2023年3月、MicrosoftはOfficeアプリケーションにAIを組み込んだ新時代のツール「Microsoft 365 Copilot(コパイロット)」を発表しました。
本記事では、Officeユーザーの業務の多くを自動化・効率化できると評判のMicrosoft 365 Copilotについて、
- 製品の特徴
- 価格
- リリース時期
など、気になる情報をまとめました。
Microsoft 365 Copilotの特徴
Copilotとは「副操縦士」という意味です。
機長(=あなた)の役目は指示を行うことです。Microsoft 365 Copilotは、指示を正確に理解し、代わりに手を動かし、成果物を届けてくれます。
アプリに組み込まれたAIツールで、どうしてこのようなことが可能となるのでしょうか。
Microsoft 365 Copilotの製品特徴から見ていきましょう。
生成AI搭載
生成AI(Generative AI)とは、自らコンテンツを生成できるAIを指します。
従来AIのイメージは、「決められた処理を反復する」「学習した情報から適切なものを選択・予測して出力する」といったものが大半でした。
生成AIは、既存のものからの選択や予測にとどまらず、学習したデータをもとに、新しいコンテンツを創造することができます。
例えばMicrosoft 365 Copilotに資料作成を依頼した場合、既存の資料の単なる流用ではなく、内容にふさわしいアレンジを加えるところまでAIが行ってくれるのです。
自然言語で指示が可能
Microsoft 365には、すでに「Power Automate」などの自動化ツールが含まれています。
Power Automateはプログラミング言語不要でフローを作成できるローコードツールですが、作成するには型やルール通りに手順を設定していく必要がありました。
Microsoft 365 Copilotでは、「このメモを1ページのWordにまとめて」といったふうに、普段私たちが使っている自然言語での指示が可能です。
つまり、AIへの指示方法やルールを学習するために余計な時間を割く必要はなく、思いついたアイデアをすぐ形にすることができるのです。
Microsoftのツール間で横断的な作業ができる
Microsoft 365では、TeamsやSharePointをハブにして、アプリ・ツール同士をシームレスに連携させる使い方が特徴でした。
Microsoft 365 Copilotも、複数のツールにまたがる作業に対応しています。
「Excelのデータをグラフ化してメールに貼り付けて」といった処理は、クラウドベースのMicrosoft 365という土台があるからこそ実現できるものと言えるでしょう。
Microsoft 365 Copilot利用方法
身近なビジネスシーンで利用できるAIとして注目の集まるMicrosoft 365 Copilotですが、利用するにはどうすればよいのでしょうか。
Microsoft 365 Copilotの利用方法について、現在発表されている内容をまとめました。
※情報は2023年8月時点のものです。
いつから利用できる?
Microsoft 365 Copilotが発表されたのは、2023年3月です。
そこからテスト期間を経て、2023年5月にアーリーアクセスプログラムが開始されました。
現在利用できるのは、このプログラムへの参加者のみです。
一般向けのリリース日や日本国内での販売時期は未発表となっていますので、今後の情報をお待ちください。
契約方法・利用条件は?
Microsoftの発表によると、Microsoft 365 Copilotは単体での販売ではなく、Microsoft 365の特定のプランとセットでの契約となります。
対象のライセンスは、ビジネス向けの4つのプランです。
Copilotを利用するには、次のどれかのプランに加入していなければなりません。
プラン名 | ユーザー数上限 | 公式価格(ユーザー/月)※ |
---|---|---|
Microsoft 365 Business Standard | 300人以下 | 1,560円 |
Microsoft 365 Business Premium | 300人以下 | 2,750円 |
Microsoft 365 E3 | 無制限 | 4,500円 |
Microsoft 365 E5 | 無制限 | 7,130円 |
※年契約の場合
価格は?
