ECの普及やトレンドの短サイクル化といった課題の解決に向け、オムニチャネル戦略を導入するアパレル企業の事例が増えています。
この記事では、アパレル業界におけるオムニチャネルの必要性と、オムニチャネル化によって成果をあげているアパレル企業の事例を解説します。
NECネッツエスアイが提供するオムニチャネル化の支援ツールも紹介しているので、導入方法やツール選びでお悩みのアパレル企業様はぜひ参考にしてみてください。
アパレル業界の現状とオムニチャネルの必要性
まずはオムニチャネルの概要と、アパレル業界におけるオムニチャネルの必要性について詳しく見ていきましょう。
オムニチャネルとは
オムニチャネル(Omnichannel)とは、企業と顧客を結ぶあらゆる販売経路を統合し、顧客に対して一貫性のあるアプローチを行う販売戦略の1つです。
スマートフォンの普及によって消費行動が多様化する中で、アパレル業界においては実店舗の売上減少やECの需要拡大といった変化への対応が求められています。
今後ますます多様化する消費者ニーズに応えていくためには、オムニチャネル化によってオンライン・オフラインの双方から戦略的にアプローチを行うことが不可欠と言えるでしょう。
アパレル業界でオムニチャネルが必要とされる理由
アパレル業界でオムニチャネル化が必要とされる理由として、以下のような点が挙げられます。
売上向上のため
コロナ禍をきっかけにアパレル業界の売上は大きく落ち込み、行動規制が緩和された現在においても、コロナ前の水準には回復していないのが現状です。
また国内人口の減少といった要因もあり、長期的に見てもアパレル市場の大幅な成長は難しいと言えるでしょう。
こうした中で売上向上や利益増大を見込むには、店舗とEC・アプリ等の連携による顧客の囲い込みが欠かせません。
オムニチャネル化してあらゆるチャネルからアプローチを行い、顧客1人あたりの購入回数や単価を向上していくことが今後のポイントとなってくるでしょう。
人手不足解消のため
各チャネルで管理している顧客情報や在庫情報を一元化することで、情報管理の効率化が可能となります。
現在は人口減少や少子高齢化に伴い、あらゆる業界で人手不足の課題が慢性化しています。
アパレルを含む小売業界においても例外ではありませんが、オムニチャネルを推進し、業務効率化や人材配置の最適化を図ることで、ある程度の課題解決を見込めるようになるでしょう。
スマホユーザーに最適化するため
スマホが普及した現代では、パソコンよりもスマホから各種サイトにアクセスする割合が高くなっています。
特に、アパレル業界の主要ターゲットである若年層のスマホ利用率は非常に高く、企業においてもモバイルサイトやSNS等を活用したアプローチが不可欠になってくると言えるでしょう。
オムニチャネルの導入事例を紹介
続いて、オムニチャネル化に成功したアパレル業界の企業事例をいくつか紹介していきます。
事例①EC商品の“店舗受取”導入でクロスセルによる売上向上を実現
オムニチャネル戦略として以下の施策を導入し、売上向上や顧客数増加を実現しているアパレル企業の事例です。
- ECサイト限定の商品を販売してアプリ利用者の増加を図る
- ECサイトで購入した商品の店舗受取に対応し、店舗でのクロスセルに繋げる
- アプリで収集したデータの活用によるマーケティング施策の展開 等
こちらの事例では、店舗・ECのそれぞれの強みを活かす形でチャネル連携が行われており、アパレル業界全体で売上トップを記録する等の大きな成果をあげています。
事例②在庫管理の一元化でロイヤルカスタマーを育成
店舗・EC間の在庫データを統合し、全体の売上向上を実現したアパレル企業の事例です。
こちらの事例では、店舗とECの在庫情報を一元化し、どの店舗からでもリアルタイムに在庫を確認できるようにすることで、売れ残りや機会損失の防止が図られています。
また在庫情報の共有によってECサイトから店舗在庫の取り置きを予約するといったことが可能となり、店舗とECの両方を利用するロイヤルカスタマーの育成にも役立っています。
事例③オンライン接客ツールの導入でEC売上145%を達成
販売チャネルの拡大によってEC売上を前年比145%まで向上させたアパレル企業の事例です。
こちらの事例では、コロナ禍によって減少した実店舗の売上を取り戻すために、新たな販売チャネルとしてSNSでのライブ配信やオンラインでのフィッティングサービス等を導入しています。
オンライン接客の効果でEC売上が大きく向上した他、配信経由での来店数も増加したことで、実店舗・ECの双方で顧客単価向上を実現しています。
