NTTが提供するISDN回線サービス「INSネット(ディジタル通信モード)」が2024年1月に終了しました。
※ただし延命策として2028年12月31日まで「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」は提供されています。
https://web116.jp/2024ikou/business.html
ISDN回線サービスが終了する背景には、より通信速度の速いサービス(光回線等)の登場や関連設備の老朽化等があり、今後は異なるサービスへの切り替えが必要です。
この記事では、ISDN回線の仕組みと通信速度、またサービス終了に伴う影響等を解説していきます。
ISDN回線に代わるおすすめのサービスも紹介しているので、現在もISDN回線を利用しているという企業様はぜひ参考にしてみてください。
ISDN回線の仕組みと通信速度
まずは、ISDN回線の仕組みとメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
ISDN回線とは?
「ISDN(Integrated Services Digital Network)」は、NTTが提供するアナログ回線を利用したデジタル通信網のことで、一般的に「サービス総合デジタル網」と表記されます。
通常の電話線を使ってデジタル回線を構築し、デジタルデータに変換した音声を送受信するというのがISDN回線の基本的な仕組みです。
またISDN回線には1つの電話番号で2つの回線を使用できるという特長があり、音声通話・FAXとインターネットの同時利用が可能になるとして、個人・法人ともに広く利用されてきました。
通信品質の高さが主なメリット
ISDN回線は音声をデジタルデータに変換して送受信する仕組みのため、従来のアナログ回線と比較して通話品質が高いという点が主なメリットです。
また通信の安定性にも優れており、会話中のノイズや音飛びが起こりにくいことから、特にビジネス向けの電話回線として広く普及した背景があります。
通信速度が遅いといったデメリットも
ISDN回線は通信品質が高いというメリットがある一方で、インターネット接続時の通信速度が遅いというデメリットも存在します。
現在主流となっている光回線の最大速度が1~10Gbpsであるのに対し、ISDN回線の速度はわずか64kbps程度しか出ません。
そのため、現在は企業間でのデータ通信を目的として契約しているケースがほとんどであり、インターネット接続のためにISDN回線を契約しているケースは稀だと言えるでしょう。
一部のサービスは2024年1月で終了に
NTTが提供するISDN回線サービスには、電話・FAXを利用できる「通話モード」とデータ通信を利用できる「ディジタル通信モード」の2種類があり、この内「ディジタル通信モード」については2024年1月でのサービスは終了しています。
続いて、ISDN回線のサービスが終了する背景と、サービス終了に伴う企業への影響について詳しく見ていきましょう。
サービス終了の背景
ISDN回線サービスが終了する理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 公衆交換電話網(PSTN)によるデータ中継・信号交換機の機能維持が2025年頃に限界を迎える等、関連設備の老朽化が進んでいる
- 光回線等のより通信速度の速いサービスが主流となり、Webサイトも100Mbps以上の通信速度が出ることを前提に作られるようになった
- スマートフォンの普及によって固定電話の使用率が低下し、ISDN回線の契約自体が減少している
現在はデータ中継・信号交換機のIP化が進められており、ISDN回線よりも低コストでの運用が可能になる見通しです。
サービス終了に伴う企業への影響
ISDN回線のサービス終了に伴う企業への影響と、今後必要な対策は以下の通りです。
- クレジットカード決済や警備システムの改修に多大な労力・コストがかかる
- POS(販売時点情報管理)やEDI(電子データ交換)を用いた端末の切り替えが必要になる
- ISDN回線と同時に終了するNTTの各種サービスの代替も検討しなければならない
ISDN回線はインターネットを経由しない通信が可能であることから、現在も多くの企業がデータ伝送やバックアップ回線として活用しています。
万が一システムの切り替えが間に合わなければ、企業の信頼や事業存続に関わる大きな問題へ発展する可能性もあるため、早急な移行対応が必要だと言えるでしょう。
なおNTTでは、2024年1月のサービス終了までに対応が間に合わない企業を対象として、「メタルIP電話のデータ通信」による補完策を2028年12月31日までは提供すると発表しています。
ただしこちらはあくまでも一時的な対応策であるため、現在のISDN回線サービスと比較して通信速度が遅くなったり、処理時間が増加したりする可能性が高いという点に注意が必要です。
おすすめの切り替え先は?
ここからは、ISDN回線に代わるおすすめのサービスを紹介していきます。
通信速度の速い“光回線”が主流
ISDN回線の代替サービスとして多くの企業で選ばれているのが、通信速度の速い「光回線」です。
光回線は最大通信速度が1~10Gbpsと非常に速く、天候や立地条件に関わらない安定した通信を実現できます。
なおISDN回線から光回線に切り替える際は工事が必要となるケースがあります。
サービスが終了するタイミングは工事の依頼が増えやすく、思うようにスケジュールを調整できない可能性も少なくありません。
工事が間に合わなくてインターネットを利用できない期間が生じるといったことがないよう、早急に切り替えの手続きを進める必要があるでしょう。
光回線を敷設できない場合は“モバイル回線”もおすすめ
エリアや立地の事情で光回線を敷設できない場合は、モバイル回線に切り替える方法がおすすめです。
モバイル回線の主なメリット・強みとしては以下のような点が挙げられます。
- 光回線ではオーバースペックとなるシステム(例:コインパーキングの管理等)に利用することでコスト削減を実現できる
- POSやCCT端末用のネットワークはすでにモバイルへの切り替えが進んでおり、先進事例に基づく比較的スムーズなマイグレーションが可能
- 光回線を敷設できないケースだけでなく、バックアップ回線の代替等の様々な用途で利用を検討できる
NECネッツエスアイが提供する【ネッツワイヤレス】とは
モバイル回線を導入するなら、NECネッツエスアイが提供する「ネッツワイヤレス」の利用がおすすめです。
ネッツワイヤレスは、インターネットを経由せずにデータ通信を行うことができる法人向けのモバイル回線です。
ドコモ回線を使用したサービスとなっており、IoTやM2M用途としてセンサー・機器等のデータを取得したり、ISDN回線からの置き換え・代替回線として活用したりすることができます。
ネッツワイヤレスの主な特長は以下の通りです。
- 完全閉域網での利用が可能なため、社内LANと同じ感覚で安全かつ高品質なデータ送受信を行える
- 法人利用に適したトラフィック設計により、安定した通信速度を確保できる
- 法人向けに特化したプランやネットワーク構成案を多数展開しており、用途別に最適なプランを契約できる
NECネッツエスアイなら、60年にわたって培われてきたシステムインテグレーターとしてのノウハウを活かした柔軟な接続構成の提案が可能です。
小規模構成から中・大規模構成へのマイグレーションも可能ですので、ISDN回線の代替サービスをお探しの企業様はぜひ一度ご相談ください。
ISDN回線の通信速度と切り替え先の選び方まとめ
- ISDN回線は通信品質が高い一方、光回線等と比較して通信速度が劣るといったデメリットがある
- ISDN回線の一部サービスは2024年1月で終了しており、補完策においても2028年12月でサービス終了となるため、代替サービスへの切り替えが必要となる
- 光回線を敷設できないといったケースでは、「ネッツワイヤレス」等のモバイル回線を導入するのがおすすめ
NECネッツエスアイが提供する「ネッツワイヤレス」は、完全閉域網で利用することができるセキュリティの高いモバイル回線です。
ビジネス利用に適した通信品質・通信速度の確保が可能ですので、ISDN回線の代替サービスをお探しの企業様はぜひ一度NECネッツエスアイまでご相談ください。