Microsoft 365を使っていて、動作が遅い・重いと感じたことはありませんか。
さまざまなアプリやサービスが含まれていて、一見複雑そうなMicrosoft 365の不具合。けれども、適切な切り分けさえできれば解決方法を見つけることは難しくありません。
Microsoft 365の動作が遅い場合の原因の切り分け方と、原因別の対処方法を確認しておきましょう。
Microsoft 365が遅い!原因は
Microsoft 365の動作が遅い・重い場合の原因は、大きく分けて3つに分類されます。
- ネットワーク要因:ネットワークの帯域不足や遅延でクラウドへの接続が遅い
- クライアント(パソコン)要因:パソコンのメモリ不足やセキュリティソフトの影響によるパフォーマンス低下
- アプリ要因:Microsoft 365のアプリ個別の不具合
まずは、どれに当たるかの切り分けを行って原因を絞り込むと、解決への近道になります。
ネットワークが原因で遅い場合の対策
ネットワークが原因でMicrosoft 365が遅い場合は、
- OneDriveのファイルにアクセスできない
- Teams会議で映像や音声が途切れる
- Microsoft 365のインストールや更新が終わらない
といった影響が出ます。
ネットワークの遅延が原因の場合に見直すべき点を考えてみましょう。
社内ネットワークの最適化
Microsoft 365をはじめとしたSaaSの普及で、トラフィックが著しく増加しています。
しかし、クラウドサービスを導入しても、合わせて社内ネットワークの最適化まで行っている企業は多くはないようです。
従来型の社内ネットワークでは、各拠点のWANをデータセンターに集約し、データセンター内のプロキシサーバー経由でインターネットに接続していました。
この方法ではすべてのトラフィックが一箇所に集中してしまうため、負荷が高くなり帯域不足や遅延が発生してしまいます。
クラウド化を進める際には、ネットワークの強化という課題も合わせて考える必要があるのです。
まずはMicrosoft 365の監視で通信を可視化し、改善点を洗い出しましょう。
安定した接続先の確保
ネットワークの変更は管理者に任せるしかありませんが、ユーザーとしては、なるべく安定した接続先を確保することがネットワーク遅延解消のカギとなります。
有線LANの利用
インターネット接続は無線よりも有線接続の方が速度が速く、通信も安定します。
Microsoft 365が遅い場合、近くに有線LANがあれば有線接続に切り替えてみてください。
有線で接続しているのに著しく遅い場合は、ケーブルが劣化している可能性もあります。
他のケーブルに交換したり、接続するポートを変えてみてください。
Wi-Fiの場合は障害物を取り除く
Wi-Fiは障害物や電波などの影響を受けやすく、通信が不安定になってしまうことがあります。
電子レンジなどの電波を発する機器とルーターを離して置いたり、壁や障害物に覆われていない場所に設置してみてください。
クライアント(パソコン)が原因の場合の対処方法
Microsoft 365だけではなくパソコン本体が重い・パフォーマンスが低下しているときは、次の点を確認してみてください。
まずは再起動
パソコンに何か不具合が起きたときに試したいのが再起動です。
再起動してメモリをリフレッシュすることで、パフォーマンスが改善することがあります。
Microsoft 365が遅い場合も、まずはパソコン本体を再起動してみましょう。
セキュリティソフトを停止する
パソコンにインストールされているセキュリティソフトが、他のアプリの動作に影響を与えていることがあります。
セキュリティソフトを停止してみてMicrosoft 365の動作が改善するか確認してみましょう。
Microsoft 365アプリが遅い場合の対処方法
Word(ワード)やExcel(エクセル)などのアプリの動作が、もっさりしていて遅いと感じることはありませんか。
これらのアプリが重いと、業務に直接影響が出てしまいますね。
Microsoft 365で個別のアプリが遅い場合の対処方法を紹介しますので、該当のアプリの項目を読んで実践してみてください。
Outlookが遅い
セーフモードで起動する
「セーフモード」とは、最低限の構成でアプリを起動するモードです。
Outlookが遅い場合、まずはセーフモードで起動してみて原因の切り分けを行います。
- Windowsの検索ボックスに「outlook.exe /safe」と入力して検索します。
- 検索して出てきたプログラムを実行します。
セーフモード起動した場合に問題がなければ、アドインや設定が原因と考えられます。
次の手順でアドインを無効化してみましょう。
Outlookアドインを無効化する
アドインの読み込みがOutlookの動作に負荷をかけている可能性があります。
アドインを無効化して、直るかどうか見てみましょう。
- Outlookを起動して「ファイル」→「オプション」→「アドイン」の順にクリックします。
- 下の方にあるプルダウンで「COMアドイン」を選択して「設定」をクリックします。
- アドインのチェックを外して「OK」をクリックします。
Outlookデータファイルの修復
Outlookが遅い場合は、Outlookデータファイル(.pst)の破損が原因かもしれません。
Microsoft の「受信トレイ修復ツール」で修復してみましょう。
- 「受信トレイ修復ツール」の場所を開きます。保存場所はお使いのOutlookのバージョンによって異なります。(例)Outlook 2019の場合… C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16
- 「SCANPST.EXE」を実行します。
- 「参照」をクリックして、Outlookデータファイル(.pst)を選択します。(※)
- 「開始」をクリックします。
- エラーが検出されたら「修復」をクリックします。
※Outlookデータファイルの場所がわからない場合は、Outlookを起動して「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」の順に選択し、「データファイル」タブで確認してください。
プロファイルを修復する
Outlookのプロファイルが破損しているとパフォーマンスに影響が出ます。
次の手順でプロファイルの修復を行ってみましょう。
- コントロールパネルを開きます。
- 「メール」をクリックします。
- 「電子メールアカウント」をクリックします。
