AIやIoTなど様々なデジタル技術の進化により、ビジネスを行ううえでこれらの技術を活用することはもはや当たり前となっています。
この記事では、小売や飲食店などにおける店舗DX(デジタル変革)の概要をはじめ、導入メリットや店舗DXの先進的な導入事例を6事例をご紹介。
店舗DXの推進に役立つおすすめツールもまとめているので、デジタル技術の活用方法でお悩みの企業様はぜひ参考にしてみてください。
店舗DXとは?
DXとは、Digital Transformation(Digital X-formation)の略で、“デジタル技術の活用によってビジネスの形やライフスタイルを変革させること”を意味する言葉です。
経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、DXを以下のように定義付けしています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
では、店舗DXを導入する場合、どのような選択肢があるのでしょうか。
まずは店舗DXの主な種類と、店舗DXを推進することの必要性・メリットについて見ていきましょう。
2種類の店舗DX「店舗運用にかかるDX」と「店舗体験にかかるDX」
店舗DXとは、店舗運営に伴う様々な業務にITツールやデジタル技術を導入し、新しい顧客体験の創出や業務プロセスの改善を目指す取り組みのことです。
店舗DXは主に「店舗運用にかかるDX」と「店舗体験にかかるDX」の2種類があり、それぞれ具体事例として以下のような施策が挙げられます。
店舗運営にかかるDX(=店舗における業務の効率化)
- 会員カードの電子化・アプリ活用
- キャッシュレス決済への対応
- 電子荷札・セルフレジによる省人化
- AIカメラを活用した店内の動態分析 など
店舗体験にかかるDX(=店舗そのもののオンライン化)
- オンライン接客ツールの活用
- VR・アバターなどを利用した仮想店舗・ショールーム構築
- インタラクティブ動画を用いた資料案内 など
店舗DX推進の必要性・メリット
2020年から続く新型コロナの影響で、不要不急の外出や対面サービスの利用を控える動きが強まり、企業では新たな生活様式に適したビジネスモデルの構築・店舗DXの推進が急がれています。
またインターネット通信やスマホなどのモバイル端末の普及によってECサイトの利用率は上昇し続けており、すでに従来のアナログ店舗の売上だけでは生き残れない時代へと変化しているのです。
店舗DXを実現することで期待できるメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
オンラインサービスの充実により多様化する顧客のニーズに適応し、顧客満足度の向上を実現できる
インターネットの普及に伴い、消費者のライフスタイルは多様化しています。総務省のデータでは、2020年のインターネット利用率(個人)は83.4%です。
これにより、顧客は「自分のライフスタイルに最適な顧客体験」を企業に求めるようになりました。
具体的には「店舗の営業時間に縛られず、自分の好きな時間にショッピングをしたい」「不明点や不安は素早く簡潔に解決したい」「店員とのコミュニケーションを最低限にしたい」などといったニーズです。
今後、企業が生き残っていくためにはこれに対応できるサービスを生み出す必要があります。
従来のサービス提供方法では、販売チャネルが「実店舗」のみの1チャネルに限られていました。
この場合、顧客は店舗の営業時間内に店舗まで足を運んで、商品やサービスを購入する必要があります。また商品が店舗になかった場合は、他の店舗をあたる必要がありますし、購入を諦めてしまうケースも少なくありません。
前述した店舗DXの具体例にあるような店舗DXを推進することでCXが向上し、インターネットの普及を背景として多様化された顧客のニーズに応えながら、高い購入率や成功率を獲得することができるでしょう。
引用元:総務省 ICTサービスの利用動向 (2)インターネットの利用状況
“ウィズコロナ”を意識した非接触・非対面サービスの実現で顧客離れを防止
コロナ禍により、販売・サービス業界は苦しい状況となりました。
