実店舗やEC等の販売チャネルを統合・連携させる「オムニチャネル」が注目を集めています。
この記事では、オムニチャネルの“デメリット”に着目し、推進にあたって想定されるデメリットの概要と、デメリットを最小限に抑えるためのポイントを解説します。
デメリットを解消しオムニチャネル化に成功した企業の事例も紹介しているので、オムニチャネル化の方法でお悩みの企業様はぜひ参考にしてみてください。
オムニチャネル化で考えられるデメリットとは
まずは、オムニチャネル化を進めるうえで想定される主なデメリットについて詳しく見ていきましょう。
デメリット①効果が出るまでに時間がかかる
オムニチャネルを成功させるには、顧客満足度を向上させたうえで、企業やブランドに対するロイヤリティを高める必要があり、短期的には効果が見えにくいというデメリットがあります。
また実店舗とECとの連携に向けたデータ管理の一元化や物流の最適化も必要となることから、体制を整えるための予算やリソースも検討していかなければなりません。
デメリット②実店舗とECが競合してしまう
オムニチャネルの導入によるデメリットとして、実店舗とECの競合化も挙げられます。
実店舗とECをシームレスに連携させることで、これまで店舗を利用していた顧客がオンラインに流れ、結果として店舗の売上が落ちてしまうというケースが考えられるからです。
店舗がショールーム化してしまうだけではオムニチャネルの意味がないため、例えば店舗購入限定の特典を付けたり、店舗受取のシステムを導入したりして、適切に連携をとっていくことが求められます。
デメリット③顧客への周知が難しい
オムニチャネルは顧客への認知が難しいという点もデメリットの1つです。
すでにECサイト市場はレッドオーシャンとなっており、長く生き残っていくには顧客認知を高めるための施策が欠かせません。
顧客認知を高める施策としては、SNSの活用や店頭での説明、またWeb広告の出稿やECサイトのSEO対策等が挙げられるでしょう。
オンライン・オフラインで実施できる情報発信の手段を組み合わせながら、地道にオムニチャネルをアピールしていくことが重要となります。
デメリットを最小限に抑えるためのポイント
続いて、オムニチャネル化のデメリットを最小限に抑えるための進め方のポイントを解説していきます。
ロードマップの策定
オムニチャネルは企業が提供する各チャネルをシームレスに連携する必要があり、企業全体にわたる大規模かつ複雑なプロジェクトになりやすいのが特徴です。
そのため、自社の状況や課題を細かく分析し、オムニチャネル化の目的・ゴールを明確に定めることが大切です。
そのうえで、「いつ」「誰が」「何を」「どのように」実施するのかという具体的な施策・手順を検討することで、長期的な視点での取り組みが可能となるでしょう。
全社的な取り組みの実践
オムニチャネルを成功させるには、チャネル連携による企業全体の売上向上を実現する必要があります。
適切にチャネルを連携することで、チャネル間で顧客を奪い合うといったデメリットの抑制に繋がるでしょう。
そのためには、ロードマップを策定する段階で全体の認識を共通化し、各チャネルの位置付けや役割分担を理解しておくことが大切です。
適切なツール・システムの導入
複数のチャネルを統合したり、顧客・在庫情報を一元化したりするためには、各チャネルを横断的に管理できるツールやシステムの導入が必要です。
導入するツール・システムによってはコストや運用体制等が大きく変わるため、複数のシステムを比較・検討しながら慎重に選定するようにしましょう。
オムニチャネル化に成功した企業の事例を紹介
ここからは、オムニチャネルの導入によって様々な成果をあげている企業の事例を紹介していきます。
どのような課題・デメリットを抱えていたのか、またどのようにしてデメリットを解消したのかという点をまとめているので、オムニチャネル化でお悩みの企業様はぜひ参考にしてみてください。
オンライン接客の活用でEC売上を大幅に向上(アパレル)
オムニチャネル化によってEC売上を前年比145%まで向上させたアパレルブランドの事例です。
こちらの企業では、コロナ禍で実店舗の売上が大幅に落ち込んだこと受け、EC販売の強化を目的としてSNSでのライブ配信やオンラインでのフィッティングサービスを導入しました。
配信をきっかけに店舗へ来店する顧客等も増え、実店舗・ECの双方で顧客単価の向上を達成しています。
チャットボット導入で来店ハードルのデメリットを解消(化粧品・コスメ)
オンライン接客ツールの導入によって、EC売上の向上を実現したコスメブランドの事例です。
こちらの企業では、ECサイトにチャット型のオンライン接客ツールを設置し、過去の購入履歴に基づく商品提案や、スタッフへの美容相談等をサイト経由で実施しています。
自宅に居ながら店舗と同様の接客を受けられるということで、コスメカウンターへ足を運ぶことに抵抗のあった男性顧客の獲得等に成功しました。
モバイルオーダーの導入で機会損失のデメリットを低減(飲食)
モバイルオーダーシステムの導入により、機会損失の減少に成功したコーヒーチェーンの事例です。
こちらの企業では、店舗の業務効率化や顧客の待ち時間短縮を目的として、事前に商品の注文・決済を完了できるモバイルオーダーの仕組みが導入されています。
これまでは店舗が混雑している場合に顧客を取りこぼしてしまうというデメリットがありましたが、モバイルオーダーを導入したことでレジ対応が効率化され、売上の向上に繋がりました。
まとめ
- オムニチャネル化のデメリットとして、店舗・ECの競合化や顧客認知の難しさ等が挙げられる
- 企業全体で共通の目標を持ち、それぞれが役割を理解してオムニチャネルに取り組むことでデメリットを抑えられる
- オムニチャネル化を成功させるには、要件に応じた適切なツール・システム選びが不可欠
オムニチャネルにはメリットだけでなくデメリットも存在しますが、適切な方法・手順で導入を進めていくことで、デメリットを最小限に抑えることができます。
また予算等の問題からすぐにシステムを構築することが難しい場合は、比較的導入しやすいWebツールの活用を検討し、少しずつオムニチャネル化の範囲を広げるやり方がおすすめです。
NECネッツエスアイでは、オムニチャネルに役立つ以下のDXソリューションを提供しています。
Livecall(オンライン接客ツール) | BtoC利用に特化したビデオ通話型のオンライン接客ツール |
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PictLess(動態可視化ツール) | AIセンサーによって店舗の混雑度や動線を把握・分析するためのツール |
LINE連動オーダーサービス | LINEを利用したモバイルオーダーサービス |
いずれもオムニチャネルの効果的な導入に役立つツールとなっているので、DX化の方法やツール選びでお悩みの企業様はぜひ一度お問い合わせください。
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