DXとは、「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略称で、デジタル技術を積極的に取り入れながら、業務品質向上や業務効率化、コスト削減、新たな価値創造などを目指す取り組みのことを言います。
今、自治体において、このDXを推進する動きが活発化しています。
その背景にあるのは、社会情勢の変化による住民ニーズの多様化、生産年齢人口減少による職員数減少・税収減少、そして新型コロナウイルスの蔓延などです。
ここでは、自治体DXにフォーカスし、その概要と具体例を紹介します。
自治体DXとは
自治体DXとは何でしょうか?
自治体DXとは、DXの自治体版で、2018年頃から、政府が積極的に推進するようになりました。
2020年12月25日、総務省により、「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」が策定され、そこで示されたのが次のビジョンです。
「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会 ~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」
引用元:自治体DX推進計画概要
このビジョンを実現するためには、行政を担う自治体が積極的にDXを推進していくことが必要不可欠で、特に次の2点の取り組んでいくことが重要だとしています。
- 自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させる
- デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていく
自治体DX推進計画の対象期間は、2021年1月から2026年3月までの約5年間です。
これにより、今後は、自治体運営の効率化や住民の利便性向上などがより加速していくと予想されています。
自治体DXにおける6つの「重点取組事項」とは
では、自治体DXでは、具体的にどのような取り組みを行うのでしょうか?
「自治体DX推進計画」では、自治体DXの重点取組事項として、以下の6つを挙げています。
① 情報システムの標準化・共通化
② マイナンバーカードの普及促進
③ 行政手続オンライン化
④ AI・RPAの利用促進
⑤ テレワークの推進
⑥ セキュリティ対策の徹底
引用元:自治体DX推進計画概要
以下、それぞれの項目を簡単に解説していきます。
①情報システムの標準化・共通化
下記に示す17業務において、これまで各自治体・各部門が独自に構築・整備してきた情報システムを、標準化・共通化するとしています。
情報システムの標準化・共通化には、サービス品質が均一化する、組織間のデータ連係がスムーズになる、コストが最適化するなどといったメリットがあります。
標準化・共通化の対象業務 | 住民基本台帳、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、国民健康保険、国民年金、障害者福祉、後期高齢者医療、介護保険、児童手当、生活保護、健康管理、就学、児童扶養手当、子ども・子育て支援 |
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②マイナンバーカードの普及促進
政府は、オンライン上での本人確認を可能とするマイナンバーカードは、デジタル社会に欠かせないものと考えており、ほぼ全ての国民がマイナンバーカードを保有している状態を目指すとしてます。
マイナンバーカードが普及すれば、行政サービスなどを受ける際の手続きがスムーズになるでしょう。
③行政手続きのオンライン化
マイナンバーカードで申請を行うことが想定される31の手続きについて、マイナポータルからのオンライン手続きを可能にしていくとしてます。
31手続きの内訳としては、子育て関連が15手続き、介護関連が11手続き、被災者支援関連が1手続き、自動車保有関連が4手続となっています。
行政手続きがオンライン化されれば、いつでもどこにいても気軽に行政サービスを受けられるようになるでしょう。
④AI・RPAの利用促進
「①自治体の情報システムの標準化・共通化」および「③自治体行政手続きのオンライン化」、この2つを契機に、AIやRPA(業務プロセスをロボットにより自動化すること)の導入を推進していくとしています。
AIやRPAが導入されれば、定型業務などが大幅に効率化され、結果として職員の業務負担が軽減されます。
そのため、職員の労働力を更なるサービス向上や新たな価値創造のためなどに使えるようになるでしょう。
⑤テレワークの推進
テレワークとは、情報通信技術を活用して、時間や場所に縛られずに働くスタイルのことで、主に次のようなメリットがあります。
