近年「遠隔臨場」への切り替えが進んでいる建設業界ですが、遠隔臨場を行うには、動画撮影用カメラ(ウェアラブルカメラ)およびWeb会議システムの導入が欠かせません。
この記事では、国内トップシェアを誇るWeb会議システム「Zoom」を例に挙げ、遠隔臨場への活用方法やメリットについて解説していきます。
Zoomとの連携が可能なおすすめのウェアラブルカメラも紹介しているので、遠隔臨場の導入をお考えの企業様はぜひ参考にしてみてください。
遠隔臨場とは?国土交通省による試行要領をチェック
遠隔臨場とは、ウェアラブルカメラやWeb会議システムを利用して、建設現場における「段階確認」「材料確認」「立会」をオンライン上で行う仕組みのことです。
ウェアラブルカメラやWeb会議システムはそれぞれ国土交通省から要件が提示されており、要件を満たす機器・システム選びが必要となります。
まずは、令和3年3月時点における試行要領(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001397221.pdf)を基に、遠隔臨場での推奨機器・システムを確認していきましょう。
遠隔臨場の適用範囲
以下に該当する工種・現場は、要件に沿って遠隔臨場を行うことが認められます。
- 映像確認にて段階確認・材料確認・立会を行うことができる工種
- 国土交通省の求める試行内容を実施できる通信環境を確保できる現場
遠隔臨場に使用する機器構成・仕様
遠隔臨場で使用する動画撮影用カメラ(ウェアラブルカメラ)などの資機材は、原則として受注者側で準備・運用を行うこととなります。
ただし、すでに発注者側で準備済みの資機材がある場合や、Web会議システムの指定を行いたい場合は、双方の協議によって判断することも可能です。
動画撮影用カメラおよびWeb会議システムの仕様要件は以下の通りです。
<動画撮影用カメラ>
項目 | 仕様 | 備考 |
---|---|---|
映像 | 画素数:640×480以上・フレームレート:15fps以上 | カラー |
音声 | マイク:モノラル(1チャンネル)以上・スピーカー:モノラル(1チャンネル)以上 |
<Web会議システム>
項目 | 仕様 |
---|---|
通信回線速度 | 下り:最大50Mbps以上・上り:最大5Mbps以上 |
映像・音声 | 転送レート(VBR):平均1Mbps以上 |
遠隔臨場の実施と記録・保存
遠隔臨場の実施方法と記録・保存の流れについては、それぞれ以下の通りとなっています。
実施
受注者は、「工事名」、「工種」、「確認内容」、「設計値」、「測定値」や「使用材料」等の必要な情報について適宜黒板等を用いて表示する。記録にあたり、必要な情報を冒頭で読み上げ、監督職員等による実施項目の確認を得ること。また、終了時には、確認箇所の内容を読み上げ、監督職員等による実施結果の確認を得ること。
記録と保存
受注者は、遠隔臨場の映像と音声を配信するのみであり、記録と保存を行う必要はない。確認実施者が現場技術員の場合は、現場技術員は使用するPCにて遠隔臨場の映像(実施状況)を画面キャプチャ等で記録し、情報共有システム(ASP)等に登録して保管する。(従来の立会資料の管理同様とする。)
遠隔臨場でもZoomの活用!その方法は
遠隔臨場では、撮影用のウェアラブルカメラと合わせて、配信用のWeb会議システムが必要となります。
国土交通省が指定する要件を満たすWeb会議システムは複数ありますが、今回は国内での利用率が高い「Zoom」を例にして役割や活用方法を見ていきましょう。
またZoomとの連携が可能なおすすめのウェアラブルカメラもご紹介します。
遠隔臨場におけるWeb会議システムの役割
建設業界においては、慢性的な人手不足やICT活用の遅れといった課題の解決が急務となっています。
そこで、現場へ足を運ぶ従業員の負担・コストを削減し、より効率的で安全に臨場を行うための仕組みとして考えられたのが「遠隔臨場」です。
遠隔臨場は発注者・受注者の業務効率化を促すだけでなく、いまだ収束の目途が立たない新型コロナウイルスの感染対策としても効果が期待されています。
遠隔臨場へ切り替える際は、現場の様子を撮影するためのウェアラブルカメラと、臨場を実施するためのWeb会議システムの導入が不可欠です。
現場の確認についてはウェアラブルカメラのみでも対応できますが、国土交通省の要領では「PCにて遠隔臨場の映像(実施状況)を画面キャプチャ等で記録し、情報共有システム(ASP)等に登録して保管する」と指示されており、この要件を満たすにはWeb会議システムが必要となります。
Zoomには画面共有機能やミーティングの録画・録音機能、またデータのクラウド管理機能などが搭載されているため、遠隔臨場と相性の良いシステムと言えるでしょう。
Zoom連携に対応のウェアラブルカメラ【RealWear】
遠隔臨場にZoomを用いる際は、Zoomとの連携に対応したウェアラブルカメラを選ぶのがおすすめです。
