会社の新人研修で必ず習うのが、ビジネスでの電話対応マナーです。
電話対応はお客様や取引先の窓口にあたる重要な仕事のため、どの企業でも電話対応マニュアルなどを用意して、対応マナーの教育に力を入れています。
電話対応のスキルは業務知識や経験によるところが大きいため、残念ながらすぐに上達するものではありません。
しかし、対応時の心構えや言葉遣いを変えるだけで、相手に好印象を与えることは可能です。
本記事では、電話対応の印象アップに即効性のある、電話の基本マナーや言葉遣いを解説します。
会社の電話対応マニュアル作成にもぜひ役立ててみてください。
職場の電話対応基本マナーと心構え
まずは、電話に出るときの心構えを確認しましょう。
電話対応に最も必要なのは「相手への思いやり」です。
例えば、以下のような姿勢で対応すれば、自然と印象の良い応対ができるようになります。
- 相手を尊重する
- 丁寧に礼儀正しく接する
- 顔が見えなくても手を抜かずに対応する
- 相手を待たせない
会社の顔であることを意識する
「電話対応は会社の顔」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
たとえ電話の取り次ぎだけでも、相手にとっては電話に出た人への評価がそのまま企業への評価に繋がってしまうこともあります。
電話に出るときは、会社を代表して対応するつもりで、どんなお客様にも礼儀正しく丁寧に接しましょう。
必ず敬語を使う
企業への電話はどんな人からかかってくるかわかりませんが、相手の年齢・役職・立場などにかかわらず、敬語で対応するのがマナーです。
相手がため口だったり、クレームで言葉を荒げてきたりした場合にも、つられて言葉遣いが乱れてしまわないよう気をつけましょう。
電話中は姿勢を正す
電話では相手から見えないからといって、気を抜いた対応をしてはいけません。だらしない姿勢で会話していると、声の調子や態度から相手にも伝わってしまいます。
電話でも、対面の来客対応と変わらない緊張感をもって応対しましょう。
保留の目安は30秒
電話を保留するときは、相手を待たせすぎないよう注意しましょう。
目安はだいたい30秒くらいまでです。
かかってきた電話の場合、保留中も相手に通話料が発生しています。
長くなりそうなときは保留ではなく、こちらから折り返しにするのがマナーです。
重要なことは復唱して確認する
電話の取次や不在対応では、担当者への伝言を預からなければならないことがあります。
このときに相手の名前や会社名、連絡先などの情報を間違えると、後で担当者から折り返しができなかったり、誤った対応をしてクレームに発展してしまったりして、会社の信用を失ってしまうことにもなります。
重要な内容は、必ず復唱して確認し、正確に担当者に伝えましょう。
相手が切った後に受話器を置く
電話を切るときは、かけた方が先に切るのが一般的なマナーです。
また、ビジネスでは、お客様(発注側)が先に切るという考え方もあります。
会社で電話を受ける側であれば、相手が電話を切るのを待ってから切れば間違いありません。
相手もこちらが切るのを待っていてなかなか切らない場合は、「失礼いたします」と一言ことわってから静かに受話器を置きましょう。
話し方のコツ
電話では、声や話し方の印象が非常に重要です。
そのため「自分の声が嫌い」「話し方に自信がない」といった理由で電話対応に苦手意識を持ってしまう方もいます。
けれども、電話対応にはきれいな声や高度な会話テクニックは求められていません。
特別なトレーニングをしなくても、電話向けの話し方のコツを身につけるだけで、簡単に対応品質をレベルアップさせることができます。
電話対応での声の出し方や、話し方のコツを確認してみましょう。
声のトーンは明るく
電話では表情が見えない分、声で印象が決まってしまいます。
低い声で話していると、対面ではあまり気にならなくても、電話では「暗そうな人だな」という印象を与えてしまうこともあります。
機械を通すと声が聞き取りにくくなりますので、電話では普段よりもワントーン明るい声で話すように心がけると良いでしょう。
はっきり話す
電話で相手の話した内容が聞き取れないと、何度も聞き返さなければならず、ストレスになります。
表情や身振り手振りで情報を補うことができませんので、ひとつひとつの言葉をはっきり発音するようにしましょう。
相手の会話ペースに合わせる
電話で相手とこちらの話すスピードに差がありすぎると、話がかみ合わなくなってしまいます。
電話対応時は、なるべく相手の会話ペースに合わせるように心がけてみてください。
ただし、クレームなどで相手が感情的になっている場合、同じトーンで対応すると火に油を注いでしまいかねません。
