少子高齢化による労働力不足対策や働き方改革の推進のため、企業では業務効率化への迅速な取り組みが求められています。
業務フローを大幅に見直したり、システムを刷新したりといった大胆な改革を行っている企業も少なくありません。
しかし、なぜか電話業務のやり方だけは長い間全く改善が行われていないことも多いようです。
毎日当たり前に行っている電話業務にこそ、効率化すべき課題が眠っています。
「電話業務はこうあるべき」という固定観念を一旦外して、効率化する方法を考えてみましょう。
電話業務のやり方を見直そう
企業で電話業務を行っている場合、電話のほとんどが取り次ぎという社員も多いのではないでしょうか。
日本では、代表電話に電話をかけ、そこから担当者に取り次いでもらうという方法が定着しています。
このやり方は、お客様にとっては、
- 担当者の名前がわからなくても問い合わせができる
- あまり親しくない担当者の携帯よりも電話しやすい
といった、お問い合わせのハードルを下げる効果があります。
また、企業にとっては
- 担当者が不在でも誰かが電話を取ってくれる
- 人間が応対することで丁寧な印象を与える
という利点もあるでしょう。
しかし、人材不足や働く環境の多様化で、この方法を維持するのが難しくなっているのも事実です。
長らく行われてきた電話業務のやり方を見直し、効率化を図りましょう。
取り次ぎの問題点とは
会社の固定電話では、誰宛の電話か・どんな用件かがわからないため、誰かが一度電話に出て内容を確認してから担当に取り次ぐという方法を取っています。
しかし、1人1台携帯電話を持つのが当たり前となった今では、プライベートで電話を取り次いでもらうことはほとんどないのではないでしょうか。
電話業務で取り次ぎを挟むことの問題点を考えてみましょう。
待ち時間や二度手間があり非効率
電話の取り次ぎの手順は、
- 電話に出て相手の名前と用件を聞く
- 担当者の在席状況や予定を確認する
- 担当者がいる場合は、用件を伝えて電話を転送する
- 不在の場合は戻り時間を伝えたり、折り返しの対応をする
という流れです。
まず、お客様は電話に出た人に用件を話し、担当者に取り次いでもらうまでの間、待たなければなりません。
電話がつながったら、担当者にもう一度用件を話さなければならず、二度手間になることもあるでしょう。
不在の場合、電話に出た人が相手の連絡先を聞いて伝言メモを作成しなければならず、電話が終わった後にも作業が発生します。
担当者に直接電話がつながる場合に比べ、取り次ぎを行う場合にはお客様と電話対応者の両方の時間が奪われてしまいます。
聞き違い・伝達忘れが起こりやすい
人間が対応している限り、ヒューマンエラーをゼロにすることは不可能です。
電話の場合は音が聞き取りづらいため、名前の聞き間違いがあったり、専門用語を聞き取れなかったりする可能性があります。
同じことを何度も聞き直すことは、お互いストレスになるものです。
また、業務が立て込んでいると、伝言メモを書く時に内容を失念したり、次の電話の対応に追われてメモを作り忘れたりといったミスが起こりがち。
「確かに伝えたはずなのに担当者に伝わっていない」と、お客様の信頼を損ねてしまうことになります。
関係のない人が時間を取られる
電話の取り次ぎを行う場合、一次対応者は自分の業務を止めて電話に応答し、自分の担当とは関係のない用件に対応しなければなりません。
電話業務に時間を割けば割くほど、自分の業務のための時間がなくなってしまいます。
固定電話対応の場合は、オフィスで勤務している人・自席での業務が多い人が電話に出ることになるため、特定の人にだけ電話業務が集中してしまうこともあります。
電話業務を効率化する方法
電話は本来、相手にダイレクトにつながるコミュニケーションツールですが、代表電話の場合は
- 間に人を挟んでいる
- 離席や不在でタイミングが合いにくい
といった理由から電話業務の手順が多くなり、社員に負担がかかってしまっています。
効率化させるためには、「なるべく間に人を挟まずに済む方法を考える」「タイミングが合わない場合は電話以外の連絡方法を併用する」といった対策が有効となるでしょう。
携帯への連絡を促す
