最近、ビジネス向けサービスやソフトウェアのライセンスでは、サブスクリプションモデルが主流になりつつあります。
クラウドストレージに関しても同様で、多くのサービスがサブスクリプションで提供されています。
しかし一方で、「サブスクには抵抗がある」「購入後に追加費用が発生しない買い切り型がいい」という考えの方も少なくありません。
本記事では、買い切り型とサブスク型それぞれのメリット・デメリットを比較し、ビジネス利用を想定した場合のおすすめクラウドストレージサービスをご紹介します。
買い切り型・サブスク型のメリット・デメリットを比較
まずは、買い切り型・サブスク型それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
買い切り型
買い切り型とは、一度支払いを行うことで永続的な利用権を獲得できる商品やサービスのことです。
基本的に購入時に全額を支払い、追加の継続料金やサブスクリプション料金は発生しません。
ソフトウェアやライセンスなどでよく見られ、一度の支出で長期間の使用が保証される点が大きな特徴です。
メリット
- 一度購入すれば追加料金なしでサービスを利用し続けられる
- 追加料金や価格変更の影響を受けないため、予算管理が容易
- 長期間使用する場合のコストパフォーマンスが高い
デメリット
- 初期投資が高額になりやすい
- サービスや機能のアップデートが限定的
- 新しい技術やセキュリティ対策に追随するためには、再度買い切りで新しいプランを購入しなければならない
サブスク型
サブスク型とは、定期的な課金でサービスや商品を利用できる方式です。
月額や年額など、定められた期間ごとに料金を支払うことで、継続して利用することが可能になります。
このモデルは、音楽配信サービスや動画ストリーミング、クラウドストレージなど様々なデジタルサービスで採用されています。
メリット
- 初期投資が不要
- 使いたい期間だけ利用できる
- プランの見直しやサービスの変更が容易
- 最新の機能や更新が提供される
デメリット
- 継続的に課金が発生するため、長期的に見た場合は費用がかさむ
- 料金プランの変更やサービス内容の改定により、コスト増加・機能の削減などの影響を受ける
- プロバイダーの倒産や事業方針の変更によって、サービスが中断するリスクがある
ビジネス向けクラウドストレージは買い切りよりサブスク型が優勢
ソフトウェアライセンスにおいては、追加費用なしで長期的に利用できる買い切り型も根強い人気を誇っています。
しかし、クラウドストレージに関しては、買い切り型よりもサブスク型を利用している企業が圧倒的に多いのが現状です。
この章では、ビジネス利用を想定したクラウドストレージ選びにおけるサブスク型の優位性と、その背景にある理由を解説していきます。
①サービス・プランの選択肢が豊富
企業において買い切り型ではなくサブスク型のクラウドストレージが選ばれている最大の理由は、ほとんどのビジネス向けクラウドストレージがサブスクリプションで提供されているからです。
買い切り型のクラウドストレージとしては以下の製品が挙げられますが、いずれもビジネス向けの買い切りプランは提供されていません。
- pCloud:個人用プランで生涯有効の買い切り型を提供。業務用プランは月契約または年契約のサブスクリプションのみ。
- icedrive:一括払いで5年間有効の買い切り型プランを提供(個人向け)。法人・ビジネス向けの機能はない。
一方、ビジネス向けのサブスク型クラウドストレージは多くのプロバイダーから提供されています。
さらに、各サービスにおいてはビジネスの規模やストレージ容量、必要な機能に合わせたさまざまなプランが設定されています。
豊富な選択肢の中から自社に適したサービスを選択しやすいというのも、サブスク型クラウドストレージが普及している理由のひとつです。
②セキュリティ重視のプランがある
企業データの保存・管理・共有において、セキュリティは最重要事項です。
ビジネス向けのサブスク型クラウドストレージには、高度なセキュリティ機能を利用できるプランが用意されています。
サブスク型サービスであれば、セキュリティが常に最新の状態に保たれますので、データ漏えいやハッキングのリスクを最小限に抑えることができるのです。
③初期コストを抑えられる
特にスタートアップや小規模ビジネスにとって、初期投資は大きな負担です。
サブスク型クラウドストレージなら、月払い・年払いなど定期的に課金が発生しますので、初期コストを抑えつつ必要なサービスを早期に利用開始することができます。
また、ユーザー数やデータ量の増加に合わせて上位のプランにアップグレードしていくことが可能ですので、最初は少額のプランで始め、資金を他の重要な事業展開に回すことが可能になります。
④プラン変更・解約など柔軟な対応が可能
ビジネスの規模が変わったり、プロジェクトが一段落したりした場合に、クラウドストレージサービスに求める要件が変化することがあります。
例えば、プロジェクト中だけメンバーが増加したり、大容量のデータ保存が必要になったり、特定の期間だけ追加のセキュリティ機能が必要になったりすることもありますね。
サブスク型では、このような変化に合わせてプラン変更やライセンス数の増減など柔軟な対応ができるため、無駄なコストを削減できます。
おすすめのサブスク型クラウドストレージ3選
サブスク型のクラウドストレージサービスは非常に多くの選択肢があり、どれを選べばよいか迷ってしまうかもしれません。
この章では、ビジネスレベルのセキュリティと使い勝手の良さを兼ね備えた3つの製品を紹介します。
初めてクラウドストレージを導入する場合や、製品選びにお困りの場合は、この3つの中から選んでおくのが確実です。
Box
Boxは、ビジネス利用に最もおすすめできるクラウドストレージサービスです。
法人向けの「Business」以上のプランでは、なんとストレージ容量が無制限。
空き容量を気にせずデータを保存できますので、ファイルサーバーに代わるメインのデータ保管方法としての活用が可能です。
また、企業にとってBoxの提供する高度なセキュリティ対策(暗号化、多要素認証、アクセス権限の細かい設定など)は大きな魅力。