この状況からの脱却のために必要とされているのが「非対面型ビジネスモデルへの転換」です。非対面型ビジネスモデルとは、顧客と対面せずに営業を行うビジネス形態のことを指します。
また2020年月頃から、日本政府はIT導入補助金や小規模事業者持続化補助金などといった店舗DXに係わる補助金を展開し、販路開拓の拡大や業務効率化・自動化のためのITツールの導入をサポートしています。
店舗DXの推進により非対面型ビジネスモデルを実現することで、コロナ禍でも顧客に安心感を与えながら事業を継続することが可能となるのです。
更に、実店舗での対面のみではできなかった課題解決や新しいサービスを生み出すこと、また販売チャネルを広げることも実現できます。
店舗の省人化・無人化によって人手不足を解消できる他、人件費の削減にも繋げられる
店舗DXの推進により、時間効率や店舗運営にかかるコストを削減することができます。
例えば、ビデオ通話型のオンライン接客ツールを導入することで、スタッフが遠隔から接客できるようになるため、出勤にかかる交通費の削減が可能。
また実店舗に在庫がなかった場合も、複数店舗の在庫を一箇所に集め、そこにいるスタッフと店舗にいる顧客をビデオ通話で繋ぐことで、顧客は商品を映像で確認することができます。
店舗DXにより、在庫不足による売上や成功率の低下を防ぐだけでなく、管理コストの削減も実現することができるのです。
店舗DXの導入・活用事例6選
ここからは、実際に店舗DXを導入し、一定の成果をあげている企業の事例をご紹介していきます。
店舗DX事例①【家電販売業界】店頭に端末を設置しリモートで商品を説明販売
ある大手家電販売店では、ECの台頭による実店舗販売の売上低迷やコロナ禍対策として、店頭の商品の近くにオンライン接客が受けられるタブレット端末を設置。
ビデオ通話システムでアクセスした顧客に向けて、商品に精通した接客スタッフが専門的な知識を踏まえて商品の説明を実践しています。
接客スタッフは、顧客に向けて実際に商品を見せながら画面越しに、遠隔地のスタジオから商品説明を行います。またこの店舗DXにより、店舗にいる顧客は、接客スタッフと同じ商品を手に取りながら説明を受けることができるのです。
店頭でオンライン接客を体験した顧客からは「非常に役立つ」「商品の具体的なイメージが湧いた」「家でも使ってみたい」などの声があり、高い顧客満足度を達成した店舗DXの導入事例となっています。
店舗DX事例②【金融・保険業界】インタラクティブ動画を取り入れCV率を向上
金融・保険業界の企業では、インタラクティブ動画を取り入れたマーケティングが行われています。
インタラクティブ動画とは、再生の途中で視聴者が触れられる仕掛けを組み込んだ動画のことで、ニーズ調査やアンケートなどに用いられる仕組みです。
自分で選択しながら動画を進めていけるため、視聴回数や視聴時間などのエンゲージメントが高まり、CV率の向上にも効果が出ている画期的な店舗DX事例となっています。
店舗DX事例③【アパレル業界】オンライン接客ツールを用いたコーディネート提案で売上向上
あるアパレルショップでは、ビデオ通話型のオンライン接客ツールを利用したコーディネート提案によって、ECサイトの売上向上に成功しています。
こちらの店舗DX事例では、顧客のニーズに応じた商品紹介の他、手持ちの服をもとにしたコーディネート提案を実施。
1人1人に寄り添った接客を行うことで、クロスセルによる売上向上の効果を実現しました。
店舗DX事例④【スーパー業界】レジに並ばない新しい買い物方法の確立
大手の総合スーパーでは、店舗専用のスマートフォンを貸し出して、顧客自身が商品のバーコード読み取り・会計を行うことができるサービスを展開しています。
レジに並ぶ必要がなくなることで、レジの待ち時間や店舗の滞在時間を削減する効果が期待できるでしょう。
またこの店舗DXの導入事例では、レジ待ちのストレス軽減による顧客満足度の向上効果なども見込まれています。
店舗DX事例⑤【住宅業界】VR空間でのショールーム開催
不動産やインテリア業界では、VRを活用したショールームの開催が広がりを見せています。
VRによるショールームの再現で、自宅にいながらも実際に会場を訪れているような体験を提供でき、結果として高い顧客満足度・成約率を達成したという事例が複数あります。