取り次ぎをなくす方法として、担当者が業務用の携帯を持っている場合は、携帯への直接連絡に切り替える方法があります。
お客様にとっても連絡がつきやすくなるというメリットがありますが、名刺をもらっていてもいきなり携帯電話にかけるのはハードルが高いかもしれません。
携帯への連絡を定着させるには、担当者自ら「携帯にかけてください」と周知する必要があるでしょう。
メール・チャットで受付する
電話の場合、不在で電話に出られないと折り返しになります。タイミングが悪ければ何度も行き違いになり、お互いの時間を無駄にしてしまうこともあるでしょう。
リアルタイムに連絡がつくことが少ないのであれば、電話ではなくメールやチャットなどテキストコミュニケーションの併用をおすすめします。
自分のタイミングで確認して返信することができるので、時間が合わなくても、お互いのスキマ時間を利用してやり取りができます。
最近では、問い合わせ窓口としてチャットボットも普及しています。よくある質問にはすぐに自動で返信されるので、お客様にとっても気軽に使いやすいものとなっています。
ツール・システムを導入して自動化する
電話業務は人が行うのが当たり前とされてきましたが、定型的な部分は、ツールやシステムで自動化できます。
電話の一次対応に多く導入されているIVR・ボイスボットの機能を見てみましょう。
IVR(自動音声応答)
音声ガイダンスに合わせて、プッシュで番号を回答してもらうのがIVRです。
例えば、「新規のお申し込みは1を、登録内容のご変更の方は2を押してください」とアナウンスし、1なら新規入会担当、2は会員サービス担当に転送します。
他の人と会話したり、担当部署の確認で待たされたりすることなく、最初から担当者と話せるので顧客満足度の向上にもつながります。
飲食店の予約など、日時や時間の指定だけで受付できる内容であれば、IVRからの回答で受付を完了させることもできます。
ボイスボット(音声AI)
ボイスボットは、AIが自動対応を行うツールです。
AIの音声認識技術を使用し、お客様が話した内容を認識するため、選択制ではない質問にも対応できるのがボイスボットの長所です。
発話によって本人確認を済ませてからオペレーターに接続したり、通信販売の受付で商品名と送付先を聞き取ってテキスト化し、それをシステムに流し込んで受注履歴を作成するなど、電話業務の定型対応部分もボイスボットに任せることが可能です。
電話業務効率化におすすめのサービス「Canario(カナリオ)」
会社の代表番号で電話を受けるというやり方を変えられない場合、電話の取り次ぎを自動化するサービスを使ってみてはいかがでしょうか。
NECネッツエスアイの「Canario(カナリオ)」は、AIが電話の一次対応を行うサービスです。
「Canario(カナリオ)」で自動化できるのは、
- 電話の受付
- 担当者への名前転送
- 不在時の伝言テキスト化
AIが電話の取り次ぎ業務をまるごと引き受けてくれるので、社員が電話に振り回される心配はありません。
担当者はどこにいても携帯で自分あての電話を受けることができます。電話に出られなかったときのメッセージもメールやチャットですぐに受け取れるから、お客様と担当者の距離も縮まります。
お手持ちのスマホで利用でき、会社の番号からも発信できるので、テレワークでも電話業務を行うことが可能。
電話業務のために外出を控える必要もありません。
これまで電話の取り次ぎに費やしていた時間や、電話業務のための行動制限がなくなり、時間を有効に使えるようになりますので、業務効率化・生産性アップに大きな効果が期待できるでしょう。
記事まとめ
- 電話の取り次ぎを行う方法は、実は効率が悪い
- 間に人を挟むとヒューマンエラーが発生するリスクがある
- 担当者が携帯などで直接受ければ、連絡がつきやすくなる
- メールやチャットの活用で行き違いをなくす
- IVRやボイスボットは電話の受付を自動化できる
電話業務の「取り次ぎ」をやめることは抵抗があるかもしれませんが、担当者へのアクセスがスムーズになれば結果的には顧客満足度も向上します。
自動化ツールなどを活用して、電話業務の効率化を成功させましょう。