デジタル社会の実現に向けた取り組みの1つとして、総務省から「自治体DX推進計画」が発布され、各自治体ではこの計画に基づいた基本方針の策定が進められています。
この記事では、自治体DX推進計画で挙げられている重点取組事項の概要と、すでに基本方針を策定している自治体の事例を紹介します。
人口減少や業務負担増の課題を解決するうえで、自治体のデジタル化は欠かせない要素の1つです。
時代から取り残されないためにも、早い段階から基本方針や推進計画の策定を行うようにしましょう。
自治体DX推進計画の基本方針となる6つの重点取組事項
「自治体DX推進計画」とは、社会のデジタル化に向けて自治体が重点的に取り組むべき事項・基本方針を具体化するとともに、総務省および関係省庁による支援策等をとりまとめた計画資料のことです。
まずは「自治体DX推進計画」で掲げられている6つの重点取組事項について、その概要と国の取り組み状況を見ていきましょう。
①自治体の情報システム標準化・共通化
概要
自治体DX推進計画では、ガバメントクラウドの活用に向けた検討を踏まえ、基幹系20業務のシステムを国の策定する標準仕様に準拠したシステムへ移行することが計画されています。
国の主な支援策
- 自治体の主要な20業務を処理するシステムの標準仕様を、デジタル庁が策定する基本方針の下、関係府省において作成
- 2020年度第3次補正予算において、自治体の標準準拠システムへの移行に要する経費を支援
②マイナンバーカードの普及促進
概要
自治体DX推進計画では、2022年度末までにほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していることを目指し、交付円滑化計画に基づいた申請促進と交付体制の充実が図られています。
国の主な支援策
- 個人番号カード交付事務費補助金により、人件費の増や窓口の増設などに要する経費について支援
- 2021 年度補正予算等において、出張申請受付等による申請促進や臨時交付窓口等の交付体制のさらなる充実に対する支援を実施
③自治体の行政手続きのオンライン化
概要
主に住民がマイナンバーカードを用いて申請を行うことが想定される手続(31手続)について、原則マイナポータルからのマイナンバーカードによるオンライン手続を可能とする取り組みです。
国の主な支援策
- マイナポータルに自治体との接続機能等を実装
- マイナポータルのUI・UX改善
- 2020年度第3次補正予算において、子育て、介護等の手続について、マイナポータルと自治体の基幹システムとの接続を支援
④自治体のAI・RPAの利用推進
概要
①・③による業務見直し等を契機として、AI・RPA導入ガイドブックを参考に、AIやRPAの導入・活用を推進します。
国の主な支援策
- AI・RPA導入ガイドブックの策定
- AI の利活用を中心に、各自治体における最新の取組事例について、総務省で 情報収集を行い、「自治体 DX 推進手順書 参考事例集」を充実
⑤テレワークの推進
概要
テレワーク導入事例やセキュリティポリシーガイドライン等を参考に、テレワークの導入・活用を推進する取り組みです。
また自治体DX推進計画 では、①・③による業務見直し等に合わせ、テレワークの対象業務を拡大することも目指されています。
国の主な支援策
- テレワーク導入円滑化のためのセキュリティポリシーガイドラインの改定
- LGWAN-ASPによるテレワーク環境の提供
- テレワーク導入事例等の提供
⑥セキュリティ対策の徹底
概要
自治体DX推進計画では、改定されたセキュリティポリシーガイドラインを踏まえ、適切にセキュリティポリシーの見直しを行い、セキュリティ対策を徹底することが求められています。
国の主な支援策
- 2020年にセキュリティポリシーガイドラインの改定
- 自治体の標準化・共通化を踏まえ、「三層の対策」の抜本的見直しを含めた新たなセキュリティ対策の在り方の検討
自治体DX推進計画に基づいた基本方針の策定事例
全国の自治体では、前述した自治体DX推進計画の重点取組事項を踏まえた基本方針・推進計画の策定が進められています。
続いて、すでに独自の基本方針・推進計画を策定している自治体の事例をいくつか見ていきましょう。
(世の中の先進事例として紹介しているため、当社が直接関与していない事例を含んでいます。)
デジタル化に向けた取り組みを市民サービス・地域・行政の3つに分類
ある自治体では、市民サービスの向上や業務効率化を図る目的で、以下のように自治体DXの基本方針を策定しました。
市民サービスのデジタル化 | 行政手続きのオンライン化/窓口業務のデジタル化/マイナンバーカードの普及促進/手数料等支払いのキャッシュレス化 等 |
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地域のデジタル化 | 地域企業のDX推進/スマート農業の普及促進/ICTを活用した除排雪体制の強化/ヘルステックを核とした健康まちづくり 等 |
行政のデジタル化 | 基幹系業務システムの標準化・共通化、クラウド利用/業務手順のデジタル化/AIやRPA等の活用による業務効率化/新しい働き方の推進 |
また基本方針の策定と合わせて、推進本部・デジタル化推進部会・情報システム更新部会等からなる自治体DXの推進体制が整備されています。
人にやさしいデジタルが暮らしに浸透したまち
ある自治体では、自治体の変革の目安とされている2040年を目標地点に定め、「人にやさしいデジタルが暮らしに浸透したまち」というビジョンの実現に向けた基本方針が策定されました。
基本方針の具体的なテーマは以下の通りです。
暮らしやすさUP | 行政手続きのオンライン化/個人のライフスタイルに合わせたデジタル技術の活用促進 等 |
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まちの活力UP | デジタル人材の育成/オープンデータの拡充 等 |
行政サービス力UP | デジタル技術の活用による内部事務の効率化・最適化 等 |
市民ファースト・行政運営の最適化
ある自治体では、市民サービスの向上とコア業務への専念という2点を基本方針として、以下のような自治体DX戦略が計画されています。
市民の利便性向上 | 行政手続きのオンライン化/キャッシュレス決済の積極的導入/マイナンバーカードの利用促進/窓口業務へのDX導入/デジタルデバイドへの対応 |
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行政効率の向上 | 情報システムの標準化・共通化/BPRによる事務の効率化/庁内でのペーパーレス化/テレワーク環境の構築 |
情報基盤の強化 | セキュリティ対策の徹底 |
まとめ
自治体によって細かいテーマや取り組み内容は異なるものの、基本的には「自治体DX推進計画」に挙げられている6つの重点取組事項に沿った方針となっていると言えるでしょう。
まだ自治体DXに向けた基本方針を策定していない場合は、これらの事例や総務省の資料を参考にしてみてください。
またNECネッツエスアイでは、こうした基本方針の策定やその後の取り組みに関する幅広い支援が可能です。
テレワーク導入やセキュリティ強化に役立つソリューション・サービスも提供しているので、自治体DXの進め方でお悩みの場合はぜひ一度ご相談ください。