電話対応で「いらっしゃいますか」は正しい?混同しやすい敬語表現も解説

「いらっしゃいますか」の意味や正しい使い方を知っていますか?

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電話対応中に「これって正しい敬語なのかな?」と疑問に思うことはありませんか。

敬語の中には混同しやすい言い回しや間違いやすい表現が多くあり、中には誤った使い方であるにもかかわらず日常的に使われているものも存在します。

本記事では、電話対応で間違いやすい敬語表現と正しい言い方について分かりやすく解説します。

電話対応で「いらっしゃいますか」は正しい?

電話対応で担当者に取り次いでもらいたい時に「田中様はいらっしゃいますか」という言い方をしますね。

似たような表現が他にも存在するため、「本当に正しいのかな?」と気になっている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは正しい敬語表現です。

「いらっしゃいますか」の意味と、電話対応での使い方を確認しておきましょう。

意味

「いらっしゃいますか」という表現は、次の3つの言葉から成り立っています。

  • いらっしゃる:「いる」「来る」「行く」「ある」の尊敬語
  • ます:丁寧語
  • か:疑問を表す終助詞

相手を敬う表現「いらっしゃる」+丁寧語+疑問という構成になっており、

「いるか?」

「いますか?」

をさらに丁寧にした表現です。

電話対応で「いらっしゃいますか」と相手に尋ねることは、同時に「いらっしゃったら電話を取り次いでいただけますか」という意味も含んでいます。

「○○様をお願いします」と直接的に取り次ぎを求めるよりも丁寧でやわらかい表現ですので、電話で相手を名指しするときに適切な言い方といえるでしょう。

使い方の例

「いらっしゃいますか」は相手の所在を尋ねる表現です。

また、「いらっしゃる」には「いる」「来る」「行く」「ある」の意味がありますので、以下のようなシーンで使うことができます。

  • 電話や訪問で取り次ぎをお願いする時に「田中様はいらっしゃいますか」
  • 相手が今どこにいるのかを尋ねる時に「今どちらにいらっしゃいますか」
  • 相手がこちらに来る際の手段を尋ねる時に「飛行機でいらっしゃいますか」
  • 相手の所属や名前が正しいかどうか確認する時に「A社の田中様でいらっしゃいますか」

「いらっしゃいますか」と混同しやすい間違い敬語

「いらっしゃいますか」と同じ場面で使われている言葉の中には、誤った用法のものも混ざっています。

次に紹介する表現は一見正しい敬語のように聞こえますが、実は間違った使い方です。

電話対応でうっかり使ってしまわないように注意しましょう。

「いらっしゃいますでしょうか」

「いらっしゃいますでしょうか」は、「いらっしゃいますか」より一層丁寧に聞こえますが、実は文法的に間違っていることに気がついた方もいるかもしれません。

敬語で「尊敬語と尊敬語」「丁寧語と丁寧語」など、同じ種類の敬語が重なることを「二重敬語」と呼び、誤った用法とされています。

「いらっしゃいますでしょうか」を分解してみると、

  • いらっしゃる:「いる」「来る」「行く」「ある」の尊敬語
  • ます:丁寧語
  • でしょう:推量を表す丁寧語
  • か:疑問を表す終助詞

となり、丁寧語が2つ重複した二重敬語であることがわかります。

「おられますか」

電話対応で「○○様はおられますか」もよく聞く表現ですが、これも誤りと言われています。

「おる」は「いる」の謙譲語。

謙譲語とは、自分をへりくだる時に使う敬語です。

「おられますか」は、相手に対して謙譲語を使っているため、不適切と判断されてしまうのです。

ただし、「おられますか」の解釈には個人や地域で差があり、一概にNGとは言い切れない部分があるのも事実です。

例えば関西では「おる」が一般の動詞として使われているため、尊敬語の「れる」をつけて使われることもあります。

ただし、中には「おられる」に違和感を感じる方もいますので、ビジネスの電話対応では「いらっしゃいますか」を使う方が無難ともいえます。

ビジネスの電話対応のNGワード・表現

電話対応や接客で、誤った表現のまま使われているNGワードは他にもあります。

丁寧に言っているつもりでも、相手によっては不快に感じる可能性がありますので、電話対応ではこれらの表現を使用しないよう注意しましょう。

お世話さまです

「お世話さまです」は、相手にお世話になったことに対する感謝を表す表現ですが、どちらかというと目上の人が労力をねぎらう意味があります。

このため、電話対応で顧客や取引先に対して使うのは好ましくありません。

電話対応では「お世話になっております」という表現を使いましょう。

お名前を頂戴してもよろしいでしょうか

相手の名前を聞く時に「お名前を頂戴してよろしいでしょうか」と尋ねるのも間違った表現です。

「頂戴する」は相手から物をもらったり、受け取ったりする時に使う謙譲語ですが、そもそも名前は物ではなく、渡したりもらったりするものではないからです。

電話対応で相手の名前を尋ねたい場合の正しい敬語表現には、次のようなものがあります。

「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

「お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」

「お名前を教えていただけますか」

電話をお回しします

電話対応で他の部署や担当者に電話を転送する時に言ってしまいがちな「電話をお回しします」という表現。

「回す」という言い方は「たらい回し」を想起させるため、悪い印象を持ってしまう方も少なくありません。

電話対応で取次や転送を行う時は、「電話をおつなぎします」という表現が適切です。

できません/わかりません

電話対応で自分にはできないことやわからないことを聞かれた時には、その旨をきちんと相手に伝える必要があります。

しかし、「できません」「わかりません」という言い方はきつい印象を与えるのでNGです。

できないことを伝えるには、「~することが難しい」という意味の「かねます」という言葉を添えましょう。

「できかねます」

「私にはわかりかねます」

このような言い方をすることで、やわらかく丁寧にお断りの意思を伝えることができます。

~になります

「~になります」という言い方は、ファミレスやコンビニでよく使われる誤った敬語表現で、「ファミコン言葉」「バイト敬語」などと呼ばれているものです。

「なる」はAからBへと変化することを表す動詞ですので、変化を伴わない場合に「なります」というのは誤りです。

「こちらがご注文の品です」

「エレベーターはこの奥でございます」

が正しい言い方です。

~でよろしかったでしょうか

相手にこれで良いかどうかを確認する時の「よろしかったでしょうか」も要注意。

実際に過去の出来事である場合は問題ありませんが、現在のことに「よろしかった」と過去形を使うのは誤りです。

現在のことを確認する場合は、

「ご注文は以上でよろしいでしょうか」

と現在形で尋ねましょう。

記事まとめ

会社の電話対応では、大切なお客様や取引先と接するため、適切な敬語を使い丁寧な応対をすることが求められています。

しかし、正しい敬語を使わなければと思うあまり、過剰に丁寧な言い方や不自然な表現など「間違い敬語」が氾濫してしまっているのも事実。

また、「いらっしゃいますかって本当に正しいの?」など、細かな言い回しが気になってうまく話せないという方もいるかもしれません。

ビジネスの電話対応では、相手に敬意を表しながらも、自然体でいることが円滑なコミュニケーションの秘訣です。

正しい敬語を学ぶことがコミュニケーションの一助となるのはもちろんですが、相手への配慮と尊重の気持ちを忘れないことを第一に、誠実な対応を心がけてください。

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