私たちの日常生活において、オンラインストレージはもはや欠かせないツールです。
しかし、オンラインストレージの利用には、数多くの見えないリスクが存在するのをご存じでしょうか。
特に企業においては、これらのリスクに対処するためのセキュリティ対策が急務となっています。
本記事では、オンラインストレージに潜むリスクを明らかにし、企業が取るべきセキュリティ対策について詳しく解説します。
オンラインストレージの安全な利用環境を整えるための第一歩として、リスクへの理解を深めましょう。
オンラインストレージに潜むリスク
オンラインストレージの普及により、ビジネスシーンにおけるデータ活用の利便性は大きく向上しました。
しかし、その利便性の背後には予期せぬリスクが潜んでいることも事実です。
この章では、オンラインストレージの利用時に意識すべき潜在的なリスクを解説します。
データの消失
オンラインストレージは手軽に大量のデータを保存できる便利なツールですが、保存したデータが何らかの要因によって消失するリスクは避けられません。
例えば、ユーザーの誤操作で重要なファイルを誤って削除してしまったり、上書き保存してしまったりするヒューマンエラーは他のストレージと同様に起こります。
また、サービス提供側のシステム障害やサーバーの故障、さらにはサイバー攻撃によるデータ損失のリスクもゼロではありません。
データが消失すると、企業にとっては重要な情報の喪失により業務が停滞し、場合によってはビジネスの信頼性や顧客満足度に大きな損害を与えることになります。
特に顧客情報や財務情報など、ビジネス運営に不可欠なデータの消失は、回復が困難な打撃となる可能性もあるでしょう。
不正アクセス
セキュリティ対策が不十分なオンラインストレージが、ハッカーによる不正アクセスの標的になるケースも少なくありません。
一度不正アクセスを許してしまうと、機密情報が盗まれたり、不正に利用されたりするリスクがあります。
このような不正アクセス被害がビジネスに与える影響は甚大。
顧客の信頼を失うことに加え、企業のブランド価値の毀損や経済的損失も伴うため、不正アクセスの防止は極めて重要です。
情報漏えい
オンラインストレージの利用において、最も恐れられるのが情報漏えいです。
情報漏えいの直接的な原因は、外部からの不正アクセスのほか、内部者の悪意、意図しない不注意などさまざまです。
また、本来権限がないユーザーがアクセスできる設定になっていたなど、共有設定の誤りが情報漏えいの一因となることもあります。
一度情報漏えいが発生すると、個人情報の流出による顧客の信頼損失、企業秘密の漏えいによる競争力の低下など、ビジネスに深刻な影響を及ぼします。
また、法令違反に該当する可能性もあり、企業の責任が厳しく問われることになります。
障害・サービスの停止
オンラインストレージサービスが予期せぬ障害やメンテナンスで停止することもあります。
このような場合、企業は重要なデータへのアクセスが一時的または長期的に不可能となり、業務の大幅な遅延や停止を余儀なくされます。
ビジネスの継続性を確保するためには、サービスの冗長性やバックアップ体制の整備、災害復旧計画の策定など、事前の対策が不可欠です。
障害やサービス停止への迅速な対応と復旧能力は、企業が直面するリスクを最小限に抑え、業務の連続性を保つ上で重要な要素となります。
法人向けのオンラインストレージに求められるセキュリティ対策
オンラインストレージのビジネス利用は年々増加しており、それに伴うセキュリティの重要性も高まっています。
この章では、オンラインストレージを安全に利用するためのセキュリティガイドラインを解説します。
パスワードポリシー
パスワードポリシーとは、安全なパスワード作成、使用、管理に関する規則のことです。
短いパスワードや単純なパスワード、辞書に載っている単語などは、総当たり攻撃で簡単に破られてしまう危険があります。
そのため、オンラインストレージのユーザーが弱いパスワードを設定することができないよう、管理者によって制限するのです。
例えば、
- 最小文字数
- 文字種(大文字、小文字、数字、特殊文字の組み合わせ)
- パスワードの有効期限
- 以前に使用したパスワードの再使用禁止
適切なパスワードポリシーの実施は、不正アクセスによる情報漏えいリスクを軽減する基本的なセキュリティ対策の一つです。
特に法人向けのオンラインストレージでは、機密情報を保護するために厳格なパスワードポリシーの適用が求められます。
二要素認証(多要素認証)
二要素認証(2FA)または多要素認証(MFA)は、セキュリティを強化するために、2つ以上の異なる認証手段を組み合わせることです。
例えば、パスワード(知識要素)に加えて、スマートフォンに送信される一時的なコード(所持要素)や、指紋や顔認証(生体要素)などを追加し、両方の認証を突破しなければアクセスできないようにします。
パスワードだけではなく、ユーザーが物理的に持っているものや、ユーザー自身の生体情報を利用しているため、第三者がパスワードのみを入手してもオンラインストレージにアクセスすることができません。
特に法人向けオンラインストレージでは機密性の高いデータを扱うため、二要素認証の導入が推奨されます。
アクセス権の設定
アクセス権の設定とは、必要な人だけが情報にアクセスできるよう、オンラインストレージ内のデータやファイルへアクセスできるユーザーを制御することです。
例えば、経理部門のスタッフには財務データへのアクセス権を付与し、一般の従業員には制限するなどが挙げられます。
