クラウドPBXの市場は近年、目覚ましく拡大しており、多くの企業が従来のPBXからクラウドPBXへの移行を検討しています。
本記事では、日本市場におけるクラウドPBXのシェア率や、シェアが拡大している理由を解説していきます。
選び方のポイントや、クラウドPBXとの連携で電話業務を効率化させるサービスも紹介しておりますので、ぜひ最後までお読みいただき、クラウドPBXの導入・活用にお役立てください。
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、インターネット上に構築する仮想のPBX(交換機)のことです。
インターネットを利用して外線通話や内線通話、転送、保留といった機能を提供するため、どこにいてもスマホやパソコンから電話を利用できるのが特徴です。
従来のPBXとは何が違う?
従来のPBXとクラウドPBXの最大の違いは、オフィス内に物理的な交換機がないことです。
設備投資が不要となるだけではなく、定期的なリプレイス、メンテナンスの手間も軽減されるため、運用コストを削減することができます。
システムのアップデートやセキュリティ強化はプロバイダーによって自動で行われるため、常に最新の機能を利用できるのもメリット。
回線数の増減、オプション機能の追加、発着信の設定変更などはWeb管理画面から簡単に実施できますので、企業のニーズに応じて迅速かつ柔軟にサービスの設定を行うことが可能です。
【2024年】クラウドPBX市場の国内シェア率はどうなっている?
クラウドサービスの普及に伴い、確実に成長しつつあるクラウドPBX市場。
日本国内における最新のクラウドPBXのシェア率に関しては明確なデータがありませんが、過去のデータを見ていくと、現在のクラウドPBXシェアがどのようになっているかを推し量ることができます。
10年前のデータに見えるクラウドサービスへの関心の高まり
アメリカのソフトウェア会社であるPararellsがリリースしたSMB(Small and Medium Business:中堅・中小企業)のクラウドサービス市場に関するレポートからは、クラウドPBX市場の成長の可能性が読み取れます。
2011年に発表された調査結果によると、日本のSMB全体の1%が「ホスト型PBXシステム(クラウドPBX)を利用している」と回答していました。
この数字は、クラウド先進国であるアメリカと比べると決して高くはありませんが、翌年2012年には
「10人以上の従業員を持つ日本SMBのほぼ30%が、社内PBXのリース満期にてホスト型PBXを追加したいと考えている」
ということが明らかとなっており、クラウドPBXへの関心の高まりが表れています。
実際に、日本のSMBクラウドマーケットは2011年から2012年で20%の成長を示しており、これに伴いクラウドPBX市場も成長していると考えることができます。
参照:
2011年
増益を目指すフルサービスプロバイダのための手引き Parallels SMB Cloud InsightsTM 日本版
https://download.parallels.com/doc/SMBBrochure_Japan_localized.pdf
2012年
SMBクラウドサービス市場の最新動向と今後について
https://www.jaipa.or.jp/event/CloudCon/130312_Parallels.pdf
現在の市場動向は?
