自治体クラウドとは?導入加速の背景と成功事例

自治体クラウド導入により、業務プロセスの標準化・共通化を図るケースが増えています

自治体クラウドとは?導入加速の背景と成功事例
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自治体DXの一環として、自治体クラウドの構築によるコスト削減・業務効率化を目指す事例が増えています。

この記事では、自治体クラウドが注目を集めている背景と、現在の導入状況を紹介します。

自治体クラウドの取り組みで成果をあげている事例もいくつか掲載しているので、自治体クラウドの運用を検討中の自治体様はぜひ参考にしてみてください。

(世の中の先進事例として紹介しているため、当社が直接関与していない事例を含んでいます)

自治体クラウドの概要

自治体クラウドの概要

まずは、自治体クラウドの概要と導入状況、導入によって得られる効果について詳しく見ていきましょう。

自治体クラウドとは?地方公共団体が抱える課題

これまで自治体では、それぞれの庁舎内に設置したサーバで個別に情報システムを構築・運用し、独自のやり方で住民基本台帳や税務などのデータ処理を行ってきました。

しかしこの方法だと、運用コストがかさんだり、セキュリティ対策の水準が揃わなかったりというデメリットがあることから、複数の自治体でシステムを共同利用しようという取り組みが進み始めたのです。

この共同利用の仕組みを「自治体クラウド」と呼び、自治体クラウドを導入する自治体は年々増えてきています。

現在の導入状況

クラウドを導入している地方公共団体の推移は以下の通りです。

総クラウド導入数 自治体クラウド導入数
2014年4月 550団体 211団体(45グループ)
2015年4月 728団体 293団体(56グループ)
2016年4月 842団体 328団体(57グループ)
2017年4月 950団体 357団体(59グループ)
2018年4月 1,060団体 407団体(70グループ)
2019年4月 1,182団体 497団体(82グループ)
2020年4月 1,279団体 611団体(106グループ)

出典:クラウド導入市区町村数の推移

総務省のデータによると、2020年時点で全自治体の約75%にあたる1,279団体が情報システムのクラウド化を進めており、内約半数の611団体で自治体クラウドが導入されています。

2018年に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言」では、2023年度までにクラウド導入自治体を1,600団体まで増やすことが目標として掲げられており、今後もクラウド化の傾向は続くことが予想されます。

自治体クラウド導入で期待できる効果・メリット

自治体クラウドの導入によって期待できる主なメリットは以下の通りです。

  • 情報システムの開発・運用・改修コストの削減
  • 集中監視による情報セキュリティ対策の水準引き上げ
  • 庁舎が被災した場合の業務停止リスクの軽減(BCP対策)
  • グループ内での業務プロセス標準化・共通化 など

以下のデータは、2016年に総務省が自治体クラウド導入済みの56団体に行ったコスト削減率の調査結果です。

削減率 グループ数
40%以上 11
40~30% 18
30~20% 7
20%未満 9
確認中 11

出典:自治体クラウドの導入促進の取組

このことから、自治体クラウドの導入によって30%ほどのコスト削減を見込めることが分かります。

2018年度の地方財政計画にて共同化計画やデータ移行、実務処理研修などにかかる費用の支援措置も策定されており、今が自治体クラウドの導入チャンスと言えるでしょう。

自治体クラウドの取組事例

自治体クラウドの取組事例

続いて、実際に自治体クラウドを導入して成果の出ている事例をいくつかピックアップしてご紹介します。

中核市における情報システムの共同化事例

共同化の背景・取組内容 度重なる法改正対応の改修でシステムが複雑化し、内部での開発・運用が困難に。一方で委託は費用が高額になるため自治体の財政をひっ迫させる可能性があり、経費削減を図る目的で共同化を実施。国保・国民年金・税総合システムのライフサイクル全体を対象として、実績のあるパッケージシステムを導入しました。
効果 国民健康保険・国民年金システム:5年間で▲5億800万円(▲46%)
税総合システム:5年間で▲10億9,700万円(▲45%)
クラウドをきっかけとした業務改善 など

大規模災害に備えた中心市主導型のシステム共同化事例

共同化の背景・取組内容 南海トラフ巨大地震等の災害リスクに備え、基幹系業務・内部情報系業務の40業務を対象にシステム共同化を実施。また納付書・封筒・各種帳票類を統一することでコスト削減も目指しました。
効果 グループ全体で▲約35%の見込み(5年間)
大規模災害時における業務継続性を確保し、迅速な復旧作業の一助となるシステム構築を実現
データセンターを複数配置することで災害リスクを分散

県主導による情報システムのクラウド化事例

共同化の背景・取組内容 厳しい財政状況であるにもかかわらず情報システムコストが高まり、住民サービス向上や業務効率化が進んでいないことから、県内全市のシステム共同化を目指してICT推進機構を立ち上げ。システム更新時期に合わせて順次自治体クラウドの運用を開始しています。
効果 基幹系:▲6億7,000万円(▲51%)
内部系:▲7,500万円(▲55%)
手続きに係る待ち時間を約31%削減・職員の業務処理時間を約30%削減

スマート社会の実現に向けた取組まとめ

スマート社会の実現に向けた取組まとめ

少子高齢化による労働人口の減少といった社会問題を抱える日本では、高齢者人口がピークを迎えると予想される2040年頃を目安に、スマート自治体の実現を目指しています。

自治体クラウドの仕組みはスマート自治体の実現に欠かせない要素の1つと言えるので、コスト削減や業務効率化でお悩みの自治体はクラウド導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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