地方公共団体は地域住民や企業のために行政サービスを提供する機関ですが、具体的にどのような業務を担っているのでしょうか。
この記事では、地方公共団体の種類と役割、また現在の地方公共団体が抱える課題について解説していきます。
自治体行政のスマート化に向けて必要とされる施策例もまとめているので、合わせて参考にしてみてください。
日本おける地方公共団体の定義と種類・役割
まずは、日本における地方公共団体の定義と種類、またその役割や業務内容について詳しく見ていきましょう。
地方公共団体の役割と自治体との違い
地方公共団体とは、日本の都道府県や市区町村を統括する行政機関のことです。
地方自治体と呼ばれることもありますが、意味の違いは基本的になく、地方公共団体が法律などで扱う場合の正式名称、地方自治体はその通称という程度の認識で問題ないでしょう。
地方公共団体(自治体)では、「地方自治法」という法律に基づいて、主に地域住民の生活や企業・観光等に関わる様々な行政サービスを提供しています。
地方公共団体の種類(普通・特別)
地方公共団体(自治体)には「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」の大きく2種類があります。
普通地方公共団体
普通地方公共団体は都道府県や市区町村を統括する自治体のことです。
市区町村のうち「市」については、更に以下の4区分があります。
指定都市 | 人口50万人以上で、かつ政令で指定された市 |
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中核市 | 人口20万人以上で、市の申し出に基づいて政令で指定された市 |
施行時特例市 | 2015年4月1日の特例市制度の廃止時に特例市であった市 |
その他の市 | 人口5万人以上などの要件を満たした地方公共団体 |
特別地方公共団体
特別地方公共団体は、特定の目的のために設置された自治体のことです。
「特別区」「財産区」「地方公共団体の組合」の3種類があり、それぞれ以下のような役割を担っています。
特別区 | 東京都23区のこと。市と同じ扱いを受ける自治体で、区長や区議会は選挙によって選ばれます。 |
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財産区 | 市町村の一部で共有財産・公共施設の維持・管理を担う地区のこと。 |
地方公共団体の組合 | 普通地方公共団体及び特別区が行う事務の一部を共同で処理するための組合。 |
自治体が抱える課題と行政のスマート化に向けた施策
地方公共団体の中でも、特に地域住民の生活と密接な関係にある自治体が市区町村の役所です。
役所では日々多くの行政サービスが提供されていますが、現行の運用体制には様々な課題も存在します。
続いて、現在の自治体が抱える課題と、課題解決に向けて取り組むべき施策例について詳しく見ていきましょう。
地方公共団体が抱える課題
これまで多くの自治体では、業務システムを個別にベンダー企業へ発注し、それぞれ独自に運用するという方法が用いられてきました。
これは、自治体の規模や施策によって必要な機能・プロセスが異なることから、法令で定められている基本仕様に準拠していれば、その他の部分についてはカスタマイズしても良いというルールになっていたためです。
しかし、全国の自治体でバラバラのシステム・業務プロセスが導入されていったことで、今度は以下のような課題が生じました。
- 維持管理や制度改正時の改修における対応を自治体ごとに個別で行わなければならず、負担が大きい
- 情報システムの差異調整が負担となり、クラウド導入による共同化が進まない
- 地域によって住民サービスの水準にばらつきが生じている など
特に昨今のコロナ禍では、感染対策や窓口対応における自治体間の格差が浮き彫りになったと言えるでしょう。
現在はこれらの課題を解決するために、自治体の業務システムを全国で統一・標準化し、足並みのそろった行政サービスの提供を実現しようという取り組みが進められています。
自治体行政のスマート化を実現するために必要な施策とは
自治体行政のスマート化に向けた具体的な施策例として、以下のようなものが挙げられます。
業務プロセスの標準化 | 既存の業務プロセスに合わせたシステムの導入ではなく、システムの有効活用のために業務プロセスを変えるという“業務プロセスの再構築”の実施が必要です。また人口規模や組織の近い自治体間で業務プロセスを比較し、相互に見直しやリデザインを行うことで標準化を目指します。 |
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システムの標準化 | 標準化システムへの速やかな移行に向け、早くから業務の洗い出しや見直しを行う必要があります。 |
ICTの活用 | AIやRPAといった技術を活用し、行政サービスをより便利に利用できるような仕組みづくりが欠かせません。業務プロセスやシステムの標準化等を通じ、AI等を安価に共同利用できるような環境の整備も必要です。 |
ペーパーレス化 | 現在は行政手続きの大半が紙ベースで行われているため、一刻も早く電子化してペーパーレスや業務効率化を実現する必要があるでしょう。電子契約を導入している自治体なども出てきています。 |
人材確保・育成 | 自治体行政のスマート化を図るには、IT・ICTの知見を持つ専門性の高い人材が必要です。また研修などを行い、自治体全体のITリテラシー向上もポイントです。 |
まとめ|スマート自治体の実現には行政サービスのDXが不可欠
自治体行政のスマート化に向けた取り組みによって業務システムの統一・標準化が実現すれば、これまでシステム運用にかけていたコスト・時間を行政サービスの改善に充てることが可能となるでしょう。
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