2023年7月18日、MicrosoftはCopilot正式版の価格を月額30ドル(ユーザー1人あたり)と発表しました。
日本での販売価格はまだ発表されていません。
CopilotはMicrosoft 365のオプションとなりますので、Microsoft 365のライセンス料金にCopilotの利用料が追加される形となります。
Microsoft 365 Copilotでできること
Microsoft 365 Copilotの最大のメリットは、情報の検索・要約・出力をあっという間に処理できる点です。
Officeアプリに組み込まれているため、Microsoft 365 Copilotでは成果物を出力するところまでこなしてくれます。
Microsoftが発表したデモ映像からわかるCopilotの機能・活用例を見てみましょう。
Outlookーメール整理、返信
Outlookでは、メールの検索・解析・ドラフトの提案などを行うことができます。
例えば、メールが溜まって読み切れない時は、Copilotに指示すれば優先度を判断し、フラグを立ててくれます。
メールのやり取りが続いて情報量が増えてしまった場合は、スレッドの要約も可能です。
返信作成を依頼すると、過去のやり取りの内容を踏まえた下書きを作成してくれます。
ビジネスメールとして適切な明瞭性、感情、トーンに整えることもできますので、推敲にかかる時間も短縮されます。
Word:文書作成、推敲
Wordでは、文章の作成、編集、レイアウト、要約などの処理を任せることができます。
下書きの作成を依頼する際、必ずしも長文で内容を指示する必要はありません。
メモや議事録、商品カタログなどの資料を提示して「提案書を作成してください」と指示すれば、資料の内容をまとめて提案書の形にアウトプットしてくれます。
また、出来上がった文章に対し「ですます調に変更してください」「カジュアルな文体にしてください」など、口調やトーンの変更指示も可能です。
PowerPoint:資料をもとにプレゼンテーション作成
プレゼンテーションの作成では、さまざまな資料を参照してデータを集めなければならないことも少なくありません。
このような場合も、Microsoft 365 Copilotを使えばデータの収集・整理・配置を自動化できます。
また、Word文書をもとに「10ページのプレゼンテーションを作成してください」と指示すると、Copilotが元の資料をベースに視覚的効果の高いプレゼンを仕上げてくれます。
PowerPointで資料を作成する際、デザインやレイアウトなど「見栄え」の部分に時間がかかってしまうのはよくあることですが、Microsoft 365 Copilotを使えば容易にスタイリッシュなデザインにまとめたり、他の資料の体裁に合わせたりすることが可能です。
Excel:データ作成、視覚化、分析
Excelで高度な処理を行うには関数やマクロの知識が必要でしたが、Microsoft 365 Copilotを使えば自然言語で指示するだけで関数の処理やデータの加工が可能となり、これまでExcelに苦手意識があった方でも簡単にデータを扱えるようになります。
さらに、Copilotで処理できるのはデータの作成に留まりません。
データを元にグラフや画像を作成したり、なんと分析までできてしまうのです。
例えば、売上データから今後の売上予測を行ったり、売上が落ちた理由を分析するといったことまでもが、Copilotの利用で可能となります。
Teams:会議の要約
Microsoft 365 Copilotなら、Teams会議をやむを得ず欠席しなければならない場合のフォローも可能です。
Copilotが参加できなかったミーティングの内容を要約してくれますので、長時間の録画データを確認しなくても素早く概要を把握できます。
また、会議中にこれまでの議論をまとめることも可能です。
遅れて参加した場合や、聞き逃して会話についていけなくなった場合にも、会議の流れを妨げずにキャッチアップすることができます。
よくある質問
生成AI・対話型AIをビジネス利用することについて、不安のある方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、ChatGPTの利用に関しては、次のような注意喚起がなされています。
- ChatGPTに質問をして返ってきた回答の中には、誤情報が含まれていることがある
- 入力した情報が学習データとして利用されることがある
Microsoft 365 CopilotのベースはChatGPT(GPT-4)ですが、ChatGPTを直接使うのと、プログラムに組み込まれたサービスで使うのとでは、実は情報の扱いが異なるのをご存じでしょうか。
Microsoft 365 Copilotの導入に関し多くの企業様が懸念されている点について、Q&A形式でまとめました。
データの根拠は?信頼できる?
ChatGPTが誤った回答をする原因はAIの性能のせいではなく、情報源にあります。
新聞記事や書籍だけではなく、Wikipediaや個人ブログなど様々な情報源からデータを収集するため、時には誤った内容をそのまま学習してしまうのです。
Microsoft 365 Copilotの情報源は、大規模言語モデル(LLM)とビジネスデータです。
Microsoft Graphを介して自社のビジネスデータに接続するため、Microsoft 365のツールや過去のメール、資料などからも学習します。
AIは正誤を判断できないため100%正確とは言い切れませんが、自社データをベースに出力した情報は、かなり信頼度が高いといえるのではないでしょうか。
セキュリティ面は安全?
ビジネスに対話型AIを導入することで、情報漏えいを懸念する企業様も多くあります。
Microsoft 365では、データはテナントによって分断・保護されているため、外部には流出しません。
Copilotは自社のビジネスデータから学習しますが、そのデータの活用はテナント内に限られますので安心して利用することができます。
Copilotのリリースはいつ?記事まとめ
ビジネスにおけるAIの利用は、近年急速に進展しています。
AIをうまく活用することで、単純な業務や反復的な業務の自動化や効率化を進め、コア業務へリソースを移行させることが可能となるからです。
Microsoft 365 Copilotは、「信頼性が高く、毎日の業務で気軽に使えるAI」として、ビジネスシーンに新たな可能性を生み出してくれることでしょう。
この記事を提供しているネッツエスアイはMicrosoft365の販売店です。2023年9月現在、Microsoft 365 Copilotを搭載したプランは一般販売がされておりません。(2023年11月にリリース予定と発表あり)
Microsoft 365 Copilotを搭載したプランなどの詳細が決まり次第またお知らせをしていきますので情報をお待ちください。