外部との安全なファイル共有・共同作業機能も充実しており、社内外のコラボレーションをスムーズに進めることが可能です。
さらにBoxは、1,500以上の業務アプリと連携することが可能。日常業務を1つのプラットフォームに集約し、生産性向上を図れるというメリットもあります。
Business | Business Plus | Enterprise | |
---|---|---|---|
公式価格(1ユーザー/月・税込)※ | 1,881円 | 3,135円 | 4,620円 |
ストレージ容量 | 上限なし | 上限なし | 上限なし |
ファイルのアップロード容量上限 | 5GB | 15GB | 50GB |
アプリ統合 | 1 | 10 | 上限なし |
バージョン履歴 | 50 | 50 | 100 |
ユーザー数 | 3人~上限なし | 3人~上限なし | 3人~上限なし |
外部ユーザーとの共同作業 | 有料 | 無料・上限なし | 無料・上限なし |
SSL、保存データ暗号化、二要素認証、シングルサインオン、データ損失防止 | 〇 | 〇 | 〇 |
高度な管理、コンテンツ可視化、ユーザーアクティビティの完全追跡 | – | 〇 | 〇 |
高度なモバイル保護、パスワードポリシー、電子透かし | – | – | 〇 |
Dropbox Business
Dropboxは、個人・ビジネスともに高い評価を得るクラウドストレージサービスです。
パソコンからエクスプローラーで操作できるデスクトップアプリの使いやすさが高い評価を得ています。
このデスクトップアプリはオフラインアクセスや自動同期機能も備えており、作業効率の大幅な向上が期待できます。
さらに、強力なファイル復元機能やバージョン履歴機能も欠かせないポイント。
ビジネス向けプランは、チームでのファイル共有、プロジェクト管理機能を強化したDropbox Businessが提供されています。
Business | Business Plus | |
---|---|---|
対象 | 小規模チーム | 大規模チーム |
公式価格(ユーザー/月) | 1,500円 | 2,400円 |
ユーザー数 | 3人以上 | 3人以上 |
ストレージ容量 | チーム全体で9TB~ | チーム全体で15TB~ |
ファイル転送 | 100GBまで | 250GBまで |
ファイルの復元 | 削除から180日以内 | 削除から1年以内 |
権限 | 管理者の設定 | 管理者役割の階層化の設定 |
セキュリティ | コンテンツの把握 | 不審なアクティビティの通知・コンプライアンスのトラッキング |
Google Drive(Google Workspace)
Google Driveは、Googleが提供するグループウェア「Google Workspace」の一部として提供されるクラウドストレージです。
ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションといったGoogleのオフィスツールとの高い連携性が特徴。
Googleのツールはプライベートでの利用者も多く、馴染みのあるインターフェースでチームメンバー間でのファイル共有やリアルタイムでの文書共同編集を手軽に行うことができます。
Googleの強力なインフラを背景にした信頼性とセキュリティも、ビジネス利用において重要な要素です。
Business Starter | Business Standard | Business Plus | Enterprise | |
---|---|---|---|---|
公式価格(ユーザー/月) | 680円 | 1,360円 | 2,040円 | 要問い合わせ |
ユーザー数 | 300人まで | 300人まで | 300人まで | 無制限 |
ストレージ容量(1ユーザーあたり) | 30GB | 2TB | 5TB | 5TB(追加リクエスト可能) |
チーム共有ドライブ | – | 〇 | 〇 | 〇 |
二段階認証 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
グループベースのポリシー管理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
高度な保護機能 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
エンドポイント管理 | 基本 | 基本 | 詳細 | 大規模ビジネス |
Vault – データの保持、アーカイブ、検索 | – | – | 〇 | 〇 |
セキュア LDAP | – | – | 〇 | 〇 |
データ損失防止(DLP) | – | – | – | 〇 |
記事まとめ・製品やプランのご相談は正規販売店へ
この記事では、買い切り型とサブスク型の違いや、ビジネスにおすすめのクラウドストレージサービスを紹介しました。
- ビジネス向けのクラウドストレージサービスで買い切り型はほとんど存在しない
- サブスク型のクラウドストレージサービスは、機能やセキュリティが最新版にアップデートされる
- クラウドストレージを初めて導入する企業や小規模事業者では、初期コストを抑えられるサブスク型ならスモールスタートが可能
- サブスク型は、ビジネスの変化に合わせて柔軟に契約プランの見直しができる
クラウドストレージに関しては、買い切り型にこだわらずサブスク型サービスを選択すれば、豊富な商品・プランの中から自社に最適なクラウドストレージを選ぶことができます。
「選択肢が多すぎて選べない」「自社に必要な機能やスペックがわからない」
このような場合は、ぜひ正規販売店にご相談ください。
本記事を監修しているNECネッツエスアイは、ビジネスで世界トップシェアを誇る「Box」の正規販売店です。
プランのご提案のほか、導入・運用をサポートするソリューションもご用意し、御社のBox導入を支援いたします。
クラウドストレージ導入をご検討の企業様は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。