Zoom連携が可能なウェアラブルカメラの1つに、RealWear社のウェアラブルコンピューターがあります。
RealWearはアメリカに本社があり、世界初となる産業現場向けのウェアラブルコンピューターを開発した企業として知られています。
RealWear製品は建設現場などで使用することを前提につくられているため、高温多湿の環境や騒音のある環境でもしっかりと音声を認識します。
100%ハンズフリーで操作できる他、高解像度のマイクロディスプレイ搭載により、撮影者側でも映像や共有ファイルを確認できるといった点も特徴です。
現在は以下の2種類の製品が判断されており、どちらもZoomとの連携に対応しています。
HMT-1(標準モデル) | HMT-1Z1(防爆タイプ) | |
---|---|---|
OS | Android 8.1 | Android 8.1 |
チップセット | 2.0GHz 8コア Qualcomm 製Snapdragon™ 625 | 2.0GHz 8コア Qualcomm 製Snapdragon™ 625 |
メモリ | 内部ストレージ16GB(メモリ追加で最大256GBまでサポ-ト) | 内部ストレージ16GB(メモリ追加で最大64GBまでサポ-ト) |
画素数 | 1,600万画素 | 1,600万画素 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac – 2.4GHz および 5GHz | 802.11 a/b/g/n/ac – 2.4GHz および 5GHz |
バッテリー | 3250mAhリチウムイオン(現場で取り換え可能) | 3400mAhリチウムイオン |
稼働時間 | 通常使用で約9~10時間 | 通常使用で約8~10時間 |
その他性能 | 防水・防塵・落下耐久性アリ | 防水・防塵・防爆・落下耐久性アリ |
Zoomとウェアラブルカメラを連携させるメリット
ここからは、Zoomとウェアラブルカメラ(RealWear製品)を連携させるメリットを解説していきます。
また実際にRealWear製品を導入している企業様の事例をいくつがご紹介するので、Zoom連携が可能なウェアラブルカメラをお探しの方はぜひチェックしてみてください。
Zoom連携でウェアラブルカメラの機能性が向上
RealWearのウェアラブルコンピューターとZoomは、それぞれ個別でも多機能・高性能のツールですが、連携させることによって更に以下のようなメリットを期待できます。
- Zoomの音声制御が可能となり、作業中でもZoomを操作できる
- ウェアラブルカメラの映像・音声をZoom側で記録・管理できる
- Zoomのグループ通話機能を利用すれば複数拠点で同時に情報共有を行える など
RealWear製品とZoomを連携させることで、RealWearの機能性や撮影者側のZoom操作性の向上が可能です。
複数拠点との同時通話も行えるため、より効率化でスピーディーな作業進行を実現できるでしょう。
Web会議システムを活用した遠隔臨場の導入事例を紹介
実際にRealWearのウェアラブルコンピューターを導入している企業では、以下のような成果が出ています。
事例1 | RealWearによって高精細な映像・音声の送受信が可能となり、監督官とのコミュニケーションが円滑化。またWeb会議システムを組み合わせて映像をクラウド上に保管することによって、資料映像としても活用されています。(総合建設会社) |
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事例2 | RealWear製品とWeb会議システムの連携により、現場での臨場を従来の5分の1程度まで減少させることに成功。監督側の移動・時間コストの削減をはじめ、臨場に割り当てられていた現場の人的リソースを他の業務で活用できるようになりました。(総合建設会社) |
事例3 | これまではスキル習得のための事前研修を集合形式で実施していましたが、遠隔臨場の導入で近接現場の技術者によるOJTを実施できるように。熟練者の作業風景や技術などをリアルタイムで講習でき、若手育成のツールとして活用されています。(高速道路の保守点検業者) |
まとめ
- 遠隔臨場で用いるウェアラブルカメラ・Web会議システムの要件は国土交通省の試行要領で指定されている
- 画面共有や映像・音声の記録、クラウド上での管理といった機能を備えた「Zoom」は遠隔臨場と相性が良い
- より効果的に遠隔臨場を行うなら、Zoomとの連携が可能な「RealWear」のウェアラブルコンピューターがおすすめ
NECネッツエスアイでは、RealWear製品・Zoomシステムの導入および連携の支援を実施しています。
すでにZoomを導入しており、新たに遠隔臨場への切り替えをお考えの企業様などはぜひ一度NECネッツエスアイへお問い合わせください。