業務改善を進める際に、ぜひ見直したいのが電話業務です。
これまで、会社の固定電話対応は人が取り次ぐ方法が当たり前とされていました。しかし、深刻な人手不足や業務の複雑化・多様化により、従来のやり方では限界が見えてきています。
電話業務の課題を明確にし、解決方法を考えていきましょう。
電話業務の課題とは
オンラインコミュニケーションが発達しても、ビジネスにおいて電話が使われる機会はまだまだ多いですね。
しかし、電話業務の実態をよく見てみると、
- ほとんどが取り次ぎで、自分には関係のない電話に出なければならない
- 営業電話が多く、重要な電話はごく一部
といったことに気づくかもしれません。
こうした電話にすべて対応していれば、本来の業務での成果や社員の意欲にも影響が出てきますし、電話業務が自社の対応キャパシティを超えた場合にはお客様にも迷惑がかかってしまいます。
メールの場合は、重要度の低いものは後回しにしたり、迷惑メールは無視したりできるのですが、電話は応答するまで用件がわからないため、時間を取られてしまうのが厄介です。
電話業務が抱える課題点を整理してみましょう。
業務が止まる・集中力が途切れる
会社では、電話が鳴ったら電話対応を最優先するのが常識となっていることがあります。
どんなに忙しくて手が離せなくても、鳴っている電話を放置するわけにはいきません。
電話に出るたびに業務の手を止めなければならず、せっかく集中していても電話業務を挟むことで集中力が途切れてしまいます。
対応を終えた後、元の集中を取り戻すには数分かかります。電話業務によって何度も作業が中断する状況では、1日の中で集中して本業に取り組める時間がほんの僅かになってしまうこともあるでしょう。
たかが電話1本と軽視せず、電話による業務中断をなるべく減らさなければなりません。
社員のモチベーションが低下する
自分の担当業務が他にあっても、それより優先しなければならない電話業務。
電話の一次対応は、自分の担当に全く関係ない問い合わせや、他の人への取り次ぎであることがほとんどです。
専門性を発揮できずやりがいのない電話業務に時間を取られて本業に注力できないと、社員のモチベーションが低下してしまいます。
「いつも同じ問い合わせばかり」「営業電話の対応が苦痛」といったことでもあるでしょう。
また、電話業務が新人や内勤の職種などに偏っている場合は、不公平感を感じてしまう原因にもなります。
応対者によって品質に差が出る
コールセンターなどでオペレーターが対応をする場合、新人と経験者では対応のレベルが大きく異なります。
まだ経験の浅いオペレーターに当たった場合、長く待たされたり、1度で納得のいく回答が得られなかったりして、お客様に不便な思いをさせてしまうこともあるでしょう。
スタッフのスキルアップも重要ですが、スタッフの出入りが激しいコールセンターで全員の対応品質を上げるのは容易ではありません。
しかし、なるべく間に関係のない人を挟まずスムーズに担当者にアクセスできるようになれば、結果的に対応品質が上がります。この方法のほうが現実的であると言えるかもしれません。
ピーク時に取りこぼしが発生する
電話の回線数や対応できるオペレーターの数を超える入電があった場合、電話がつながらなくなることを「あふれ呼」と呼びます。
オペレーターの離職率が高いコールセンターでは常に人手不足に悩まされており、ピーク時に十分な人員配置ができないこともあるでしょう。
あふれ呼は、企業にとっては機会損失です。電話がつながりやすくなれば顧客満足度も向上するため、早急に解決したい課題です。
取り次ぎミスなどヒューマンエラーが発生する
電話の取り次ぎのときに、
「保留ボタンを押し忘れて受話器を置き、電話を切ってしまった」
「折り返し対応で名前や連絡先を間違えた」
「不在メモを渡し忘れた」
といった経験はないでしょうか。
また、電話の内容は後追い確認ができないので、記憶違い・勘違いも発生しやすくなります。
しかし、こうしたミスが重なるとお客様の信頼を失ってしまいます。
ひとつひとつの対応をミスなく確実にこなせるよう、電話業務フローの改善が必要です。
受付・問い合わせ対応を効率化するツールと活用方法
電話業務の課題解決には、自動化システムの導入が有効です。
前章で挙げた電話業務の課題の多くは、すべての電話に人間が直接対応しているために発生しています。
システムを導入し、
- 定型的な質問への回答は自動音声で行う
- 目的や担当者が明確な電話は、直接担当につながるようにする
といった仕組みを作れば、自分の業務に関係する電話や、個別の対応が必要な電話だけに絞ることができ、電話業務に費やす時間を必要最小限にすることができるでしょう。
