近年、ビジネスにおける需要が急速に高まっているオンラインストレージ。
しかし、コストや移行にかかる手間がネックとなり、なかなか導入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
オンラインストレージの中には、手軽に導入できる安価なサービスもありますが、安いサービスにはいくつかの制約事項がありますので、事前に十分な確認が必要です。
本記事では、安いオンラインストレージの選択肢と、ビジネス利用時の注意点について詳しく解説します。
安価なオンラインストレージにはどんなものがある?
オンラインストレージには、無料のものや月額数百円程度で利用できるものもあります。
例えば、Google DriveやOneDriveは、GoogleアカウントやMicrosoftアカウントを持っていれば誰でも利用できます。
無料で使えるストレージ容量は、Google Driveで15GB、OneDriveが5GB。
個人のドキュメントの共有や、スマホで撮影した写真の保存には十分な容量とも言えるでしょう。
安いオンラインストレージの利点は、コストを抑えて基本的なデータ管理機能を利用できることです。
初期の容量で足りなくなった場合やビジネスで利用する場合は、追加料金、もしくはプラン変更を行えば容量を増やして使用可能です。
例えば、安いオンラインストレージの中で比較的容量が大きいGoogle Driveは、ストレージを追加できるサブスクリプションとして個人向けにGoogle Oneが用意されています。
一方、法人向けにはGoogle Workspaceが用意されており、ビジネス利用する場合のWorkspaceのプラン料金は、次の表のように設定されています。
個人向け利用のGoogle OneとGoogle driveの違いはGoogle ドライブがファイルを整理するためのサービスであるのに対し、Google One は、Google ドライブ、Gmail、Google フォト共通の保存容量を追加できるサブスクリプションサービスであることです。
Google Driveを含むGoogle Workspaceの料金
プラン名 | Business Starter | Business Standdard |
---|---|---|
公式料金(月額) | 680円 | 1,360円 |
ストレージ容量 | 30GB | 2TB |
安いサービス・プランのデメリット
コストを抑えたい個人や小規模企業にとって、安いオンラインストレージサービスは魅力的な選択肢なのではないでしょうか。
しかし、安いオンラインストレージはメリットばかりではありません。
この章では、安いオンラインストレージプランを選ぶ前に知っておくべきデメリットについて解説します。
個人向けのサービスが多い
安いオンラインストレージサービスは、主に個人ユーザーをターゲットにしています。
そのため、ビジネス用途に必要な機能が不足していることも少なくありません。
例えば、安いオンラインストレージは、組織内でのファイル共有や編集履歴の管理など、ビジネスでの共同作業を効率化するための機能に対応していないものも多いです。
また、個人向けのオンラインストレージでは、ユーザーアカウント管理やアクセス権限の設定など、組織的なデータ管理に必要な機能が欠けている場合がほとんどですのでご注意ください。
ストレージ容量が少ない
無料プランや安いプランで提供される容量は、個人的な利用には適しているかもしれません。
しかし、大量の文書データや高解像度の写真、動画など、大きなファイルを保存する企業では、すぐに容量の上限に達してしまう可能性があります。
データを整理・削除するためにかかる労力は、安いオンラインストレージで節約できるコストには見合っていないかもしれません。
高度なセキュリティ機能が付いていない
安いオンラインストレージは、データ暗号化や二要素認証など、高度なセキュリティ機能には対応していないことがあります。
ビジネス用途では、データ漏えいや不正アクセスのリスクに対処しなければならないため、セキュリティ機能は不可欠です。
安いプランを選択した場合は、セキュリティ面を補うため、必要に応じて追加のセキュリティソリューションを導入しなければならないこともあります。
安いオンラインストレージをビジネス利用する場合の注意点
では、安いオンラインストレージをビジネスで利用する場合の注意点を確認していきましょう。
もしもプロバイダーが提供するサービス内容では不十分と感じた場合は、追加でツールやソリューションを導入するか、上位のプランを検討するのが得策です。
ストレージ容量
ビジネス用途で安いオンラインストレージを選択する際には、自社の用途に必要な容量が提供されているかが重要です。
事前にデータ保存ニーズを見積もり、容量に余裕のあるオンラインストレージを選びましょう。
また、現在のデータ量では足りていても、ビジネスが成長するにつれて安いプランでは足りなくなる可能性もあります。
大容量のオンラインストレージに乗り換えることもできますが、サービス間のデータ移行は非常に面倒。
それならば、最初から大容量や容量無制限のオンラインストレージを導入しておくほうが良い場合も少なくありません。
データ管理とバックアップポリシー
データの損失や破損は、企業にとって大損害。
消えてしまったりアクセス不能になったデータを取り戻すのは容易ではありません。
そのため、選択するオンラインストレージサービスが定期的なデータバックアップを行っているか、万一の際には簡単に復旧できるかを事前に確認しておくことが不可欠です。
また、自動バックアップの頻度や保持期間、復旧プロセスについても入念に調べておきましょう。
安全性・プライバシー対策
ビジネスデータを扱う上で、セキュリティは最優先事項。
サービスの安全性やプライバシー対策は、コストに替えることはできないものです。
安いオンラインストレージサービスには、最低限のセキュリティ対策しか提供していないものもあります。
データの暗号化、不正アクセス防止策、セキュリティ監査の実施有無など、セキュリティ対策の詳細は必ず確認するようにしましょう。
ビジネスデータが許可なく第三者に開示されたり、目的外の用途に利用されたりすることのないよう、プライバシーポリシーを確認しておくことも重要です。
ユーザー管理
企業でオンラインストレージを安全に運用するには、社員のユーザーアカウントを一元管理する仕組みが必要です。
例えば、部署やプロジェクトチームごとに異なるアクセス権を設定したり、セキュリティ事故の発生時にユーザーのアカウントを即時停止したりする機能は、不正アクセスや情報漏えいの防止には欠かせません。
安いオンラインストレージサービスは個人向けのものが多く、そもそもユーザー管理機能やアクセス制御ができないものもあります。
高度な管理機能が必要な場合は、法人向けのオンラインストレージを選ぶことをおすすめします。
サポート体制
ビジネスでオンラインストレージを利用する場合、障害やトラブルでデータアクセスができなくなると、日常業務の遂行さえも困難になってしまいます。
そのため、問題が発生した場合に迅速に対応できるサポート体制があるかどうかも、オンラインストレージサービス選定の重要なポイントです。
特にビジネス利用では、ダウンタイムを最小限に抑えるために、24時間365日のサポートや迅速な問い合わせ対応が求められます。
安いオンラインストレージでは、サポート範囲や初回のレスポンスまでの時間に制限がある場合も多いです。
サポートの質を事前に確認し、ビジネスの要件を満たすサービスを選ぶことが大切です。
記事まとめ
安いオンラインストレージサービスは、費用を抑えることができるメリットがあるものの、ビジネス利用を前提とした場合にはデメリットも多く存在します。
企業にとってデータは貴重な資産。その保護と管理は極めて重要です。
これらの点を考慮すると、コストを若干上乗せしてでも、セキュリティ機能が充実し、信頼性の高いサポート体制を備えた法人向けオンラインストレージサービスの導入がおすすめであるのは言うまでもありません。
安全性とプライバシーの保護を最優先事項にすることは、長期的な視点で見た場合、結果的にコスト削減や効率向上につながります。
法人・組織での利用に最適な信頼性の高いオンラインストレージサービスは、こちらの記事で紹介しております。
オンラインストレージ導入を検討する際には、ぜひ参考になさってください。