適切なアクセス権の管理により、不要なデータへのアクセスによる情報漏えいのリスクを防ぎ、情報の機密性を維持しながら効率的なデータ共有を実現することができるのです。
ユーザーの一元管理
ユーザーの一元管理は、会社や組織でオンラインストレージを利用する全ユーザーのアカウント情報を中央で管理することを指します。
個人向けのサービスではアカウントが自己管理になるため、ユーザー自身による故意または過失によりトラブルが発生するリスクがあります。
法人向けのオンラインストレージには組織内のアカウントを一元管理する機能があり、管理者によるユーザー追加や削除、アクセス権の変更などを効率的に行うことができます。
また、不正アクセスやアカウントの乗っ取りなどのセキュリティインシデントが発生した場合にも、迅速に対処することが可能です。
ユーザーの一元管理は、組織のセキュリティポリシーを遵守し、オンラインストレージの安全な利用を保証するために不可欠なものと言えます。
IPアドレス制限
IPアドレス制限は、特定のIPアドレスからのみオンラインストレージサービスへのアクセスを許可するセキュリティ対策です。
公共Wi-Fiなどは低セキュリティなものも多く、データや通信が傍受されたり、マルウェアに感染したりといったリスクがあります。
接続できるIPアドレスを制限することで、信頼できるネットワークや指定された場所からのアクセスのみを許可し、それ以外からの不正なアクセスを阻止します。
特にリモートワークやモバイルワークが浸透している今日、組織のデータセキュリティを強化するために必要な対策です。
ファイル暗号化
ファイル暗号化とは、オンラインストレージ上に保存されるデータを暗号化することで、第三者が不正にアクセスしても内容を読み取ることができないようにするセキュリティ技術です。
暗号化されたデータは鍵を持つユーザーだけがアクセスできる状態になっており、オンラインストレージではデータの保存時に加えて、転送時にも適用されることが多いです。
特に機密情報を多く扱う法人では、暗号化はデータ保護の基本的な要件。
そのため、法人向けのオンラインストレージサービスには、ファイル暗号化機能が含まれているものが多くあります。
バージョン管理
バージョン管理とは、ファイルやドキュメントの変更履歴を追跡し、異なるバージョンを保存・管理できるようにするものです。
バージョン管理機能のあるオンラインストレージでは、編集や更新が行われるたびに、その時点でのファイルの状態が自動的に保存されます。
誤って重要な情報を上書きしたり、過去の状態に戻したい場合でも、バージョン管理により簡単に元の状態に復元することが可能です。
ドキュメントの整合性を保つことに加え、誤操作によるデータの消失リスクを軽減することができます。
アクセスログ管理
アクセスログ管理とは、オンラインストレージサービスへのアクセス記録を監視・分析することにより、不正アクセスや情報漏えいなどのセキュリティインシデントを検出し、対応するセキュリティ機能です。
ログには、誰がいつどのファイルにアクセスしたか、どのような操作を行ったかなどの情報が記録されます。
この情報を定期的に監視することで、不審な行動を早期に発見し、迅速に対処することが可能となります。
バックアップ体制
バックアップとは、データの喪失や障害から迅速に回復するために、データのコピーを定期的に作成し、安全な場所に保存しておくことです。
適切なバックアップ体制を整えることで、データが失われた場合でもビジネスの継続性を保ち、業務の大幅な遅延や停止を防ぐことができます。
特にオンラインストレージを利用する場合、サービス提供者の障害やサイバー攻撃によるデータ損失のリスクに備えるために、バックアップは不可欠です。
ビジネスレベルの強固なセキュリティを提供する「Box」とは
ビジネスにおけるオンラインストレージ選択に際して、セキュリティは避けて通れないテーマです。
セキュアな環境が評価され、世界中の企業から高い信頼を得ているオンラインストレージが「Box」です。
Boxの法人向け有料プランに搭載されている主なセキュリティ機能は次の通り。
- データ漏えい対策(DLP)と脅威検知
- SSL・データ暗号化
- ユーザー管理機能
- 7段階のアクセス権設定
- 二要素認証、シングルサインオン対応
- アクティビティの完全追跡(プランによる)
- パスワードポリシー設定(プランによる)
Boxの強固なセキュリティ機能があれば、オンラインストレージ上の社内文書や機密情報を安全に管理できます。
また、Boxは国際的なセキュリティ基準や規制に準拠し、グローバルなデータ管理・プライバシー保護要件を満たしている信頼性の高いサービスです。
オンラインストレージのセキュリティリスクに備えるには、まさに最適な選択と言ってよいでしょう。
記事まとめ
オンラインストレージ利用におけるセキュリティリスクを正しく理解し必要な対策を取ることは、ビジネスではもはや常識といえます。
オンラインストレージのセキュリティレベルはサービスプロバイダーに依存するため、法人利用では信頼できるサービスを選ぶことが最重要です。
本記事を提供しているNECネッツエスアイは、Boxの正規代理店です。
企業様の求めるセキュリティレベルに合わせたプランのご提案や、導入・保守の支援もご用意しておりますので、オンラインストレージの導入を検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。