パソコンソフトウェアの提供形態として、最近主流になりつつあるのがサブスクリプションです。
マイクロソフトでも、さまざまなアプリ・ツールのサブスクリプション化を進めており、Officeアプリは「Microsoft 365」のライセンスがメインとなっています。
これまで永続ライセンスを購入してきた方の中には、「サブスクは高い」という印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、Microsoft 365は本当に高いのかどうか、料金シミュレーションで比較してみました。
「なんだか高そう」という理由でMicrosoft 365への移行を躊躇されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
※なお、以下でご紹介するMicosoft 365の価格はMicrosoft公式のものです。(2023年5月改定済み)
Microsoft 365はどれくらい高いのか
Microsoft 365は、契約期間中の料金を支払うサブスクリプションの商品です。
従来のOfficeの永続ライセンスは、一度購入すれば追加料金なしで使えるものでした。
それに比べると、毎月・毎年課金が発生するMicrosoft 365は割高に思えるかもしれません。
Officeの永続ライセンスとMicrosoft 365では、どのくらい金額に差がつくのでしょうか。
Office2021と価格を比較
Microsoft 365とOfficeの永続ライセンスを継続利用した場合の価格を比較したものが下表です。
【個人向けライセンスの場合】
Microsoft 365 Personal | Office Personal 2021 | |
---|---|---|
1年利用 | 12,984円 | 32,784円 |
3年利用 | 38,952円 | 32,784円 |
5年利用 | 64,920円 | 32,784円 |
※Microsoft公式サイト料金の2023年5月時点での情報です
【法人向けライセンスの場合】
Microsoft 365 Business Standard | Office Professional 2021 | |
---|---|---|
1年利用 | 18,720円 | 65,784円 |
3年利用 | 56,160円 | 65,784円 |
5年利用 | 93,600円 | 65,784円 |
※Microsoft公式サイト料金の2023年5月時点での情報です
どちらの場合も、1~2年の利用ではOffice2021の方が高いですが、5年使った場合にはMicrosoft 365が永続版ライセンスよりもかなり高くなってしまいます。
けれども、Office永続版ライセンスはサポートが切れたら買い替えなければなりません。
メインストリームサポートの終了日は、発売後5年程度で設定されています。
発売同時にOfficeを購入したとしても5年ごとに買い替えが発生します。購入する時期によってはサポート終了までの期間が5年より短くなってしまう場合もあるでしょう。
Office2021とMicrosoft 365のどちらが高くなるかは利用年数によって変わります。買い替えにかかる費用とサイクルを考慮すると、必ずしもMicrosoft 365が高いとは言い切れないようです。
目的別に比較!高いのはどっち?
前章では標準的なプランで比較しましたが、実際の利用を想定して考えてみましょう。
Case1.Officeアプリだけ使う場合
Officeアプリ(Word、Excel、PowerPoint、Outlook)だけを使えればよい場合の例です。
Microsoft 365 Apps for Businessは、Officeのデスクトップアプリを手頃な価格で利用できるプランです。
Officeアプリ以外の機能が省略されているため、他のMicrosoft 365のプランよりも安価に設定されています。
3年程度利用した場合、Microsoft 365とOffice永続ライセンスの料金に大きな差はありませんが、Office2021はパソコン2台までなのに対し、Microsoft 365では最大でデバイス5台までインストールできます。
会社とテレワークでパソコンを使い分けている場合や、スマホ・タブレットを併用している場合は、複数台で同時に利用できるMicrosoft 365が便利ですね。
Microsoft 365 Apps for Business |
Office Home & Business 2021 | |
---|---|---|
Officeアプリ | 〇 | 〇 |
利用台数 | 5台まで | 2台まで |
OneDriveクラウドストレージ | 1TB | – |
1年利用 | 12,360円 | 38,284円 |
3年利用 | 37,080円 | 38,284円 |
Case2.Teamsを使う場合
ビジネスには欠かせないWeb会議・チャットツール。
マイクロソフトが提供する「Teams」は、Microsoft 365の多くのプランに含まれています。
Teamsには無料版もありますが、グループ会議は60分までの時間制限付きです。
Officeの永続版ライセンスでTeamsを使いたい場合、Teams単体のプラン「Microsoft Teams Essentials」を追加することもできますが、Teamsだけで年間5,160円(1カ月430円)かかるため、割高感は否めません。
その上、Teamsの単体プランにはOneDriveのストレージが10GBしか付いていません。
Teams上のファイル共有やレコーディングはOneDrive上に保存されますので、Microsoft 365で1TBのストレージを入手したほうが、容量を気にすることなく活用することができるでしょう。
Microsoft 365 Business Standard |
Office Home & Business 2021 | |
---|---|---|
Officeアプリ | 〇 | 〇 |
Teams | 〇 | Microsoft Teams Essentials 年間5,160円 |
OneDriveクラウドストレージ | 1TB | (Microsoft Teams Essentials 10GB) |
1年利用 | 18,720円 | 43,444円(Office 38,284円+Teams 5,160円) |
3年利用 | 56,160円 | 53,764円(Office 38,284円+Teams 15,480円) |
Case3.共同作業用のクラウドストレージが必要な場合
