クラウドストレージの利用は、個人だけではなく法人においても日常的になってきました。
特に、コスト削減を目指す企業にとって、「安いクラウドストレージ」への関心は高まっています。
しかし、安さだけを追求したクラウドストレージ選びが、本当に企業にとって最適な選択なのでしょうか。
本記事では、安いクラウドストレージの概要とそのデメリット、法人契約時に重視すべきポイントについて解説します。
安いクラウドストレージにはどんなものがある?
法人向けの有料クラウドストレージの相場は、ユーザー1人あたり月額1,000円~3,000円が一般的。
けれども、「個人ではもっと安いクラウドストレージを使っている」という方も少なくないのではないでしょうか。
月額1,000円以下で使える個人向けクラウドストレージには、次のようなものがあります。
無料で使える容量 | 有料プラン | |
---|---|---|
Google Drive | 15GB | 月額250円/100GB(ベーシック)、月額380円/200GB(スタンダード) |
OneDrive | 5GB | 年額2,440円/100GB(Microsoft 365 Basic) |
iCloud | 5GB | 月額130円/50GB、月額400円/200GB(iCloud+) |
infiniCLOUD | 20GB | 月額880円/300GB |
これらのサービスでは、アカウントを作成することで無料提供の容量を使うことができ、足りない場合は有料プランにアップグレードすれば容量が追加されます。
月額数百円であれば負担も少なく、プライベートで利用する分には特に不自由な点はないでしょう。
法人利用は要注意!安いクラウドストレージのデメリット
安いクラウドストレージの場合、個人的なデータを保存したり、知人に共有したりといった用途では特に不便な点はありません。
しかし、法人での利用には不向きな点もあります。
安いクラウドストレージにはどのようなデメリットがあるのかを確認しておきましょう。
個人アカウントでの利用に限られる
安いクラウドストレージの多くは、個人向けに設計されています。
そのため、法人契約や組織全体での導入を考えた場合、管理機能が不十分であったり、利用規約で法人利用や商用利用が制限されているケースもあるのです。
安いクラウドストレージを検討する際には、規約に反していないか・想定した使い方が可能かどうかをよく確認する必要があります。
容量が少ない
価格が安いプランでは、提供されるストレージ容量も少なくなります。
数百GBのストレージは個人向けには十分ですが、企業が大量のデータを保存・管理するには足りない場合が多く、追加容量を購入すると結果的にコストが高くなる可能性もありますので注意が必要です。
アップロードできる容量に制限がある
一度にアップロードできる容量も重要なポイントです。
安いクラウドストレージでは、ファイル一つあたりの容量に制限が設けられていることもあり、上限を超える場合はファイルを分割してアップロードするなどの手間がかかります。
大容量のファイルを扱う企業にとっては、このような容量制限が作業の妨げになり効率が落ちてしまう場合もあるでしょう。
セキュリティ機能が限定的
安いクラウドストレージサービスでは、セキュリティ機能が限られていることがあります。
個人向けに必要最低限のセキュリティ対策しかされていない場合、企業情報の安全を確保するには不十分です。
法人でクラウドストレージを契約する場合は、アクセス制限や情報漏えい対策など高度なセキュリティ機能が搭載されているかどうかも重要なポイントとなります。
組織内での共有に不向き
個人向けの安価なクラウドストレージでファイル共有する場合、共有する相手のアカウントを個別に指定したり、リンクを個別に送ったりする必要があります。
法人向けのプランでは、組織内のユーザーに簡単にファイル共有する機能が備わっており、チームや部署間でのファイル共有が容易に行えるのが一般的です。
組織全体での情報共有や共同作業をスムーズに行うためには、より高度な共有機能が備わったサービスを選択する必要があります。
機能追加が有料
安いクラウドストレージでは、最低限の機能のみが提供され、機能追加は有料オプションとなっているケースもあります。
このような場合、必要な機能を追加していった結果、コストがかさんでしまう可能性がありますね。
安いプランを選ぶのではなく、自社に必要な機能を見極め、それらが含まれているプランを選択した方が結果的に安上がりとなる場合が多いです。
法人契約で重視すべき4つのポイント
法人でクラウドストレージを導入する場合、価格よりも重視すべきポイントがあります。
この章では、特に重要な点を4つ解説します。
セキュリティの強度
企業のクラウドストレージ利用においては、データの保護が最優先事項。
マルウェア感染や不正アクセスによる情報漏えいは、企業の信用を失墜させてしまいます。
クラウドストレージを導入する際には、高度な暗号化技術や二要素認証、アクセス管理機能など、セキュリティ対策が充実しているかどうかを必ず確認しましょう。
BCP対策
災害や事故が発生した際にもビジネスを継続できるよう、データのバックアップや復旧計画が整っているクラウドストレージを選ぶことが重要です。
データセンターの場所やバックアップの頻度、稼働率の保証などをしっかりと確認し、信頼性の高いサービスを選択しましょう。
組織向けの管理機能
ユーザーの追加や削除、アクセス権限の設定など、組織向けの管理機能が提供されているかどうかは企業にとって大変重要です。
管理者がユーザーを一元管理することで効率的な運用が可能となるだけではなく、データ流出などの予期せぬ事故を防止することにも繋がります。
決済方法
法人契約の場合、支払い方法も重要なポイントです。
請求書払いや年間契約での割引など、企業向けの決済オプションが用意されているか確認しましょう。
サービスプロバイダーの公式では対応していない決済方法も、代理店経由で契約すれば適用できる場合がありますので、販売店に相談してみてください。
記事まとめ
クラウドストレージの選択は、価格だけではなく容量・セキュリティ・拡張性など、様々な要素を総合的に考慮する必要があります。
特に法人契約では、安いかどうか以上に「安全性」「管理のしやすさ」といった点が重要になってきます。
安いプランも魅力的ですが、長期的な視点でコストと利益を天秤にかけ、賢明な選択をすることが重要です。
次の記事では、法人向けのおすすめのクラウドストレージを紹介しています。
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