Pararellsのレポートは10年前のデータですが、2020年のコロナ禍を機に、日本においてもクラウドサービスが急速に普及することとなりました。
また、国税庁が定める減価償却資産の耐用年数表によると、PBXの耐用年数は6年と記載されています。
物理PBXを利用する企業では、この10年の間に少なくとも1回はPBXのリプレイスを迎えている計算になりますので、ホスト型PBX導入を検討していた30%の企業のうち半数が実際にクラウドPBXに移行したと仮定すると、現在の日本国内のシェアは15%~20%以上に成長しているものと考えられます。
参照:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf※電話設備その他の通信機器 デジタル構内交換設備、デジタルボタン電話設備 6年
シェアが拡大している理由
クラウドPBXのシェアが急速に拡大している背景には、ICTの発達や働き方の変革などのワークスタイルイノベーションが影響しています。
近年のオフィス環境でクラウドPBXが求められているのは、次のような理由があるからです。
コスト感覚の変化
デジタルトランスフォーメーションが進む現代において、企業は固定費の削減と運用コストの最適化を常に求められています。
クラウドPBXは、従来のPBXシステムに比べて初期投資や維持管理にかかる費用の大幅削減が可能です。
コスト削減を実現しながらも高度な通信機能を利用できる点で、新しいコスト感覚に合致したソリューションとして注目を集めているのです。
テレワーク・リモートワークの推進
新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやテレワークの需要が急速に高まりました。
その際に障害となったのが「固定電話の対応をどうするか」という問題です。
クラウドPBXならば場所を選ばずに利用できるため、社員が自宅や外出先からでも会社の電話に対応することができます。
電話システムにクラウドPBXを採用することで、ビジネスに支障をきたすことなくテレワークを推進することが可能となったのです。
高いスケーラビリティ(拡張性)
クラウドPBXはインターネット上のサービスであるため、従来のPBXに比べてスケーラビリティ(拡張性)が高いのが特徴です。
新しいプロジェクトが始まり一時的に従業員が増える場合や、特定の時期に業務量が増加する場合でも、クラウドPBXなら容易に回線数や同時通話数を増やすことが可能。
クラウドPBXを使えば、企業は過剰なコストを抑えつつ、ビジネスの変動に迅速に対応することができるのです。
失敗しない選び方のポイント
では、実際にクラウドPBXを選ぶ際に押さえておくべきポイントを見ていきましょう。
- 機能:必要な機能が全て揃っているかを確認しましょう。また将来的に業務が拡大した際に柔軟に対応できるかという点も重要です。
- コストパフォーマンス:初期投資はもちろん、運用コストも含めた総コストで検討しましょう。
- サポート体制:万が一のトラブル時に迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかも、選定の大きなポイントです。
- セキュリティ:データの保護やプライバシーの確保など、プロバイダーが提供するセキュリティ対策をしっかりと確認しましょう。
さまざまな規模・用途におすすめの「Voice Connect」
中堅企業でクラウドPBXを導入する際におすすめなのが、NECネッツエスアイのビジネス向け音声クラウドサービス「Voice Connect」です。
Voice ConnectはオンデマンドのクラウドPBXで、お客様の要望に応じて必要な期間・規模での構築が可能。
クラウドPBXの全社導入はもちろん、特定の部署のみで利用する場合やプロジェクトに合わせて短期間だけ利用する場合などにも対応できます。
内線・外線・保留・転送・代理応答・代表番号発信などクラウドPBXの基本機能はもちろん、通話の録音やCTIとの連携も可能ですので、幅広い用途にご活用いただけます。
★参考価格
提案条件1 | 提案条件2 | |
---|---|---|
内線数 | 40まで | 100まで(最大300) |
同時接続数 | 3ch~(最大10ch) | 10ch~(最大100ch) |
初期費用(税抜) | 50,000円~ | 300,000円~ |
月額利用料(税抜) | 21,000円~ | 85,000円~ |
「Canario(カナリオ)」と連携すれば電話取次対応の効率もアップ
NECネッツエスアイの電話対応サービス「Canario(カナリオ)」と組み合わせれば、さらに電話対応の効率アップが可能です。
Canarioは電話に自動音声で応答して担当者名を尋ね、相手が発話した名前を音声認識して自動で電話を転送します。
Voice Connectと併用すると、担当者はどこにいても転送された電話を受けることができるため、電話の取次や不在時対応の負荷を大幅に軽減することができます。
不要な電話対応をなくし、社員ひとりひとりが自分の担当先や名指しの電話に集中できるため、企業全体での生産性アップやメンタルヘルスの向上も期待できます。
記事まとめ
日本でも急速にシェアが拡大しているクラウドPBX。
シェア拡大の理由は、時代とともに変化するビジネスのニーズにクラウドPBXが合致しているからです。
クラウドPBXの導入は現在の日常業務を効率化させてくれるだけではなく、将来的なビジネスシーンの変化にも追随できる可能性を秘めたサービスです。
本記事の内容を参考に、自社のニーズに合わせた最適なクラウドPBXを見つけてみてください。