ICTの活用によって都市が抱える様々な課題を解決し、生活の質の向上を目指そうとする取り組み「スマートシティ構想」に着手する自治体が増えています。
この記事では、現在の自治体が抱える課題とスマートシティ構想の概要、またスマートシティ化がもたらす変化について解説します。
スマートシティ化に向けた取り組みを実践している自治体の事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
自治体で推進されている【スマートシティ構想】とは?
まずは、スマートシティ構想の概要とスマートシティ化がもたらす生活の変化について詳しく見ていきましょう。
スマートシティの定義
スマートシティとは、IoTやAI等の最新技術を活用して、地域のインフラ機能を高めたり、環境問題や人口減少等の課題解決を図ったりする取り組みのことです。
国土交通省が公表した「スマートシティの実現に向けて【中間とりまとめ】」では、スマートシティ構想について以下のように定義されています。
都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区
スマートシティ化の背景にある“自治体の課題”とは
スマートシティ構想が注目されている背景として、自治体の労働人口減少や都市部への人口集中の加速が挙げられます。
2020年時点で約7,406万人いる生産年齢人口(15歳~64歳)が、2040年には5,978万人程度まで減少するという予測が総務省から出されており、人口減少に伴う自治体の労働力不足は大きな課題の1つです。
特に地方では、都市部へ人口が流出することによる高齢化・過疎化といった課題もあり、こうした課題解決の手段としてスマートシティを推進する自治体が増えているのです。
スマートシティ化が都市・住民にもたらす変化
スマートシティの実現によって期待される変化・効果には以下のようなものがあります。
生活する住民側の視点
概要 | スマートシティの例 | |
---|---|---|
生活の質を高める余剰時間 | 物理的な距離や時間的な制約から解放され、一人一人にとって有限な時間を最適かつ、より自由に使うことを可能にします。 | テレワークや在宅勤務の実現(テレビ会議システム)・購入から受取までをシームレス化(Eコマースの発達)・車内時間の有効活用(完全自動運転) |
経験の充実を図る 場所としての都市 |
スマートシティの実現でできた余剰時間を、ヒト・モノ・コトに出会うための経験的な活動に充てることで、その場所でしか得られない価値が生み出されます。 | 交通機関間のシームレス化(MaaSサービス)・待ち合わせ+αの活動(コンパクトシティの構築) |
都市の管理者・運営者の視点
概要 | |
---|---|
静的データから 動的データの利用へ |
IoT・Wi-Fi・GPS等により収集されるビッグデータを活用することで、リアルタイムのデータに基づく確度の高い将来予測の実現が可能です。また良質なデータを社会全体で取得・蓄積することにより、災害時や復旧・復興への活用も見込まれます。 |
マクロ視点から ミクロ視点へ |
地域やメッシュの中のピンポイント(ミクロ)におけるヒト・モノ・コトの状況分析が可能となり、施設配置や整備の最適化を実現します。 |
エピソードベースから エビデンスベースへ |
定量的かつ客観的なデータに基づいた判断や、多様なデータを活用した多角的な検証による施設立案を行うことが可能です。 |
分野個別から 分野横断の解へ |
多様な主体がデータを共有・掛け合わせることで、1つのデータが分野を超えて応用・最大化され、持続可能な都市サービスの提供を可能にします。 |
スマートシティへの取り組みが進む国内の自治体事例
ここからは、スマートシティの実現に向けて具体的な取り組みを行っている自治体の事例を紹介します。
(世の中の先進事例として紹介しているため、当社が直接関与していない事例を含んでいます)
AI・IoT・5G等を活用した次世代まちづくり
子育て世代に選ばれるまちづくりの一環として、AI・IoT・5G等を活用したスマートシティへの取り組みを行っている自治体の事例です。
こちらの事例では、自治体からのきめ細かな事前説明や運用ルールの明確化によってスムーズに市民の理解を得られたことがスマートシティの早期実現に繋がっています。
課題 | 県の平均と比較して高い犯罪発生件数・認知症の恐れのある方による徘徊 |
---|---|
自治体の取り組み概要 | 見守りカメラおよび見守りサービスの導入・移動式検知器の公用車への搭載 等 |
効果 | 刑法犯認知件数(人口千人あたり)が1.1335(平成29年5月)から0.5683(令和1年11月)に低減 |
近隣自治体間での広域防災協力に向けたIoTプラットフォームを構築
南海トラフや豪雨等の自然災害への対策、また近隣自治体の連携による迅速な情報共有を実現するために、防災面のスマートシティ化を進めている自治体の事例です。
近隣自治体および関連事業者と議論を重ね、相互理解を深めたうえで事業を実施したことで高い効果を発揮しました。
課題 | 自然災害対策および災害対策における近隣自治体との連携 |
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自治体の取り組み概要 | 広域防災協力のためのIoTプラットフォームの構築・複数自治体での共同利用モデルの開発 |
効果 | 自然災害時の被害の軽減・運用費負担の軽減 |
参加者の成果に応じたインセンティブを付与するプログラムの実施
徒歩や公共交通機関を中心とした環境の実現を目指している自治体の事例です。
大型商業施設や地下施設との協力連携によって、積雪のある冬季においても安全・快適に歩行できる環境を整備したことがスマートシティの成功に繋がっています。
課題 | その他の政令市と比較して低い健康寿命・自動車分担率の増加 |
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自治体の取り組み概要 | データ蓄積、加工、活用のためのデータプラットフォームの構築・参加者の行動(歩行・健康改善・講座受講等)に応じてインセンティブを付与するプログラムの実施 |
効果 | 約3,350歩/日の増加、約74,500円/人・年の想定医療費抑制効果 |
まとめ
少子高齢化や地域産業の衰退といった社会課題を解決し、国全体の更なる発展を目指していくうえでスマートシティの実現は不可欠だと言えるでしょう。
NECネッツエスアイでは、住民サービスのデジタル化や持続可能な社会の実現を支援するための様々なソリューション・サービスを提供しています。
どのようにスマートシティを進めていけば良いかお悩みの自治体職員の方は、ぜひ一度NECネッツエスアイへお問合せください。
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