- 「メール」タブでアカウントを選択して「修復」をクリックします。
- 修復が完了したらOutlookを再起動します。
Wordが遅い
未処理の変更履歴やコメントを減らす
承認されていない変更履歴やコメントが大量に残っていると、Wordが遅くなることがあります。
この場合は変更履歴を承認/拒否するか、コメントを削除すれば改善します。
該当のファイルを開こうとすると固まってしまって処理ができない状態になってしまったときは、次の手順で設定変更後にファイルを開いてみてください。
- 開いているWordをすべて閉じてWordを再起動します。
- 白紙の文書を開きます。
- 「校閲」タブの「変更履歴」グループにあるプルダウンで「すべての変更履歴/コメント」を選択します。
- 「変更履歴とコメントの表示」→「吹き出し」の順に選択し、「コメント/書式のみ吹き出しに表示」に設定します。
- 「ファイル」→「開く」から該当の文書を開いて、変更履歴の承認やコメントの削除を行います。
IMEを修復する
入力・変換が遅い場合は、IMEが破損している可能性があります。
IMEの修復を試してみてください。
- タスクバーのIMEを右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「詳細設定」をクリックします。
- 「辞書/学習」タブで、「辞書の修復」の「修復」をクリックします。
- 「はい」をクリックして修復を開始します。
- 修復が完了したらパソコンを再起動します。
「normal.dotm」を削除する
Wordのテンプレートファイルである「normal.dotm」が破損していると、Wordの動作が遅くなります。
「normal.dotm」はファイルを削除すると自動的に再作成されますので、Wordが遅くなっている場合は一度「normal.dotm」を削除してみましょう。
なお、Wordのバージョンによっては「normal.dot」というファイル名になっていることがあります。
- エクスプローラーのフォルダーオプションで隠しファイルを表示します。
- C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Templates を開きます。
- 「normal.dotm」ファイルを削除します。
Excelが遅い
使わないアドインを無効化する
Excelでも、アドインの読み込みで動作が重くなることがあります。
使っていないアドインを無効化してみましょう。
- Excelを起動して「ファイル」→「オプション」→「アドイン」の順にクリックします。
- 下の方にあるプルダウンで「COMアドイン」を選択して「設定」をクリックします。
- アドインのチェックを外して「OK」をクリックします。
自動計算を無効にする
自動計算が有効になっていると、たびたび再計算が行われるためExcelが重くなります。
計算方法を手動に変えると改善することがあります。
- 「ファイル」→「オプション」→「数式」の順にクリックします。
- 「ブックの計算」の計算方法を「手動」に切り替えて「OK」をクリックします。
数式を値に変える
セルに大量の数式が入っていると処理が重くなってしまいます。
再計算を行わないセルは静的な値に変えてしまいましょう。
数式が入っている部分をコピーし、右クリック→「値」で貼り付けると数式を削除することができます。
Microsoft 365・Officeの動作がおかしいときの解決法
Microsoft 365・Officeアプリ全体の不具合を解決するには、
- Officeの更新
- Microsoft 365の修復(Windowsのみ)
- Microsoft 365の再インストール
が有効です。
アプリ別の対処法で直らない場合は、これから紹介する解決法を試してみてください。
Officeの更新
Officeを最新バージョンに更新すると、不具合が修正されることがあります。
- Officeアプリ(Word、Excel、Outlookなど)を起動します。
- 「ファイル」→「アカウント」をクリックします。
- 「更新オプション」をクリックして「今すぐ更新」を選択します。
Microsoft 365の修復
Windows PCには、Microsoft 365を修復するツールが入っています。
「Officeアプリの動作が遅い」などMicrosoft 365に不具合があるときは、まずMicrosoft 365の修復を試してみてください。
Windows10での操作手順を紹介します。
- コントロールパネルを開きます。
- 「プログラムと機能」をクリックします。
- Microsoft 365を選択します。
- 「変更」をクリックします。
- 修復方法の選択画面が表示されたら、「クイック修復」を選択して「修復」をクリックします。
- 修復処理が終わるまで待ちます。
クイック修復を実施して直らない場合は「オンライン修復」も試してみてください。
※MacにはMicrosoft 365の修復機能はありません。
Microsoft 365の再インストール
Microsoft 365を修復しても不具合が改善しない場合は、一度アンインストールしてから再インストールしてみましょう。
次の手順はWindows10での再インストール方法です。
Microsoft 365アンインストール手順
- コントロールパネルを開きます。
- 「プログラムと機能」をクリックします。
- Microsoft 365を選択します。
- 「アンインストール」をクリックします。
- アンインストールが完了したら、パソコンを再起動します。
Microsoft 365を再インストールする手順
- Office.com(https://www.office.com/)にサインインします。
- 「Officeのインストール」をクリックします。
- 言語、バージョンを選択して「インストール」をクリックします。
- パソコンにダウンロードされたインストーラを実行します。
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記事まとめ
Microsoft 365が遅い場合の対処方法をまとめました。
Microsoft 365はOfficeアプリだけではなく、TeamsやOneDriveによる共同作業など、今や業務に欠かせないものとなっています。
Microsoft 365のトラブルは業務効率に直結するものですから、動作が遅い場合には原因を的確に切り分け、対処していきましょう。