働き方改革や新型コロナウイルスのまん延といった社会情勢を踏まえ、民間企業だけでなく自治体においてもテレワークの導入が推進されています。
この記事では、現在の自治体のテレワーク導入状況と、テレワークを推進するうえでの課題などを解説。
テレワーク導入に成功した自治体の事例も紹介しているので、テレワーク導入のやり方でお悩みの自治体様はぜひ参考にしてみてください。
自治体におけるテレワーク導入の課題
まずは、現在の自治体におけるテレワーク導入の状況について詳しく見ていきましょう。
またテレワークを推進する際に課題となるポイントや、課題に対する政府の対応なども紹介していきます。
地方公共団体のテレワーク導入状況
下表は、2021年10月に総務省が発表した「地方公共団体におけるテレワーク取組状況」の調査結果です。
導入済 | 未導入 | |
---|---|---|
都道府県(47) | 47(100%) | 0(0%) |
指定都市(20) | 20(100%) | 0(0%) |
市区町村(1,721) | 849(49.3%) | 872(50.7%) |
また、同調査によると、テレワーク実施可能な環境にある職員のうち、実際にテレワークを利用した職員の割合(平均)は以下の通りです。
団体数(割合) | |
---|---|
0%以上10%未満 | 378(41.3%) |
10%以上30%未満 | 120(13.1%) |
30%以上50%未満 | 40(4.4%) |
50%以上80%未満 | 29(3.2%) |
80%以上 | 20(2.2%) |
不明 | 329(35.9%) |
出典:地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果の概要
このことから、都道府県や指定都市ではテレワーク導入が進んでいるものの、実際にテレワークを利用している職員の割合は非常に低いということが分かります。
テレワーク推進の課題と国からの支援策
テレワークの導入が進まない、またテレワークの仕組み自体は導入していても実施率が低いといった状況が長引いている原因として、以下のような課題が挙げられます。
- 窓口業務・相談業務などテレワークに馴染まない業務が多い
- 情報セキュリティの確保に不安がある
- テレワーク導入にともなうコストが大きい
- 勤怠管理・作業管理などが難しい
- 就業規則の条件変更・改定が必要となる
- そもそもどのように進めれば良いか分からない など
自治体業務の多くは窓口での対応が必要であり、テレワークへの移行が難しいという点が最大の課題です。
また個人情報の取り扱いを含むためセキュリティ対策にも懸念が残りますし、セキュリティを強化するとなるとシステム開発に多大の費用がかかってしまいます。
こうした理由から、自治体でのテレワーク導入は現在でも思うように進んでいないのが実情です。
この結果を受けて、総務省では自治体のテレワーク導入を推進するために以下のような支援を実施しています(既に終了した事業を含みます)。
- テレワークの導入に係る経費について、特別交付税措置を実施
- テレワークマネージャーによる相談体制の強化
- 地方公共団体におけるテレワーク推進のための手引きを提供
- LGWANを活用したテレワーク推進実証実験
- 地方創生テレワーク交付金の交付 など
そして、これらの支援を活用し、実際にテレワークの導入・普及に成功している自治体も存在します。
テレワークの導入に成功した事例
ここからは、テレワークの導入・定着を実現した自治体の取り組み事例を見ていきましょう。
(世の中の先進事例として紹介しているため、当社が直接関与していない事例を含んでいます)
ICT化の推進で業務のデジタル化に成功
テレワーク推進に伴っていち早くICTツールを導入し、業務のデジタル化に成功した事例です。
こちらの事例では、電子決済・電子申請・押印の廃止等を行い業務の ICT 化を推進すると共に、チャットツール・Web 会議を導入してテレワーク中でも気軽な連絡を取りやすい環境作りを行いました。
また各種ツールを使いこなしてもらうためのハンドブックを作成することで、職員全体のITリテラシーを向上させ、デジタル活用を定着させる取り組みも行われています。
全職員を対象としたテレワーク導入
実証実験を経てテレワークの実施対象を全職員(約4,000名)に拡大し、テレワークを普通の働き方として定着させることに成功した事例です。
1人1台のPC設置・タブレットやノートPCなどのモバイル端末導入・サテライトオフィスの設置といった取り組みにより、全職員のテレワーク実施を実現。
こちらの事例では、記録的な大雪で出勤が難しい状況でも400人を超える職員が在宅・サテライトオフィスからテレワークで業務にあたるなど、BCP対策の効果も出ています。
旧庁舎を活用したサテライトオフィスの設置
合併によって空き部屋となっていた旧庁舎の施設を活用し、サテライトオフィスからのテレワーク利用を実現した事例です。
本庁舎まで出勤しなくても本庁舎と同様のネットワーク環境で仕事ができるようになり、市民の自宅訪問や現場訪問の移動時間削減といった効果が出ています。
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テレワークの推進は「自治体DX推進計画」の重点取組事項に挙げられているテーマの1つであり、今後導入に向けた動きが加速していくことは間違いないでしょう。
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