企業の電話対応では、一般的なビジネスマナーはもちろんのこと、会社特有のルールや決まりごとがある場合もありますね。
何かと覚えることが多い電話対応業務の手順やマナーの習得には、電話対応マニュアルが役立ちます。
本記事では、会社の電話対応マニュアルに掲載したい基本マナーを解説します。
ご紹介した内容をアレンジして、社内ルールを反映した自社マニュアルの作成にお役立てください。
会社の電話対応でビジネスマナーの基本が身に付く
若い世代の中には、「固定電話をほとんど使わない」「電話の取り次ぎをしたことがない」という人も増えてきており、固定電話の対応に苦手意識を持つ方も少なくありません。
しかし、新人時代に電話対応を経験しておくことは決して無駄ではありません。
電話は、取引先や顧客と直接コミュニケーションを取る貴重な機会です。
取引先の気質やお客様の要望など、電話対応をすることでより深く自社の業務を理解することができるでしょう。
また、電話のマナーは接客・来客対応にも通じるので、電話に出ることで自然とお客様対応の実践能力が身に付いていきます。
会社の電話に出ることは、仕事の基礎を築く上で重要なステップでもあるのです。
会社で電話を受けるときの対応マニュアル
新入社員が会社に入ったら、まず受電対応からスタートすることが多いですね。
会社で電話を取る時のマナーを確認していきましょう。
3コール以内に電話を取る
電話が鳴ったら、今行っている業務を一旦止めてなるべく早く電話を取ります。
一般的には、呼び出し音3コール以内に取るのがビジネスマナーと言われていますが、会社や部署によっては、「2コール以内」「1コール目」などのルールがある場合もあります。
自社の定めるルールをマニュアルに記載しましょう。
社名・氏名を名乗る
ビジネスでは、電話を受けた側が先に名乗ります。
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇 営業部 田中でございます」など、第一声に感謝の言葉をつけている会社もありますね。
3コール以内に電話を取れなかった場合は、「お待たせいたしました。株式会社〇〇……」と名乗ることもあります。
第一声や名乗り方が会社で決まっている場合は、マニュアルに明記しておきましょう。
正しい敬語を使う
電話対応では、ビジネスシーンにふさわしい正しい言葉遣いが求められます。
例えば一人称は、年齢や性別にかかわらず「私(わたくし)」を使うのが一般的です。
また、相手(の会社)には尊敬語を、自社には謙譲語を使います。
尊敬語と謙譲語は間違えやすいので、使い分けられるよう整理しておきましょう。
尊敬語の例
基本形 | 尊敬語 | 例文 |
---|---|---|
言う | おっしゃる | ○○様のおっしゃる通り |
見る | ご覧になる | 資料をお送りいたしますのでご覧くださいませ |
来る | いらっしゃる、おいでになる、お越しになる | 本日はお越しいただきありがとうございます |
謙譲語の例
基本形 | 謙譲語 | 例文 |
---|---|---|
言う | 申す、申し上げる | 弊社の〇〇が申しておりました |
見る | 拝見する | 資料を拝見いたしました |
来る | 参る、伺う | 明日、お伺いする予定でございます |
相手の名前や重要なワードは復唱する
電話の相手の名前・社名などの固有名詞を間違ってしまうと、会社としての信用を落としてしまうことになりかねません。
相手が名乗った後は、「〇〇社の高橋様でございますね」と復唱する習慣をつけておくと安心です。
一度で聞き取れなかった場合や聞き間違えていた場合も、復唱すれば確認する機会が生まれます。
保留する時のマナー
取り次ぎや調べもののために電話を一時中断できる「保留」は便利な機能ですが、保留中は相手を待たせているということを肝に銘じ、多用しすぎないように心がけましょう。
保留する前に一言ことわる
自分が何か言いかけていたタイミングで突然電話を保留されると、気分が悪いものです。
相手の話をさえぎってしまわないよう、保留ボタンを押す前に一言断りましょう。
待たされるのを快く思わない方もいらっしゃいますので、「お調べいたしますので、保留にしてよろしいでしょうか」と相手の承諾を得てから保留するのが確実です。
