OS Command Injection Vulnerability | |
CVE-2021-36380 | Sunhillo | SureLine | Sunhillo SureLine OS Command Injection Vulnerablity |
3月時点ではKEVには記載ありませんでしたが興味深い脆弱性が報告されているので1件紹介します。
2024年3月29日、XZ Utilsに特定条件下で外部から侵入される可能性がある脆弱性が存在する事が報告されました。
本脆弱性が話題になったのは、実は脆弱性ではなく意図的に作り込まれたバックドアだという点です。
OSS(オープンソースソフトウェア)であるXZ Utilsの開発プロジェクトに2年ほど前から参加していた開発者が今年2月に密かにバックドアを仕込みました。
偶然にも早期に発見されたため概ね事なきを得ましたが、発見されなかった場合は世界中のLinuxがこの開発者に乗っ取られていた可能性があります。
Linuxを始めOSSは社会にとって無くてはならないソフトウェアの提供形態となっている一方で、悪意ある開発者によるリスクと影響範囲の広さが浮き彫りになったように感じます。
OSS利用者としてできる対策は少ないですが、利用する際は開発グループの規模や成り立ち、支援組織等を総合的に判断して利用可否を検討した方が良いかも知れません。
当月発生したサイバーセキュリティ関連のニュースから筆者が気になったものを紹介します。
ランサムウェアグループALPHVは日本国内でも複数の大企業が被害に遭った事で知られています。
2023年12月ごろFBI等複数の法執行機関によりこのグループのインフラの一部が閉鎖されて以降、表社会からも裏社会からも風当たりが強くなっていたようで3月5日ごろ残っていたインフラも閉鎖されました。
法執行機関の努力が実ったと言える一方で、ランサムウェアグループは一旦解散してもしばらくすると名前を変えて再登場するのが慣例となっているため諸手を挙げて喜んで良いかは難しいところです。
3月13日米国下院でTikTokを禁止できる法案が可決しました。
今後、上院でも可決し大統領の署名があれば成立します。
この法案が提出された背景には動画投稿アプリTikTokを運営するByteDanceが中国企業であるという問題があります。
中国企業は中国政府が2017年から施行している国家情報法の対象となり、中国政府に対して情報活動(諜報活動)への協力義務が課されているためTikTokに蓄積されている米国民の個人情報が中国政府に漏えいする事が懸念されています。
ByteDance社には利用者の位置情報を目的外利用する等、個人情報の不適切な利用に関していくつかの前例が報告されている事も米国政府が懸念を強めている要因になっていると考えられます。
公的機関が発するセキュリティ関連の注意喚起や定期レポートをまとめた一覧を示します。
※筆者独自に取捨選択しています。
特に2月以降警察庁の注意喚起が多い印象です。
ネットバンクの不正送金、サポート詐欺、有名人を騙る投資詐欺の他、ランサムウェア感染や脆弱なルータに対する攻撃等、サイバー空間は年々危険な場所になっており具体的な統計情報を持つ警察庁が警戒を強めている事がうかがえます。
NECネッツエスアイではセキュリティ運用サービス(SOC)の他、Webアプリケーションファイアウォール、侵入防御システム、各種セキュリティ対策製品の導入支援や、お客様のシステム環境に最適な解決策のご提案を行うセキュリティコンサルティングサービスを提供しております。
お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。