顧客情報や商品情報、住所録の管理などに便利なデータベース管理ソフトが「Microsoft Access」です。
Accessでは、Excelよりも大量のデータを扱うことができ、複雑な条件による抽出も可能です。
データ処理にExcelを使っていて、「ファイルが重い」「関数やマクロを組むのが面倒」といったお悩みを抱えていた方は、Accessに変えることで作業を大幅に効率化できるでしょう。
本記事では、Accessの概要と、お得に使える購入方法を解説します。
Accessについて
まずは、Microsoft Accessとはどんなアプリケーションなのかを見てみましょう。
Microsoftのデータベース管理ソフト
Accessは、Microsoft社が提供するリレーショナルデータベース管理ソフトです。
リレーショナルデータベースとは、テーマごとにテーブルを作成してデータを格納し、テーブル同士を関連付けてデータを結び付けるデータベースのことです。
複数のテーブルに格納されたデータの抽出・集計には「クエリ」という機能を用います。
クエリでは抽出するフィールドや詳細条件を指定でき、並べ替えや計算を行うことも可能ですので、クエリを活用すれば必要なデータを自在に取り出すことができます。
Excelとの違い
企業では、データの集計にExcelを利用しているケースも多いですね。
Excelはデータの並び替え、フィルタ、抽出など簡易的なデータベースとして活用できますが、本来は表計算ソフトですので、大量のデータ処理には向きません。
Excelでは1つのワークシートに保存できるデータの件数に上限があり、最大1,048,576行 × 16,384列、1つのセルに入る文字数は32,767 文字までです。
Accessには文字数や行数に上限がありません。
容量は1つのデータベースにつき2GBまでとなっていますが、この容量の範囲内であればいくらでもデータを追加することができます。
デスクトップアプリのみ提供
2023年現在、AccessにはWebアプリがありません。
パソコンにインストールして使うデスクトップアプリのみの提供となっていますので、Microsoft 365のプランでAccessを使用する場合は、デスクトップアプリが提供されているプランを選択する必要があります。
また、Word、ExcelなどのOfficeアプリがブラウザ上で無料で利用できる「Office Online」にもAccessは含まれていません。
Windows専用
AccessはWindowsPC用のみで、Macでは動作しません。
OfficeやMicrosoft 365でWindows・Mac両方に対応できるライセンスの場合も、Mac用のインストーラにはAccessが含まれていませんのでご注意ください。
また、モバイルアプリの提供もないため、スマホやタブレットから利用することもできません。
Accessを使いたい場合は、WindowsPCを用意しましょう。
入手方法
Accessは有料ライセンスが必要なアプリケーションですので、利用するには下記いずれかの方法でライセンスを購入する必要があります。
単体で購入する
Accessだけを購入したい場合、単体の買い切り型ライセンスがあります。
Microsoftの公式で販売されている価格は20,590円(WindowsPC 2台で利用可能)です。
Office2019・2021のライセンスを購入する
Officeの買い切り型のライセンスを購入すれば、他のOfficeデスクトップアプリとセットで入手することもできます。
Office2019・2021では、上位プラン「Professional」のみ、Accessが含まれています。
Microsoft 365のサブスクリプションを契約する
OfficeアプリとAccessを使う場合、買い切り型のライセンスの他に、サブスクリプションの「Microsoft 365」を契約する方法もあります。
用途や予算に合わせてさまざまなプランが用意されていますが、全てのプランにAccessが含まれているわけではありません。Accessを使用したい場合は対象のプランを確認してから契約しましょう。
法人向け各プランの内容は公式サイトでは下表のようになっています。
一般法人向け(ユーザー数300人以下)
月額利用料(税抜)※ | Access | プラン内容 | |
---|---|---|---|
Microsoft 365 Apps for business |
1,030円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ |
Microsoft 365 Business Basic |
750円 | – | Webアプリ |
Microsoft 365 Business Standard |
1,560円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ+グループウェア |
Microsoft 365 Business Premium |
2,750円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ+グループウェア+高度なセキュリティ |
※料金は年契約の場合・Microsoft公式サイト料金の2023年12月時点での情報です
大企業向け(人数無制限)
月額利用料(税抜)※ | Access | プラン内容 | |
---|---|---|---|
Microsoft 365 Apps for enterprise |
1,500円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ |
Microsoft 365 E3 |
4,500円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ+グループウェア |
Microsoft 365 E5 |
7,130円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ+グループウェア+高度なセキュリティ |
Office 365 E1 |
1,250円 | – | Webアプリ(旧プラン) |
Office 365 E3 |