またこの店舗DX事例では、オンライン接客ツールを組み合わせて現地スタッフとのやり取りを可能にしているケースも多いようです。
店舗DX事例⑥【飲食業界】モバイルオーダーサービスの活用でレジ待ちの時間を短縮
全国展開を行っているコーヒーチェーン店では、2020年末からモバイルオーダーサービスを導入しています。
スマホアプリから事前に注文・決済を済ませておくことで、レジや商品提供の待ち時間削減を実現。
またこちらの店舗DX事例では、事前注文時におけるカスタマイズの利用率が伸び、顧客体験の向上にも繋がっています。
2022年最新!DX推進・課題解決に役立つおすすめツール
ここからは、NECネッツエスアイが提供する店舗DXのためのツール・サービスをご紹介。
前述した導入事例の中にも登場しているツールになるので、店舗DXのやり方や導入にお悩みの企業様はぜひ最後までチェックしてみてください。
オンライン接客ツール【LiveCall】
LiveCallはBtoC利用に特化したビデオ通話型のオンライン接客ツールです。
ITツールの操作に不慣れな方でも使いやすいシンプルなUIと、用途に応じて通話方法を切り替えられる優れた機能性が特徴で、幅広い業界で店舗DXに用いられています。
またブランドロゴやカラーリング設定にも対応しており、企業のブランドイメージに合わせたデザインが可能な点もメリットの1つ。
LiveCallに搭載されている主な機能は以下の通りです。
機能 | 概要 |
---|---|
ビデオ通話・音声通話 | ブラウザからワンクリックで動画接客を開始。音声のみの通話も利用可能です。 |
テキストチャット | 通話と並行してチャットのやり取りを行うことができます。補足情報の送信に有効。 |
録音・録画 | 通話内容の記録が可能です。フィードバックや品質向上に役立ちます。 |
通話前アンケート | 通話開始前に簡易的なアンケートを実施できます。 |
予約カレンダー | スタッフの対応可能枠を示し、予約の受け付けを行います。指名機能なども搭載。 |
カード決済 | クレジットカード決済に対応。通話中の商品購入も可能です。 |
モニタリング | スタッフのログイン状況・通話対応をリアルタイムで確認できます。 |
NECネッツエスアイが提供する接客ツール
「LiveCall」詳細はこちら
顧客動態の可視化サービス【PictLess】
PictLessは特殊なセンサーによって店舗の混雑度や通行量などを取得・分析し、可視化できるサービスです。
設置工事などは不要で、置き場所の変更も簡単に行えるのが特徴。
PictLessでデータを取得することで、効果的な店舗のレイアウトやスタッフの配置方法の検討に役立ちます。
PictLessで取得できるデータの概要は以下の通りです。
混雑度マップ | 店舗レイアウトの映像上に混雑度バブルを表示 |
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混雑度の時間推移 | 時間ごとの混雑度を棒グラフで表示 |
混雑度の日別推移 | 1週間単位の日別での混雑度を棒グラフで表示 |
LINE連動オーダーサービス
LINE連動オーダーサービスは、その名の通り「LINE」を利用したモバイルオーダーのサービスです。
国内での利用者が多いLINEを活用し、チャットボットとのやり取りによるシンプルな操作で商品の注文から決済までを完結させることができます。
事前に注文・決済を済ませておくことで、店舗でのオーダー・会計時間が短縮され、商品受け取りの効率化やコロナ感染対策といった効果が見込めます。
店舗のDX化と成功事例まとめ
この記事のポイントは3つ!
- 店舗DXは、ITツールやデジタル技術の活用で、新しい顧客体験の創出や業務プロセスの改善を目指す取り組みのこと
- すでに小売業界や飲食業界など、様々な業界・企業で店舗DXの成功事例が出てきている
- これから店舗DXをはじめるなら、NECネッツエスアイが提供する接客ツールやオーダーツールの活用がおすすめ
NECネッツエスアイでは、今回ご紹介した3つの店舗DXサービスをまとめた「小売DX」の提供を行っています。
各ツールの導入から運用までの幅広いサポート・支援が可能ですので、店舗DXのやり方でお悩みの企業様はぜひ一度お問い合わせください。