- 新型コロナウイルス感染拡大の未然防止を図ることができる
- 職員一人ひとりのライフスタイルに合った働き方を実現することができる
- 病気や障害など、働き方に制約のある職員を雇用しやすくなる
- 災害時など、本来の職場を離れざるを得ないような状況でも、業務を継続させることができる(行政機能を維持させることができる)
政府は、このテレワーク推進のために、次のような施策を実施していくとしています。
- テレワークマネージャー(テレワークの知見やノウハウを有する専門家)による相談体制を強化する
- 参考となる事例を提供する
- テレワーク導入に係る経費について特別交付税措置を実施する
⑥セキュリティ対策の徹底
2020年12月に改定された「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」をもとに、セキュリティ対策の徹底を図るとしています。
自治体DX推進のための具体例
ここでは、自治体DX推進の具体例として、新型コロナウイルスの蔓延を機に多くの自治体で導入されつつあるテレワークを取り上げます。
地方公共団体におけるテレワークの取り組み状況
繰り返しになりますが、テレワークは、柔軟な働き方の実現や新型コロナウイルス対策にとても効果的です。
そのため、各自治体は、
- ペーパーレス化を進める
- サテライトオフィスを設置する
- 移動中でも仕事ができるよう軽量の端末の支給する
- セキュリティ体制を整える
などといった工夫をしながら、テレワークの行いやすい環境を作るようにしています。
総務省の2021年10月の調査によれば、自治体のテレワーク導入状況は、都道府県において100%、政令指定都市においても100%となっています。
しかし、市区町村においては大きく遅れており、49.3%となっています。
参考:地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果の概要
事例から見る課題とテレワークが必要な理由
テレワークが導入までにいたらない理由には、どのようなものがあるのでしょうか? 主に次のようなものが挙げられます。
- 窓口業務や相談業務などがテレワークになじまない(89.4%)
- 情報セキュリティの確保に不安がある(77.3%)
- 現場業務はテレワークになじまない(74.4%)
- 個人情報やマイナンバーを取り扱う業務は実施できない(73.2%)
- テレワーク導入のためにコストがかかる(71.0%)
参考:地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果の概要
政府としては、これからも、柔軟な働き方の実現や新型コロナウイルス対策の一環として、テレワークを積極的に推進していくとしています。
テレワーク導入から取り組み始める行政DX
自治体のテレワーク導入を円滑に進めるためのツールとしておすすめしたいのが、リモートアクセスサービス『リモートデスクトップ for LGWAN』です。
※LGWAN:パブリックネットワークから切り離された、高度なセキュリティ機能を有した行政専用のクローズドネットワークのこと
自治体におけるテレワーク導入で、大きな問題となりやすいものの一つに、セキュリティの問題があります。自治体は、地域住民の個人情報を大量に扱うため、高いレベルのセキュリティ性を要求されます。
その点において、この「リモートデスクトップfor LGWAN」であれば、次のような特徴から、とても安心です。
- LGWANを介して、自宅や出先機関から庁内端末にアクセス
- ID/PWによるユーザログイン+ワンタイムパスワードの二要素認証で、なりすましや不正アクセスのリスクを低減
- デバイスの固有IDや証明書により利用端末の制限
- ローカルにデータを転送できない仕様により、印刷やデータ抜き取りによる情報漏洩を防止
さらに、セキュリティ面以外では、幅広いOSに対応、多様なデバイスに対応、ハイパフォーマンスな画面転送などといった特徴を持ちます。
ぜひともこの機会に「リモートデスクトップfor LGWAN」のご利用をご検討ください。ご相談、お問い合わせもお待ちしております。
記事まとめ:具体例をもとにDXを始めよう
ここでは、自治体DXにフォーカスし、その概要を紹介しました。
これからも、住民ニーズの多様化や人手不足などは進んでいくと予想されます。「いかにデジタル技術を導入していくか」「いかに政府のDX支援策を活用していくか」このあたりが、これからの自治体運営の鍵となるでしょう。
様々な課題があるとは思いますが、必要に応じて、政府がリリースするDX関連資料や、各自治体の先行事例なども参考にしながら、進めていきましょう。