「電話対応は会社の顔」と言われているように、電話の一次対応の印象でお客様の企業イメージが決まると言っても過言ではありません。
電話対応のマナーは新入社員研修で教育が行われていますが、継続的な対応品質向上のためには、社員の理解度や実践でのスキルを定期的にチェックし、改善を行うことが不可欠です。
この記事では、電話対応品質の向上に有効なチェックシートの活用について解説します。
QC7つ道具のひとつ「チェックシート」はどんな書式?
チェックシート(チェックリスト)は、業務の内容や確認事項をリスト化し、チェックを行うための書式のことです。
製造業で品質管理のために使われる「QC7つ道具」の一つでもあり、タスクの進捗や作業の抜け漏れを確認するために使用します。
チェックシートには記録用と点検用の2種類の書式があり、目的に応じて使い分けます。
記録用チェックシートの例
記録用チェックシートは、項目ごとの数量・回数などを記録するためのものです。
例えば、1日に作業を何回行ったかを記録するには、下表のように1回行うごとに線を入れたり、正の字を書いたりしてカウントします。
3/1(水) | 3/2(木) | 3/3(金) | |
---|---|---|---|
電話対応 | //// | /// | //// |
営業電話対応 | / | // | // |
クレーム電話対応 | / |
リスト型点検用チェックシート
リスト型点検用チェックシートは、確認したい項目をリストアップして、達成しているかどうかをyes・no形式でチェックします。
下記の例にあるチェックシートでは、電話対応中に気を付けたい事項をリストアップし、できた項目にチェックを入れていきます。
項目 | チェック |
---|---|
3コール以内に電話に出た | レ |
しっかりと挨拶・名乗りができた | レ |
好感を持たれる声のトーンで話せた | |
話すスピードを相手に合わせることができた | レ |
重要事項を復唱した | レ |
電話対応業務の品質管理におすすめな理由
点検用チェックシートは、あらゆる仕事の進捗や品質の管理に応用できます。
電話対応の場合、取り次ぎ業務の対応手順や、対応時に気をつけることをリスト化して、新人の研修に使ったり、対応品質の定期チェックを行ったりといった使い方ができるでしょう。
電話対応業務の品質管理にチェックシートをおすすめする理由は次の通りです。
仕事の達成項目・未達成項目が可視化される
電話対応は感覚的に行ってしまうことがありますが、チェックシートを使うことで、ひとつひとつの項目を丁寧に見直すことが可能になります。
チェックシートを使って確認すれば、「明るい声で対応できたけど、少し早口だったな」「折り返しの時間を聞かずに電話を切ってしまったな」といったことが可視化され、次の対応に活かすことができるでしょう。
マニュアルとして使える
業務に求められる対応をリスト化したチェックシートは、マニュアルの代わりとしても使えます。
電話中にどのような対応をすべきか迷ったとき、マニュアルをめくって調べることは難しいですが、チェックシートを手元に置いておけば重要なポイントをさっと確認することができます。
Excel・PDFのテンプレートが豊富にある
作成に手間がかからないのも、チェックシートのメリットの一つです。
チェックシートは表形式なので、Excelを使えば簡単に自作することができます。
検索すると、ExcelやPDFの無料テンプレートもたくさん見つかりますので、好みのレイアウトのテンプレートをダウンロードして自分で加工してもかまいません。
ToDoアプリでも使える
タスク管理ツールやアプリでチェックシートを作成することもできます。
アプリの場合は、リストのコピー、項目の追加・削除などの編集がしやすく、スマホやタブレットでも利用できるので、Excelのチェックシートよりも気軽に導入することができるでしょう。
yes・no形式なら、アプリのチェックボックスをタップするだけで回答できるので、チェック作業も苦になりません。
チェックボックスに対応している主なタスク管理ツールを紹介します。
- Microsoft ToDo(https://todo.microsoft.com/tasks/ja-jp/)
- Microsoft Planner(https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/business/task-management-software)
- Trello(https://trello.com/home)
- Stock(https://www.stock-app.info/)
品質管理を行うための教育・研修用「電話対応チェックシート」を作成してみよう
では、実際に電話対応の品質管理を行うためのチェックシートを作成してみましょう。
例えば電話の一次対応業務やコールセンターのオペレーターの場合は、次のようなカテゴリごとに、求められるレベルが達成できているかをチェックします。
- 応答時(電話に出るまでの時間、名乗り)
- 印象(声のトーン、速さ)
- 会話スキル(言葉遣い、コミュニケーション)
- 内容理解(メモ・復唱確認)
- 他者連携(取り次ぎ・報告・不在時対応)
書き方の例
電話対応チェックシートの作成例を紹介します。
一般的なマナーや電話対応の心得のほか、自社オリジナルのルールや決まった言い方がある場合は、確認項目としてリストに追加していきます。
回答欄にチェックボックスを設置してyes・no形式にしても良いですし、段階評価(1~5、A~E)で記入する方式にしても良いでしょう。
項目 | 評価 |
---|---|
3コール以内に電話に出たか | |
第一声に「お電話ありがとうございます」「お待たせいたしました」を入れているか | |
会社名・氏名を名乗っているか | |
明るく聞きやすいトーンで話しているか | |
話すスピードは適切か | |
敬語を正しく使っているか | |
適度なタイミングで相槌を打てているか | |
お客様の話を遮っていないか | |
クッション言葉(「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」等)を使っているか | |
電話対応に必要な業務知識は身に付いているか | |
社内用語や専門用語を使っていないか | |
内容をメモしているか | |
確認・復唱を行っているか | |
保留は30秒を超えていないか | |
何度も保留をしていないか | |
転送の際に、担当者に用件を的確に伝えられているか | |
担当者がわからない場合に、自分で調べて取り次ぐことができるか | |
担当者が不在の場合に、伝言を聞いて正確に伝えられているか | |
最後まで責任を持って対応できているか | |
かけてきた相手より先に電話を切っていないか |
記事まとめ
電話対応品質を向上させるには、対応者の理解度・習熟度の定期的なチェックとフィードバックが有効です。
yes・no形式や段階評価で回答できるチェックシートを利用し、良い点や改善点を情報共有して、今後の対応に活かしましょう。