クラウドPBXは、インターネット回線を利用してスマホやパソコンを内線電話のように使うことができる技術です。
どこにいても会社の電話を受けることができ、離れた場所にいる社員と内線で通話したり、受けた電話を転送したりできるクラウドPBXは、「会社電話」の概念を変える画期的なシステム。
しかし、クラウドPBXではFAXが使えないという噂もあります。
本記事では、クラウドPBXでFAXを使うための方法を解説していきます。
クラウドPBX導入後もFAXを使いたい企業の担当者様は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
クラウドPBXではFAXを利用できないって本当?
「クラウドPBXにするとFAX送受信ができなくなる」というのは半分は本当で、従来の設備によるFAX送受信はできなくなる場合があります。
しかし実際には、クラウドPBX環境でFAXを利用している企業も多くあります。
これは、いったいどういうことなのでしょうか。
複合機のFAX機能は利用できなくなる
企業では、複合機の機能を使ってFAXを送受信している場合が多いですね。
複合機のFAX機能は電話回線(アナログ回線)を利用していますので、クラウドPBXへの移行により直接は使用できなくなります。
これは、クラウドPBXがインターネット回線を使用して電話サービスを提供するため、従来のアナログ電話線に依存した機器はそのままでは対応できないからです。
クラウドPBXでもFAXを使う方法はある
しかし、これには解決策が存在します。
確かにこれまでの機器構成のままクラウドPBXに完全移行すればFAXを使うことはできなくなりますが、クラウドPBX環境下でも少々工夫すればFAXを送受信することができるのです。
もしもFAXが問題でクラウドPBXの導入に二の足を踏んでいるようでしたら、次の章で紹介する方法を検討してみてください。
クラウドPBXでFAXを利用する方法
クラウドPBX環境でFAXを利用する方法を4つ紹介します。
追加コストが発生するものもありますので、自社のニーズや予算を考慮し、最適な方法を選んでください。
FAX用にアナログ回線を残しておく
一つの選択肢として、従来のアナログ回線を残すという方法があります。
つまり、オフィスの回線すべてをクラウドPBXに切り替えるのではなく、FAX専用にアナログ回線を1本残しておくのです。
この方法であれば、電話システムでクラウドPBXを利用しつつ、従来のFAX番号や機器をそのまま使用することができます。
元からある回線を使うだけなので、非常にシンプルなのがメリットです。
アナログ変換アダプタを使う
アナログ変換アダプタを使用して、複合機のFAX機能をクラウドPBXシステムに統合する方法もあります。
この変換アダプタは、アナログ信号をデジタル信号に変換し、クラウドPBXシステムで扱える形にします。
周辺機器をひとつ追加するだけで既存のFAX番号や機器を利用継続することができるため、多くの企業で採用されている方法でもあります。
転送サービスを利用する
番号を保持しながらクラウドPBXを利用するためには、転送サービスを利用する方法もあります。
クラウドPBX導入時に新規で取得したFAX番号で複合機に接続しておき、既存のFAX番号から転送をかけるのです。
これにより、FAX番号はそのまま新しいFAX番号でFAXを受信できるようになりますが、転送のたびに通信料がかかる点に注意が必要です。
インターネットFAXを使う
インターネットFAXとは、ネット回線でFAXの機能を利用できるサービスです。
送受信にはメールを使いますが、やり取りはあくまでFAXで行われるため、相手の環境が従来型のFAXである場合は紙で出力されます。
また、相手が複合機などから紙のFAXを送った場合も、こちらにはメールで届きます。
相手側の使い勝手を変えることなくFAXをクラウド化することができるため、FAXでやり取りする取引先が多い場合にも相手に負担をかけません。
インターネットFAXのメリット・デメリット
メールで送受信ができるインターネットFAXは、オフィスに縛られる働き方から柔軟に勤務地を変えられる働き方へのシフトを促すもので、クラウドPBXと非常に相性の良いものであると言えます。
一方、インターネットFAXはこれまで使用してきたFAX機器や紙ベースの管理とは異なる使い方を求められるため、慣れるまでは時間がかかることもあります。
インターネットFAXのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
メリット
インターネットFAXには、クラウドサービスならではのメリットが多くあります。
コスト削減
インターネットFAXでは、 従来のFAX機と回線を必要としません。
また、印刷時にかかる紙代・トナー代・カウンター料金が発生しなくなりますので、コストを大幅に削減できます。
どこからでもアクセス可能
インターネットとパソコンやスマホがあればどこにいてもFAXの送受信が可能になり、業務の柔軟性が向上します。
FAX管理が容易になる
FAXをデータとして保存できるため、管理や検索が容易です。
紙のFAXように保管場所が必要なく、ファイリングにかけていた工数も削減できます。
環境に優しい
紙を使用しないため、エコフレンドリーなオフィス環境を実現できます。
デメリット
紙のFAXとは異なるインターネットFAXのデメリットには、次のようなものが挙げられます。
通信環境の影響を受ける
インターネット回線は、電話回線に比べ通信が不安定になりやすい点に注意が必要です。
通信環境が安定しない場合は、FAXの送受信に時間がかかったり、送信が失敗することもあります。
届いたことに気づきにくい
複合機では紙が出力されるため受信FAXに気づくことができますが、メールの場合は埋もれたり、見落としたりする懸念があります。
手書き原稿の送信には手間がかかる
手書きの原稿をFAX送信する場合には、スキャンしたり写真で撮影するなどしてデータ化しなければなりません。
また、受け取ったFAXに書き込みや押印をして送り返す場合には、一度印刷して記入し、再度スキャンするといった手間が加わります。
記事まとめ
クラウドPBX環境でも、従来通りFAXを利用することは可能です。
クラウドPBXの高いアクセシビリティやモビリティを活かすならば、どこにいてもインターネット経由でFAXのやり取りができるインターネットFAXの導入は有力な選択肢ともいえます。
インターネットFAXはサービスにより機能や料金が異なりますので、自社のニーズに合わせた最適なサービスを選ぶことが導入成功のカギです。