2,880円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ+グループウェア(旧プラン) |
Office 365 E5 |
4,750円 | 〇 | Officeデスクトップアプリ+グループウェア+高度なセキュリティ(旧プラン) |
※料金は年契約の場合・Microsoft公式サイト料金の2023年12月時点での情報です
無料で使う(試用版)
Word、ExcelなどのOfficeアプリには、簡易的な機能しか持たないWeb版が無料で提供されています。
しかし、AccessにはWeb版がないため、無料で使う方法はありません。
例外として、導入前の試用が目的の場合には、Microsoft 365の体験版を利用する方法があります。
Microsoftの公式では、一部のプランの無料試用版が提供されていますので、Accessが含まれているプランのトライアルに申し込めば、1カ月間無料でAccessの機能を試すことができます。
Accessを使うなら法人向けMicrosoft 365がおすすめ
OfficeアプリとAccessを継続して使う場合は、サポート期限がなく買い替え不要なMicrosoftのサブスクリプション「Microsoft 365」が最もお得な買い方と言えます。
ライセンス買い替えの出費を考慮すると、サブスクリプションの料金は決して高いわけではありません。
Microsoft 365ならモバイルデバイスにも対応し、最大5台まで利用できるので、パソコン専用の買い切り型ライセンスを買うよりコスパが良いと言えるでしょう。
契約中は追加料金不要でアプリがアップデートされるから、常に最新の機能追加やセキュリティパッチが適用されるのも魅力です。
Officeアプリの利用がメインならば、「Microsoft 365 Apps for business」、
TeamsやSharePoint Onlineなどのグループウェアも活用したいなら「Microsoft 365 Business Standard」
がおすすめです。
Access単体製品・Office2021・Microsoft 365の比較
価格(税込) | プラン形態 | 利用台数 | 含まれるアプリ | |
---|---|---|---|---|
Microsoft Access | 20,590円 | 買い切り型 | Windows PC2台 | Accessのみ |
Office Professional 2021 | 75,650円 | 買い切り型 | Windows PC2台 | Access、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Publisher |
Microsoft 365 Apps for business | 12,360円(12カ月分) | サブスクリプション | 最大5台まで同時利用※ | Access、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Publisher、OneDrive |
Microsoft 365 Business Standard | 18,720円(12カ月分) | サブスクリプション | 最大5台まで同時利用※ | Access、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Publisher、OneDrive、Teams、SharePoint Online 他 |
※料金は年契約の場合・Microsoft公式サイト料金の2023年12月時点での情報です
※パソコン・タブレット・スマートフォン合計5台まで利用可能。ただし、Access、PublisherはWindowsPCのみ対応
Microsoft 365デスクトップアプリの使い方
Microsoft 365のデスクトップアプリはインターネット経由でダウンロードや更新を行います。
インストールメディアが必要ないから、ネットワーク環境があればどこにいてもアプリのインストールが可能で、パソコン買い替え時の移行もスムーズです。
ここでは、新しいデバイスを初めて利用する際のセットアップ方法を解説します。
インスト―ル
新しいパソコンで初めてMicrosoft 365を利用する際は、デスクトップアプリのインストールを行います。
Microsoft 365では、プランに含まれるアプリが一斉インストールされますので、アプリ個別にインストール作業は必要ありません。
- ライセンスが紐づけられているアカウントで、Office.com(https://www.office.com//)にサインインします。
- 右上のユーザーアイコン→「アカウントを表示」の順にクリックします。
- 「Officeアプリ」を選択します。
- 言語とバージョンを選択し、「Officeのインストール」をクリックします。
- ダウンロードされたファイルを実行してインストールを行ってください。
アップデート
Microsoft 365では、契約期間中はアプリが最新版にアップデートされます。
アップデートは自動で行われますが、バージョンが古い場合やすぐにアップデートを適用したい場合は、手動でアップデートの確認を行ってください。
アップデートはどのOfficeアプリからも可能で、インストールされている全てのOfficeアプリに対して適用されます。
- Officeアプリを起動します。
- 「ファイル」→「アカウント」の順にクリックします。
- 「更新オプション」の「今すぐ更新」をクリックするとアップデートの確認が始まり、最新バージョンが見つかった場合はインストールされます。
記事まとめ
- AccessはMicrosoftのデータベース管理ソフト
- Excelに比べ保存できるデータ件数が多く、処理も早い
- 買い方には「単体製品」「Office買い切り型ライセンス」「Microsoft 365」の3つの方法がある
これからAccessを導入する方や、Officeライセンスの買い替えを控えている方には、Microsoft 365でAccess付きのプランを契約することをおすすめします。
各プランの詳細やプラン選びのご相談は、Microsoftの販売店であるNECネッツエスアイへお気軽にお問い合わせください。