30秒以内に解除する
保留の時間は30秒が限度と言われています。
何か調べものをしたり、上司に相談したりするには短く感じるかもしれませんが、待っている側にとって30秒は非常に長い時間です。
1回の保留は30秒を目安とし、解決できない場合は一旦保留を解除して、このままお待ちいただけるかどうかを相手に確認しましょう。
かかってきた電話の場合は相手に通話料が発生していますので、長くなりそうな場合は折り返しにした方が良い場合もあります。
クロージングのマナー
「終わり良ければすべて良し」は会社の電話対応にも当てはまります。
せっかく良い対応をしていても、電話の終わりが雑になっては台無しです。
電話を切るまで気を抜かず、丁寧な対応を心がけましょう。
聞き忘れがないか確認する
電話の終わりに、相手の社名や名前、連絡先、用件など、聞き漏れがないか確認します。
特に、何か対応を依頼されている場合や他の社員への伝言を預かっている場合には、必要な情報がすべて揃っているか念入りに確認してください。
不明点・疑問点があったら電話を切る前に解消しておきましょう。
最後にもう一度名乗る
電話を終えるときは、「営業部の〇〇が対応いたしました」と、もう一度名乗ります。
用件を承った社員の名前がわかれば、何か追加の連絡が必要になった場合に名指しできるため、相手に安心感を与えることができるからです。
電話を取ったときにも名乗っていますが忘れてしまうこともあり得ますので、最後にもう一度名前を伝えておくのがよいでしょう。
相手が電話を切ってから静かに受話器を置く
電話は「かけてきた方が先に切る」というのがマナーです。
受電の場合は、相手が電話を切るまで待ってから電話を切りましょう。
相手もなかなか切らない場合は、しばらく待って「失礼いたします」と一言伝えてから電話を切ります。
受話器を勢いよく置くと、まだ通話が終わっていなかった場合は相手に「ガチャン!」という音が聞こえてしまいますので、受話器は静かに戻しましょう。
不在時対応マニュアル
電話の取り次ぎ先の担当者が会社にいない場合は、用件を聞き、どのような対応が必要かを考えて担当者に伝言する必要があります。
不在時の対応方法は、大きく分けて次の3つに分かれます。
- 担当者が戻ったら折り返し連絡する
- 電話があったことを伝える
- 担当者の代わりに対応する
急ぎの用件や、担当者本人でなくても対応できる用件では、電話に出た人が代わりに対応することもあります。
しかし、多くの場合は担当者に伝言をすることになりますので、不在時の対応や伝言ルールもマニュアル化しておきましょう。
後追い確認できるよう文字に残す
伝言は、原則として紙のメモやメール、チャットなどで文字にして残すのがおすすめです。
これは、担当者が対応するときに後追い確認できるようにするためです。
また、記録が残ることで、言った言わないの誤解を避けたり、伝達ミスを防ぐ効果もあります。
箇条書きで簡潔にまとめる
伝言メモは、ぱっと見て用件がわかるように簡潔にまとめるのがポイントです。
文章で書いた例
「2月15日の15時30分に、A社 〇〇様からお電話がありました。明日の会議の開始時間についてご相談があるそうです。折り返しお電話をお願いします。連絡先はXX-XXXX-XXXXです。本日の18時まで会社にいます。それ以降は携帯にお電話ください」
箇条書きの例
- 日時 2月15日 15:30
- 発信者 A社 〇〇様
- 用件 明日の会議の開始時間
- 折り返し 連絡先:XX-XXXX-XXXX(本日18時まで) 以降は携帯へ
長文より、箇条書きにした方が格段に見やすくなりますね。
必要な項目名を印字した伝言メモのテンプレートを用意しておくのもおすすめです。
記事まとめ
会社の電話対応マニュアル作成に役立つ電話の基本マナーを解説しました。
本記事で紹介した内容に、社内のルールを加えた自社版のマニュアルがあれば、新入社員も戸惑うことなく電話対応にトライできることでしょう。
電話対応はビジネスの基本マナーを学ぶチャンスでもあります。
マニュアルを活用し、ビジネスの基礎力UPに役立ててください。