電話対応は、社会人になったばかりの新入社員が最初に覚える仕事のひとつです。
今まで電話を一度もかけたことがないという方はあまりいないと思いますが、会社の電話対応はプライベートの通話とは全く異なるもの。
アルバイト等で仕事としての電話対応経験がない限り、入社後初めて電話対応を行うときに手順や敬語で戸惑う方も少なくありません。
本記事では、電話対応に不安のある方に向けて、仕事で電話対応を行う際の心構えや基本マナーを紹介していきます。
電話対応で使えるフレーズも多数掲載していますので、敬語に不安がある方もすぐにご活用いただける内容になっています。
電話対応を始める前の準備
実際に電話を取る前に、まず電話対応を行うために必要な準備を行いましょう。
メモと筆記用具を用意する
電話対応を行う際、メモは必須です。
デスクなど電話対応を行う場所には必ずメモとペンを用意し、いつでもメモが取れる状態で電話対応を行いましょう。
用紙はどのようなものでも良いですが、適当な紙の裏側などにメモすると紛失しやすくなりますので、電話対応用のメモ帳やノートを用意しておくのが確実です。
静かな場所で電話を受ける
電話口が騒がしいと、相手に落ち着かない印象を与えてしまいます。
ビジネスの話をする場合、できるだけ静かな環境が望ましいですね。
電話対応専用の個室を用意する必要はありませんが、電話が鳴ったら会話のボリュームを下げてもらうなど、周囲の人に協力を仰ぎましょう。
また、クレーム電話の場合は特に周囲の環境に気を配る必要があります。
クレーム電話対応のときだけ静かな会議室などに移動して対応するのも一つの方法です。
会社の顔であることを意識する
職場で電話対応を行う場合、個人ではなく会社として電話に出ていることを忘れてはいけません。
電話の相手にとっては、電話に出た人の印象がそのまま会社の印象に直結します。
電話対応の良し悪しで、会社のブランドイメージが左右されてしまうのです。
電話をかけてきてくれた相手は、自社の大切なお客様です。これは、クレーム対応や、営業電話・迷惑電話などの場合も変わりません。
電話の内容に関わらず、礼儀正しく誠実な対応を徹底しましょう。
言葉遣いと話し方に注意する
電話対応では顔が見えないため、声や話し方の印象が全てです。
対面の場合、表情やジェスチャーで相手の感情を判断することができますが、電話では声しか情報がありません。
そのため電話対応で普段通りのトーンで話すと感情表現が乏しくなり、無愛想・ぶっきらぼうといったマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。
電話対応では声のトーンを上げる・明るくハキハキ話すなど、気持ちの良い話し方を心がけましょう。
姿勢を正し、笑顔で対応する
電話対応のときに、相手から見えないからと言って、だらしない姿勢で通話していませんか。
顔が見えなくても、姿勢や表情は声のトーンに影響してしまいます。
背筋を伸ばし、笑顔を作ると自然と声にも張りが出ます。
電話だからと気を抜かず、対面接客を行うつもりで身なりを正して対応しましょう。
電話対応の基本マナーと例文
準備ができたら、早速電話を取ってみましょう。
ビジネス電話対応の流れは、ほとんど型が決まっているといっても過言ではありません。
以下に示す共通の流れを知っていればほとんどの電話に対応できますので、手順と例文をよく読み、練習してみてください。
3コール以内に電話に出て名乗る
電話の呼び出し音が鳴ったら業務の手を一旦止め、電話を取りましょう。
ビジネスの電話対応では、電話は3コール以内に取るのが一般的なマナーです。
電話を取ったらまず、自分の会社名と名前を名乗ります。
こちらが名乗ることで、電話の向こうの人はかけた先が間違っていないことを確認できるのです。
例文
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇(自分の会社名) △△(名前)でございます」
3コール以上鳴ってしまった場合、相手は「ちょっと長いな」と感じているかもしれません。
お待たせしたことに対し、お詫びの言葉を添えましょう。
「大変お待たせいたしました。株式会社〇〇(自分の会社名) △△(名前)でございます」
相手の名前は復唱して確認
次に、相手が会社名と名前を名乗ります。
ここで聞いた名前を忘れてしまうと、後で聞き直さなければならなくなり恥ずかしい思いをしてしまいます。
相手の社名・名前を聞いたらすぐに復唱して正しいことを確認し、メモしておきましょう。
例文
「株式会社□□(会社名)の▽▽(名前)様ですね。いつもお世話になっております」
1回で聞き取れなかった場合は、すぐに聞き返しましょう。
「恐れ入ります。株式会社□□(会社名)の▽▽(名前)様でお間違いないでしょうか」
「申し訳ございません。もう一度おっしゃっていただいてよろしいでしょうか」
担当者の在席状況を確認する
お互いが名乗り終えたら、用件に入ります。
会社の電話対応では、他の担当者への取次を依頼されることが多いでしょう。
担当者の名指しがあったら在席状況を確認し、電話に出られる場合は取り次ぎます。
例文
相手:「○○様はいらっしゃいますでしょうか」
自分:「○○でございますね。ただいまお繋ぎいたしますので、少々お待ちください」
電話を転送する
担当者が席にいる場合でも、取り込み中で電話に出られないこともあります。
いきなり電話を転送せず、まずは電話があった旨を伝えて対応できるか確認しましょう。
担当者が応じたら電話を転送します。
例文
「〇〇さん(担当者)、株式会社□□の▽▽様からお電話ですが、取り次いでよろしいでしょうか」
不在の場合は折り返し対応にする
担当者が電話に出られない場合は、電話の相手に不在の旨を伝えます。