オペレーターが不足していても、用件別に電話を分散できれば混雑が緩和できたり、お待ちいただく間に「よくある質問」やチャットボットの問い合わせに誘導したりすることも可能で、あふれ呼対策にもなります。
「機械が対応することでお客様から不満が出るかも」という懸念があるかもしれませんが、電話を取る前にシステムで振り分けられれば、お客様にとっても問題解決までの時間が短縮されるというメリットがあります。
また、テンプレート回答で済む問い合わせはシステム対応で完結できるので、社員のモチベーションも向上します。
電話業務の自動化に使われているシステムには「IVR」と「ボイスボット」があります。
それぞれの機能・特徴と活用方法を見てみましょう。
IVR
IVR(自動音声応答)とは、電話で音声案内を流し、相手に番号入力で回答してもらうシステムです。
「予約の受付は1を、変更は2を……」と、目的によって選択肢を用意し、相手の回答によって電話を分岐させ、担当へつないだり、自動音声で案内したりします。
例えば、予約の受付であれば、
「ご希望のお日にちを4桁で入力してください」
「ご希望のお時間を24時間で入力してください」
「ご利用人数を入力してください」
というガイダンスを用意すれば、IVRの自動応答のみで受付を完了させることも可能です。
自動対応できる部分をIVRに任せてしまえば、電話業務の負荷をかなり減らすことができるでしょう。
ボイスボット
ボイスボットは、AI(人工知能)の「音声認識」「自然言語処理」を利用し、電話で音声会話と回答の解析を行います。
「自動音声で質問を流し、相手に口頭で答えてもらう」→「発話をテキスト化して解析し、必要な案内を音声で流したり、担当へ電話を転送したりする」という流れで、会話しながら対応を行うことができるのが特徴です。
IVRの場合は番号で入力してもらう必要があるため、選択肢を用意しなければなりませんでしたが、ボイスボットは発話を認識できるのでそのまましゃべってもらうだけで良く、相手にもストレスがありません。
定型対応でも自由回答が必要な用件はIVRでは対応できませんでしたが、ボイスボットならば処理することは可能です。
通販の受注業務の場合は、「商品名」「個数」「送付先」「宛名」「納品希望日」を話してもらえば、AIがテキスト化して、受注記録として残すことができます。
電話業務の課題解決!「Canario(カナリオ)」とは
IVRやボイスボットは、大型コールセンターなど電話業務がメインの部署向けという印象があるかもしれませんが、最近では企業の代表電話や小売店などでも導入が進んでいます。
しかし、担当者への名指し電話の取り次ぎが多い場合は、通常の電話業務に定型対応できる部分が少なく、自動化ツールではメリットが少ないと感じることもあるかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、NECネッツエスアイが提供するCanario(カナリオ)です。
Canario(カナリオ)が選ばれる理由
Canario(カナリオ)は、担当者への名前取次を自動化できる電話転送サービス。
AIが電話に出て、担当者の名前を聞き、携帯に直接転送。取り次ぎだけのために電話に出る必要はなくなります。
担当者がわからない場合はグループ全員を呼び出すので、電話が迷子になることもありません。
さらに、Canario(カナリオ)では、応答できなかった電話の伝言をテキスト化して自動送信することも可能です。
名前や連絡先の聞き忘れ・不在メモの渡し忘れといった心配がなく、不在時の伝言をすぐに受け取って対応できます。
携帯から会社の番号で発信できるBYOD発信にも対応。どこにいても折り返し対応ができるから、お客様とのスムーズなコミュニケーションが実現します。
AI対応だから、話中になることもありません。営業時間外の電話業務も任せることができるので、電話を取り逃して機会損失する心配もなくなります。
記事まとめ
電話業務が抱える課題の解決に必要なことは、
- 電話対応のための中断を減らし、本来の業務のための時間を確保する
- 電話業務のストレスを軽減し、モチベーション向上のための工夫をする
- 対応品質を平準化する
- 繁忙時のあふれ呼をなくす
- 電話業務で起こりやすいヒューマンエラーを防止する
電話業務を自動化し、人間が対応しなければならない部分を最小限にすることで、これらの課題を解決することができます。
目的に合った方法・ツールを用いて、電話業務の改善を図ってみてください。
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