製薬業界におけるオムニチャネルの必要性と活用事例

オムニチャネルの概要と製薬業界における導入事例

製薬業界におけるオムニチャネルの必要性と活用事例
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流通・小売業界等のBtoCマーケティングで広く導入されている「オムニチャネル戦略」ですが、近年は製薬業界をはじめとするBtoBマーケティングでも導入されるケースが増えています。

この記事では、オムニチャネルの概要と製薬業界における導入の必要性について解説します。

オムニチャネル化で成果をあげている製薬業界の企業事例もまとめているので、合わせて参考にしてみてください。

オムニチャネルの概要

まずはオムニチャネルの概要と類似するマーケティング手法との違いについて詳しく見ていきましょう。

製薬業界で加速する“オムニチャネルマーケティング”とは

製薬業界で加速する“オムニチャネルマーケティング”とは

オムニチャネル(Omnichannel)とは、企業と顧客の接点となる販売経路を統合し、様々な角度から顧客へアプローチをかけるマーケティング手法のことです。

製薬業界においては、製薬企業のMR(Medical Representative:医療情報提供者)と医療従事者間の接点をチャネルとし、どのチャネルを利用しても同品質の情報提供を行えるようにすることを指します。

これまではMRが直接病院やクリニックを訪問し、医療従事者に対して対面で情報提供を行うのが主流でした。

しかし近年はデジタル技術が発展し、医療者向けのWebサイトやポータルサイトを利用して医療従事者自身が情報収集を行うことも比較的容易になりつつあります。

こうした中で、製薬業界の企業にはオンライン・オフラインを統合したコミュニケーションポイントの再構築と新たな顧客体験の創出が求められていると言えるでしょう。

マルチチャネルとの違い

マルチチャネルとの違い

オムニチャネルとよく似た手法として、マルチチャネルというものがあります。

マルチチャネルとは、企業と顧客の接点となる販売チャネルを複数持つマーケティング手法のことです。

店舗・Webサイト・SNSといった複数のチャネルを持つ点はオムニチャネルと同様ですが、マルチチャネルの場合はそれぞれのチャネルが完全に独立しているという特徴があります。

オムニチャネルがオンラインとオフラインを連携して全体の売上向上を図るマーケティング手法であるのに対し、マルチチャネルはオンラインとオフラインのそれぞれで売上向上を図るマーケティング手法だと言えるでしょう。

オムニチャネル マルチチャネル
概要 複数の接点を同一のユーザーがシームレスに利用する 複数の接点を別々のユーザーが利用する
顧客との接点 複数あり、全体がシームレスに連携されている 複数あるものの各チャネルは独立している
顧客側の認識 全体を1つのブランドとして認識 独立した複数のタッチポイント

製薬業界でオムニチャネルが必要とされる理由

製薬業界でオムニチャネルが必要とされる理由

続いて、製薬業界におけるオムニチャネルの必要性について詳しく見ていきましょう。

MR活動におけるデジタル化の推進

近年はデジタル技術の進化に伴い、製薬業界におけるWebマーケティングやeディテーリング(製薬企業の医療情報を配信するサービス)の比重が高まっています。

これまでMR活動の補助的ツールであったこれらのサービスが一定のウエイトを持つようになったことで、今後はMR活動に欠かせない必須のツールとして活用されていくことが予想されるでしょう。

しかしその一方で、MR活動とこれらのサービスが統合されておらず、それぞれが独立した「マルチチャネル」の状態となっているケースが多いのも現状です。

そのため、今後はMR活動とデジタル技術を連携させ、より効率的なコミュニケーション環境を整えていくことが求められると言えるでしょう。

固定費の削減

国による医療費削減が行われたり、競合他社との競争が激化したりする中で、製薬業界の企業においては固定費の削減が大きな課題の1つとなっています。

中でもMRへの人件費が占める割合は大きく、人海戦術による施策は難しい選択となりつつあるのが現状です。

実際に、一部の製薬企業では大規模なMRのリストラ等も行われており、この動きは今後も必要に応じて発生することが予想されます。

こうした状況で効率的に利益を確保していくには、外部のリソースを活用した柔軟なコミュニケーション環境の構築が不可欠だと言えるでしょう。

ITの発展に伴う選択肢の増加

スマートフォンやSNSが普及した現代は、医療従事者が情報収集を行うための選択肢がいくつも存在します。

これまでは文献を複写したり学会で話を聞いたりしなければ知り得なかった情報も、現在ではパソコンやスマートフォンを通じて簡単に取得できるようになりました。

存在意義そのものが問われつつあるMRが今後も成果をあげていくためには、これらの仕組みをオムニチャネルの視点で業務に取り入れ、様々な角度からアプローチをかけていくことが重要となるでしょう。

製薬業界におけるDX推進の成功事例

製薬業界におけるDX推進の成功事例

ここからは、オムニチャネル化の実践で成果をあげている製薬業界の企業事例をいくつか紹介していきます。

Webサイトへのチャットボックス設置で運用実績を向上

医療関係者向けWebサイトの機能を強化してMRとのコミュニケーションを活発化させた製薬企業の事例です。

こちらの事例では、製薬企業が運営する医療情報サイトへのチャットボックスの設置により、必要に応じてサイト上をアテンドしたり、MRを呼び出したりできる機能が追加されました。

すでに約600件の使用実績があった他、MRとのアポイントに繋がったケースも10件以上ある等、医療従事者のニーズに的確に対応した事例となっています。

リモートMRサービスの提供で医療現場のDXを推進

MRとWebサイトの連携によるオムニチャネル施策で医療現場のDXを実現している製薬企業の事例です。

こちらの事例では、製薬企業が運営する医薬品情報サイトにオンライン接客ツールを導入することで、MR活動のリモート対応を可能にしています。

現在は医師向けのサービスとして限定的な提供となっていますが、今後は利用対象を薬剤師に広げていくことが検討されています。

チャットボットの運用で情報検索を効率化

医療関係者向けのチャットボットを活用したオムニチャネル施策に取り組んでいる製薬企業の事例です。

こちらの事例では、AIが搭載されたチャットボットシステムの導入により、医療従事者が入力した質問に対する回答を自動で行えるようにした他、関連情報の提示等も可能にしています。

添付文書等に記載されている基本的な内容であれば、パソコンやスマートフォンを通じて迅速にアクセスできるようになり、情報検索の効率化等に効果が期待されています。

記事まとめ

記事まとめ
  • 製薬業界におけるオムニチャネルとは、MRと医療従事者間の接点を統合し、どのチャネルからも同品質の情報を提供できるようにすることを指す
  • 急速にデジタル化が進む中で、製薬企業においてはオンライン・オフラインを問わないコミュニケーション環境の構築が求められている
  • オムニチャネルを実践している製薬企業では、MR活動の効率化や情報検索の迅速化といった成果が出ている

流通や小売業界に限らず、製薬業界等のBtoB企業においてもオムニチャネルは効果的な施策だと言えるでしょう。

NECネッツエスアイでは、オムニチャネル化に役立つ様々なソリューション・サービスを提供しています。

導入後の運用サポート等も可能ですので、オムニチャネル化の取り組み方やツールでお悩みの企業様はぜひ一度ご相談ください。

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