ビジネスでの一般的な不在時の対応は、担当者が戻り次第相手に電話をかける「折り返し対応」です。
電話の相手に折り返しを希望するかどうかも確認しましょう。
折り返しが必要な場合は、相手の連絡先も忘れずに聞いておいてください。
例文
「申し訳ございません。あいにく〇〇は外出しており不在でございます。本日15時頃に戻る予定ですが、折り返しご連絡を差し上げてよろしいでしょうか」
急ぎの場合は代わりにできることがあるか聞く
本来は担当者が直接対応するのがベストですが、中には急ぎの用件で、担当者と連絡がつくまで待てない場合もあります。
そのようなときは、自分が代わりに何かできるか尋ね、できる範囲で対応しましょう。
ただし、自分にはできないこと・判断がつかないことに関しては無理に引き受けず、担当者の戻りを待つか、上司に相談してください。
例文
「申し訳ございません。あいにく○○は出張のため、本日は戻りません。私に何かできることはございますでしょうか」
電話の用件や対応した内容を担当者に伝言する
電話対応が終わったら、受けた内容を担当者に報告するための伝言メモを作成します。
伝言メモには、
- 受電日時
- 電話対応者(自分)の名前
- 相手の社名、名前、連絡先
- 用件
- 必要な対応
を記載します。
電話の内容だけではなく、自分が代わりに対応したり質問に答えたりした場合は、その内容も報告しておきましょう。
覚えるだけでOK!電話対応で使える言葉遣いと例文
電話対応を行うためには、ビジネスにふさわしい言葉遣いが必要です。
けれども、敬語に不安があるからといって、電話対応が全くできないわけではありません。
電話対応で頻繁に登場するフレーズを覚えておけば、敬語が完璧でなくても十分対応が可能です。
ここでは、電話対応中のさまざまなシーンで活躍するビジネス向けの言葉遣いと、それを用いた例文を紹介します。
これらの例文を使って電話対応をしているうちに、自然と敬語も身につくことでしょう。
単語や名称が聞き取れなかった
電話で相手が発した言葉が聞き取れないのはよくあることです。
聞き取れなかったときは、その場ですぐに聞き返して確認しましょう。
例文
「恐れ入りますが、もう一度おっしゃっていただけますでしょうか」
何度聞いても聞き取れない
聞き返してもわからなかった場合、「何度も聞き返すのは失礼になるかも」と躊躇してしまいますね。
固有名詞や使い慣れない専門用語は、1回で聞き取れなくて当たり前。
ですが、何度も同じことを聞き返すのがためらわれる場合は、言い方を変えてみましょう。
例文
「漢字ではどのように書きますか?」(漢字表記を確認)
「イングランドの”E”でしょうか?」(スペルを確認)
質問を受けたがすぐに答えられない
自分の担当外の問い合わせを受けた場合、その場ですぐに回答できない場合があります。
このようなときは、正直にわからない旨を伝え、調べるための時間をいただくか、担当者からの折り返しにしましょう。
電話対応で「不可能」であることを伝えたい場合、「~かねる」という言葉を使います。
- できない = できかねる、いたしかねる
- わからない = わかりかねる
例文
「申し訳ございません。わたくしではわかりかねますので、後ほど担当者からご連絡を差し上げてよろしいでしょうか」
相手の声が聞き取りにくい
相手の声が小さくて聞こえなかったり、モゴモゴして聞き取れない場合でも、相手に向かって「聞き取りにくい」とは言いづらいですね。
電話対応では、相手の声が聞こえづらい場合、電話のせいにしてさりげなく伝えるフレーズがあります。
声が聞きづらいときは「電話が遠い」という表現を使ってみましょう。
相手の方で声のボリュームを上げてくれたり、静かな場所に移動してくれたりするはずです。
例文
「少々お電話が遠いようです。恐れ入りますが、もう一度お聞かせいただけますでしょうか」
電話を転送する
他の部署や担当者に電話を取り次ぐことを「電話をまわす」と言うことがありますが、この言葉を電話の相手に使うのは避けましょう。
「まわす」という言葉は、「たらい回し」を連想させるため、機械的に電話を捌いているような印象を与えてしまいます。
電話対応では「繋ぐ(お繋ぎする)」という言葉を使いましょう。
例文
「ただいま担当者に電話をお繋ぎいたします。少々お待ちくださいませ」
生産性向上には電話業務の見直しが効果的
これまで日本のビジネスシーンでは「電話対応は社員が行うもの」という考え方が一般的でしたが、最近では一次対応に自動音声を取り入れる企業も増えています。
取次に割いていたリソースをメイン業務に集約することで、生産性向上や業務効率化に大きな効果が期待できるからです。
NECネッツエスアイが提供するオフィス電話サービスCanario(カナリオ)は、オフィスの電話対応の悩みをワンサービスで解決するテレフォニーDXサービスです。
Canario(カナリオ)でできることの一例を紹介します。
- お客様が発話した担当者名で自動的に電話を転送
- 不在時の伝言はテキスト化してお知らせ
- 個人名を指定しない電話には自動音声で対応
- 私物携帯から会社の番号で発信
Canario(カナリオ)を使えば、社員の業務を止めることなく、効率的な電話対応が可能となります。
また、有人対応ではないため、あふれ呼が発生しないのも特徴。
コールセンターの一次受けや、飲食店、美容室、クリニックの予約受付など、さまざまな業態で活用いただけます。
記事まとめ
電話対応の心構えや基本マナーと例文を解説しました。
ビジネスの電話対応には独特の言い回しがあります。
この記事で紹介した例文を使えば、敬語が完璧でなくてもスマートな応対が可能です。
自分のものになるまで何度も例文を口に出して練習し、会社での電話対応に活かしてください。