クレーム対応の際は相手より少しゆっくりめに話して、徐々に相手をペースダウンさせるのが良いでしょう。
あいづちを打ちながら聞く
電話で相手が話している間は、途中で遮ったりせず、聞き役に回るのが鉄則です。
このときずっと黙っていると「ちゃんと聞いているのだろうか」と相手を不安にさせてしまうことがありますので、ときどき「ええ」「さようでございますか」など、あいづちを打ちながら聞きましょう。
応対に役立つ言葉遣い
電話対応で正しい敬語を使えるようになるのはとても重要なことです。
敬語は電話に限らずビジネスシーン全般に役立ちますので、覚えておいて損はありません。
また、円滑な電話対応に欠かせないのが「電話対応専用のフレーズ」です。
敬語を完璧に使いこなせるようになるには時間がかかりますが、これらのフレーズは覚えるだけですぐに使えます。
最初から敬語を完璧にすることを目指すよりも、まずは電話での決まり文句を覚えることから始めてみてもいいでしょう。
相手の声が聞こえないとき
電話で相手の声が小さかったり、雑音が入っていたりして聞き取りづらいことがありますね。
このような場合に、聞こえないのが相手のせいであるような言い方をしては、相手の気分を損ねてしまいます。
✕ | 「お声が小さくて聞こえません」「周りがうるさいようです」 |
---|---|
〇 | 「少々、お電話が遠いようです」 |
聞こえないのを電話のせいにしてしまえば、相手を責めずにそれとなく声が聞こえにくいことを伝えられます。
内容を聞き返したいとき
相手が早口だったり、聞き慣れない言葉が出てきて聞き取れなかった場合、うやむやにせず、きちんと聞き返さなければなりません。
ただし、ここでも相手のせいで聞こえなかったというような言い方は禁物です。
✕ | 「聞こえなかったのでもう一度言ってください」 |
---|---|
〇 | 「恐れ入りますが、もう一度おっしゃっていただいてよろしいでしょうか」 |
また、相手に同じことを何度も言わせなくてもいいように、聞き方を工夫してみましょう。
聞き取りにくい言葉は、何度繰り返してもらっても聞き取れない可能性がありますので、「会社名は、漢字ではどのように書くのでしょうか」など、別の角度からアプローチするのが有効です。
電話を転送するとき
担当者に電話を転送するときは、いきなり転送せず、相手にこれから電話を転送することを一言伝えてから転送します。
✕ | 「電話をお回しいたします」 |
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〇 | 「電話をおつなぎいたしますので、少々お待ちください」 |
「電話を回す」という言葉は「たらい回し」を連想させるため印象が良くありません。
転送するときは「おつなぎいたします」という言い方をすると丁寧な印象を与えます。
社内の人は呼び捨て
ビジネスでは、社外の人と話す時は自社内の人を呼び捨てにします。
たとえ自分の上司であっても、電話対応では敬称や役職名をつけず、尊敬語ではなく謙譲語を使いましょう。
✕ | 「渡辺課長はただいま外出していらっしゃいます」 |
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〇 | 「渡辺はただいま外出しております」 |
普段、敬称や役職名をつけて呼んでいると、いきなり呼び捨てにするのは抵抗があるかもしれませんが、ビジネスの常識ですので覚えておきましょう。
電話が多すぎるならAI対応の「Canario(カナリオ)」
電話対応は顧客との接点であり、新人にとってはビジネスマナーの基礎を学ぶ機会でもあります。
しかし、電話の本数が多すぎる職場では、電話対応が本業の妨げになってしまうことも少なくありません。
NECネッツエスアイでは、AIが社員の代わりに応答する電話対応サービス「Canario(カナリオ)」を提供しています。
「Canario(カナリオ)」ができることは、
- 担当者名を聞き取って電話を転送
- 不在時の伝言メモ(メールやチャットで送信)
- 担当者不明の問い合わせはグループ全員を一斉呼び出し
- 営業時間を設定し、時間外はAIが電話番
など、会社の電話の受付を代行してくれるサービス内容になっています。
「Canario(カナリオ)」を使えば会社への着信に携帯電話で対応できますので、テレワーク時の電話対策としてもおすすめです。
記事まとめ
電話対応の基本マナーと話し方のコツ・言葉遣いを解説しました。
電話では、顔が見えなくても、相手を尊重する気持ちや心遣いはきちんと伝わります。
対応が難しいと感じたときは、まずは心をこめて丁寧に対応することから始めてみてください。