テレワークでの共同作業や、複数のデバイスからのファイルアクセスにはクラウドストレージが便利。
Microsoft 365のプランには、ユーザー1人あたり1TB~の大容量クラウドストレージが含まれています。
OneDrive単体で契約する場合、最も安いPlan1で年間6,480円(1カ月540円)かかります。セキュリティが強化されたPlan2は年間13,080円(1カ月1,090円)です。
Microsoft 365でOneDrive for Businessを利用する場合はPlan2相当のセキュリティが付帯していますので、情報漏えいやデータの損失への備えも万全です。
Microsoft 365 Business Standard |
Office Home & Business 2021 | |
---|---|---|
Officeアプリ | 〇 | 〇 |
OneDriveクラウドストレージ | 1TB | (OneDrive for Business Plan 1 1TB) |
1年利用 | 18,720円 | 44,764円(Office 38,284円+OneDrive 6,480円) |
3年利用 | 56,160円 | 57,724円(Office 38,284円+OneDrive 19,440円) |
Microsoft 365サブスクリプションのメリットとは
Officeの永続ライセンスからMicrosoft 365のサブスクリプションに変えると、価格以外にもメリットがあります。
利用台数が多い
Microsoft 365の利用台数は下表の通りです。
インストール上限 | 同時利用上限 | |
---|---|---|
個人向けライセンス | 無制限 | 5台 |
法人向けライセンス | パソコン5台、タブレット5台、スマートフォン5台 | 5台 |
Office2021ではパソコン2台まででしたが、Microsoft 365では使えるデバイスの種類も、インストール可能台数も多くなっています。
複数デバイスを併用する場合、5台まで同時にログインできるのでソフトを入れ直す手間がありません。
最新版のアプリを利用できる
Officeの永続ライセンスがアップデートされるのは、サポート期限までです。
サポート期限を過ぎてもアプリは動作しますが、セキュリティリスクを抱えた状態になるため利用は推奨されません。
Office2019から2021など、違うバージョンへのアップデートができないため、永続ライセンスでは数年おきに買い替え費用やアプリ入れ替えの手間が発生します。
Microsoft 365にはサポート期限がありません。利用中は常に最新版のアプリを入手できますので、リプレイスのタイミングを気にする必要がなくなります。
ライセンス管理が容易
法人ライセンスの場合、Microsoft 365管理センター上でライセンスを一括管理しています。
ライセンスの割り当てもWeb上での操作のみ。
無効化すれば利用できなくなりますので、ユーザーが退職した場合もデバイスを回収してアンインストールを行う必要はありません。
Microsoft 365をよりお得に利用する方法
Microsoft 365は、サブスクならではのメリットを活かして費用を節約することも可能です。
永続ライセンスは一度購入したら商品の変更や返品はできませんが、サブスク契約なら更新のタイミングでプラン変更や解約も可能なので、無駄のない運用ができるからです。
使い方に合わせたプランを選ぶ
Microsoft 365は、Officeの永続ライセンスに比べプランの種類が多く、Officeから移行する際にはプラン選びで迷ってしまうかもしれません。
最初から多機能なプランを選んでも使わなければ無駄になってしまいますので、必要最低限のプランで始めるのも一つの方法です。
Officeの永続版ライセンスから移行する場合には、OfficeとTeamsが使えるプランから始めるのが良いでしょう。OneDriveは全てのプランに付いています。
Office各製品から移行する場合のおすすめプランは次の通りです。
永続ライセンス | 個人 | 法人(300人以下) | 法人(300人以上) |
---|---|---|---|
Office Personal 2021 | Microsoft 365 Personal | – | – |
Office Home & Business 2021 | Microsoft 365 Personal | Microsoft 365 Business Standard | Office 365 E3 |
Office Professional 2021 | Microsoft 365 Personal | Microsoft 365 Business Standard | Office 365 E3 |
個人用ライセンス「Microsoft 365 Personal」は商用利用可となっていますので、プライベート・業務ともに使えます。
法人の場合は、300人以下の「Business」ライセンスと、ユーザー数無制限の「Enterprise」ライセンスがありますので、利用規模に合わせて選びましょう。
適切な期間で契約する
Microsoft 365は、月契約または年契約を選ぶことができます。
年契約にした場合、月額料金10カ月分で利用できますので、あらかじめ年単位の利用が見込まれる場合は年契約にしておくのがお得です。
ただし、年契約にしていても使わない期間があればロスになってしまいますので、ユーザー数の増減がある場合は月契約にして調整するのがよいでしょう。
記事まとめ
- Microsoft 365とOffice永続ライセンスのコストは3年目で同じくらいになる
- 3年以上利用する場合はMicrosoft 365が高くなるが、Office永続ライセンスは買い替えが必要なため数年おきに大きなコストが発生する
- Microsoft 365は5台まで利用可能で、Office永続ライセンスより利用台数や対応デバイスが多い
- TeamsやOneDriveを単体プランで契約するよりも、Microsoft 365で利用した方が安い
現在、Microsoft 365はOffice永続ライセンスよりもプランの選択肢が多く、使い方・ユーザー数・利用期間などにより柔軟なチョイスができるようになっています。
Microsoft 365の販売代理店であるNECネッツエスアイでは、お客様のご要望に応じたお得なプランのご提案を行っています。
OfficeからMicrosoft 365への移行を検討されていましたら、ぜひ当社へご相談ください。
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