事例④店舗・ECの連携で相互利用する顧客を増やすことに成功
積極的なデジタル活用によって売上を伸ばしているアパレル企業の事例です。
こちらの事例では、ロイヤルカスタマーの育成を目的として、アプリの利便性向上やデータ連携、オンライン接客によるスタイリングサービス等の施策を導入しています。
ECを中心としたオムニチャネル施策の拡充により、前年比123.8%となるEC売上を記録した他、EC会員数についても前年比+100万人となる等高い成果をあげています。
事例⑤店舗を主体としたオムニチャネル戦略で売上を向上
店舗を主体とした以下の取り組みによって、安定的に売上を伸ばしているアパレル企業の事例です。
- ECサイトから実店舗の在庫確認を行えるサービス
- ECサイトから実店舗に商品を取り寄せ、試着後に購入を判断できるサービス
- 実店舗で試着した商品をECサイトで素早く検索できるサービス 等
こちらのアパレル企業は全国に店舗を展開しており、店舗数の多さを活かしたオムニチャネル戦略が特徴となっています。
ECの強化を図る事例が多い中、店舗ならではのメリットに着目したユニークな事例と言えるでしょう。
NECネッツエスアイが提供するDXソリューション・サービス
NECネッツエスアイでは、アパレル企業での導入率が高いオンライン接客ツールをはじめ、様々なDXソリューション・サービスを展開しています。
オンライン接客ツール【LiveCall】
LiveCallは、BtoC向けのサービスに特化したビデオ通話型のオンライン接客ツールです。
ブラウザからワンクリックで通話を開始できる他、顧客側のアプリインストールやアカウント登録も必要とせず、シームレスに利用できるのが特徴です。
またブランドロゴやカラーリング設定にも対応しており、オムニチャネルに欠かせない“ブランドイメージの統一”を行いやすい点もLiveCallの強みと言えます。
LiveCallに搭載されている主な機能は以下の通りです。
機能 | 概要 |
---|---|
ビデオ通話・音声通話 | ブラウザからワンクリックで動画接客を開始。音声のみの通話も利用可能です。 |
テキストチャット | 通話と並行してチャットのやり取りを行うことができます。補足情報の送信に有効。 |
録音・録画 | 通話内容の記録が可能です。フィードバックや品質向上に役立ちます。 |
通話前アンケート | 通話開始前に簡易的なアンケートを実施できます。 |
予約カレンダー | スタッフの対応可能枠を示し、予約の受け付けを行います。指名機能等も搭載。 |
カード決済 | クレジットカード決済に対応。通話中の商品購入も可能です。 |
モニタリング | スタッフのログイン状況・通話対応をリアルタイムで確認できます。 |
顧客動態の可視化サービス【PictLess】
PictLessは、センサーによって店内の混雑度や通行量を取得・可視化できるサービスです。
AIカメラを用いて店内の混雑度・動線把握を行う仕組みとなっており、商品のレイアウトや人材配置を見直す際の参考データとして活用することができます。
PictLessで取得できるデータの概要は以下の通りです。
機能 | 概要 |
---|---|
混雑度マップ | 店舗レイアウトの映像上に混雑度バブルを表示 |
混雑度の時間推移 | 時間ごとの混雑度を棒グラフで表示 |
混雑度の日別推移 | 1週間単位の日別での混雑度を棒グラフで表示 |
LINE連動オーダーサービス
LINE連動オーダーサービスは、モバイルアプリ「LINE」を利用したオーダーサービスです。
チャットボットを経由したシンプルな操作で商品の事前注文・事前決済を行える仕組みとなっており、店舗での待ち時間短縮やスタッフの業務効率化等に役立てられています。
アパレル企業のIT活用事例まとめ
- オムニチャネルは企業と顧客を結ぶ販売経路を統合し、顧客に一貫性のあるアプローチを行う販売戦略のこと
- 売上減少や人手不足といった課題を解消するうえで、オムニチャネルは効果的な戦略の1つと言える
- 実際にオムニチャネルを導入しているアパレル企業では、売上向上や顧客の囲い込み等の成果をあげている
アパレル業界ではオムニチャネル化に向けた取り組みが活発化しており、成果を出す企業も増えてきています。
今後もこうした動きは広がっていくと予想されるため、まだオムニチャネルを導入していない企業様や、オムニチャネル化の方法・ツール選び等でお悩みの企業様はぜひ一度NECネッツエスアイまでご相談ください。