営業電話とは、商品やサービスを購入してもらうことを目的に取引先以外の会社からかかってくる電話のことを指します。
一般的には、メインの業務をこなす傍らで電話対応をしている会社が多いでしょう。
このため、営業電話の断り方が分からず話がどんどん長引いてしまうと、業務効率の悪化などさまざまな影響が出てしまいやすいです。
そこで本記事では、会社向けに営業電話がかかってきたときの適切な断り方を解説します。
断る際に役立つ例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
まずは営業電話を判別するコツを抑えよう
営業電話の断り方を押さえることも大切ですが、まずは営業電話であることを見極める必要があります。
早い段階でお客様や取引先からの電話との違いを判別できれば、その分、無駄な時間を過ごさなくてすむため、コツを身に付けましょう。
会社名を教えてくれない
ビジネスの場では電話をかける際、自分の会社名と名前を名乗ることが一般的です。
しかし、営業電話の場合はこちらから会社名を尋ねても曖昧に答え、具体的な名前を教えてくれないことが多いです。
実際の例文としては「○○(名前の通った企業名)の関係会社です」「こちらの地域を担当しております」といったものがあります。
こちらが会社名を聞いても回答を濁すようであれば、営業電話の可能性が高いことを覚えておきましょう。
役職名などで取り次ぎを依頼される
営業電話をかけてくる会社は、普段取り引きをしていない会社であるため、自社で働く従業員の名前を知らないケースが多いです。
このため、役職名などで電話を取り次ぐように依頼されます。
実際に用いられる例文としては「人事担当様におつなぎいただけますか」「部長様はいらっしゃいますか」といったものがあります。
自社とやり取りしていれば担当者の名前を把握しているはずなので、あいまいな表現で取り次ぎを依頼してくる場合は営業電話であることを疑いましょう。
一方的に話を進めてくる
こちらに話すタイミングを与えずに、話を一方的に進めてくることも営業電話によくある特徴です。
断り方を心得ていないと相手のなすがままになってしまうため注意が必要です。
いつまでも話を聞いている時間はないので、きっぱり断らなくてはいけません。
電話口から他の話し声が聞こえる
営業電話は、コールセンターなど担当者が多く集まっているところからかけられることが多いです。
このため、電話口から他の話し声が聞こえることがあります。ガヤガヤと騒々しい場合は営業電話の可能性が高いです。
なるべく早いタイミングで、営業電話をかけてきた相手に具体的な用件は何かを尋ねましょう。
お断りせず、セールスの電話に対応してしまうリスクとは
ここまで営業電話の特徴について解説してきましたが、セールスの連絡をはっきり断らずに対応してしまうとどのようなリスクがあるのでしょうか。
ここで3つのリスクを確認していきます。
本業にあてる時間が減る
営業電話をかけてきた相手に圧倒されてなかなか受話器を置けずにいると、その間に時間が過ぎてしまいます。
このため、電話をとった従業員は本業にあてる時間が少なくなります。
業務効率が低下して残業が増えることもあるでしょう。
会社側としては、生産性の低下や人件費の高騰といったリスクが考えられます。
会社として機会ロスとなりうる
営業電話がかかってくるとその分、回線が少なくなります。
このため、本来対応できたはずの電話がとれないケースも考えられるでしょう。
その電話が、会社として新たなビジネスチャンスとなるような大切な電話である可能性もあるので、大きな機会ロスにつながってしまうかもしれません。
従業員が精神的な負担を感じる
多くの従業員は、電話対応以外の業務をメインにこなしているのではないでしょうか。
あまりに営業電話の本数が多いと、従業員自身のストレスになってしまったり、仕事へのモチベーションが低下したりする可能性があります。
精神的な負担が多いと従業員満足度が下がり、離職率が上がってしまうケースもめずらしくないため、会社として適切に謝絶することが大切です。
【例文】現場で役立つ営業電話の断り方
ではここから、実際に会社宛てに営業電話が来たときに役立つ断り方を解説します。
全部で4フレーズ紹介するので、その場の状況にあわせて使い分けましょう。
「本日はどのようなご用件でお電話いただきましたでしょうか」
相手がなかなか具体的な用件を言ってこない場合に、使える例文です。
早い段階でこの例文を言うことで、営業電話をスムーズに断ることができるでしょう。
ただし、例文をそのまま唐突に使うのではなく、「失礼ですが」「恐れいりますが」といったクッション言葉を用いて丁寧に対応するようにします。
「弊社では新規のお取り引きを控えております」
営業電話であることが分かったときに使える例文です。
相手にチャンスがあると思わせずに済み、セールスをはっきりと断ることができます。
「必要な場合はこちらからお電話いたしますので、今後のご連絡は不要でございます」
営業電話の相手が食い下がってきたときに、使える例文です。
実際に連絡することはないですが、相手の名前と連絡先をあわせて聞くと現実味が増します。
「ありがとうございます、失礼いたします」
相手がなかなか電話を切ってくれない場合に使用します。
こちらから話を終わらせる言葉を使って、通話を終了させます。
ポイント:営業電話を事前に防ぐ方法もある
営業電話の本数が多く、従業員が対応に追われてしまっているなどの場合は、連絡がこないようにあらかじめ対策する方法が有効です。
ここでは4つの事前対策を紹介するので、自社の状況にあわせて導入を検討してみてください。
営業電話の事前対策1:社内マニュアル
会社として、営業電話がかかってきたときの対応方法を社内マニュアルにまとめておく方法です。
例えば、本記事で紹介したような営業電話の見極め方や断り方、言葉遣いなどを記載しておくといいでしょう。
ロールプレイ方式で対応の流れを記載しておけば、電話にあまり慣れていない従業員でもスムーズに対応しやすくなるのでおすすめです。
営業電話の事前対策2:着信拒否
何度も同じ電話番号から営業電話がかかってくる場合は、その番号を着信拒否に設定します。
ただし、着信拒否は番号が分からないと設定できない点に注意が必要です。
営業電話の事前対策3:電話番号区分
会社の代表電話の番号を区分けすることで、営業電話であるか否かを判別しやすくする方法です。
例えば、既存顧客に利用してもらう代表電話と、それ以外の代表電話を別の番号に設定します。
すると、後者宛ての着信は日ごろから取り引きがない人だと判別できるため、電話をとる従業員も「営業電話の可能性がある」と心づもりすることができます。
営業電話の事前対策4:自動音声応答(IVR)
着信があったときに自動音声を流すIVRを導入することもひとつの方法です。
実際にガイダンスとして流れる例文としては「料金に関するお問い合わせは1を、サービスに関するお問い合わせは2を、その他のお問い合わせは3を押してください」といったものがあります。
この例文の場合、営業電話をかけてきた相手は「3」を押すことになりますが、実際に担当者と話ができるまでに時間がかかるため自動音声が流れたタイミングで電話を切ってしまうことが考えられます。
したがって自動音声応答(IVR)を導入すれば、営業電話のシャットアウトだけでなく、毎日の電話対応の負担も減らせるといえるでしょう。
まとめ:今回紹介した断り方と例文を参考に、電話対応を効率化しよう
会社にかかってくる営業電話はうまく対応しないと、本業にあてる時間が少なくなったり、機会損失につながったりする可能性があるため注意が必要です。
今回紹介した営業電話の見分け方や断り方を参考に、適切に対応するようにしましょう。
あまりに営業電話の本数が多い場合は、事前対策を講じることもひとつの方法です。
方法によってはお金や手間がかかるものもあるので、営業電話の本数や従業員が対応する負担などを踏まえて慎重に検討することをおすすめします。