自治体の情報システム・業務プロセスの標準化に向けた取り組み

自治体情報システムが抱える課題と、標準化によって期待できるメリットとは

自治体の情報システム・業務プロセスの標準化に向けた取り組み
注意事項
・本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としているため、弊社が関与していない取組みを含みます。
・記事内に使用されている写真・画像はイメージです。実際のプロダクトやサービスで提供される内容とは異なる場合があります。
・本ブログの内容については、記事掲載時点での情報に基づく記載となります。そのため製品に関する内容については、バージョンアップなどにより画像や操作手順等が現行のものと異なる場合がございます。

システム運用コストの削減や業務効率化を図る目的で、自治体のシステム標準化・共通化が進められています。

この記事では、自治体情報システムの現状と、標準化・共通化で得られるメリットを解説。

地方公共団体における標準準拠システムの導入は法律でも義務化されることとなっているので、早い段階から標準化を想定した事業計画を立てていくようにしましょう。

自治体情報システムの標準化・共通化とは?

自治体情報システムの標準化・共通化とは?

まずは、現状の自治体情報システムが抱える課題と、標準化・共通化による成果イメージについて詳しく見ていきましょう。

またシステム標準化に関する法律の概要なども簡単に解説していきます。

自治体システムの現状とこれまでの取組

地方公共団体が基本的な事務を処理するための情報システム(基幹系情報システム)は、その処理の大半が法令で定められています。

しかし、地方公共団体が利便性などの観点から個別に機能のカスタマイズを行っているために、現在の自治体情報システムには以下のような課題が生じてしまっているのです。

  • 維持管理や制度改正時に改修において、地方公共団体は個別対応を余儀なくされ、負担が大きくなっている
  • 情報システムの差異の調整が負担となり、クラウド導入による共同化が円滑に進んでいない
  • 住民サービスを向上させるための取り組みを、迅速に全国へ普及させることが難しい など

こうした課題を解決するために、国主導での自治体情報システム標準化・共通化が推進されることとなりました。

2025年度末の統一実現に向けたイメージ

自治体情報システムの標準化・共通化については、2025年度末までの実現が目標となっています。

すでに標準化のための仕様書・要件や手順書などが総務省から公表されており、ベンダーでの標準準拠システムの開発も着々と進められています。

自治体情報システムの標準化・共通化で期待できる成果のイメージは以下の通りです。

  • 人的・財政的・システム的な負担を軽減できる
  • 自治体職員が住民サービスの提供や地域の実情を踏まえた企画立案業務などに注力できる
  • オンライン申請などを全国に普及させるためのデジタル基盤が構築される など

システム標準化に関する法律の概要

自治体情報システムの標準化に合わせて、「地⽅公共団体情報システムの標準化に関する法律」が成立。

法案の概要は以下の通りです。(一部抜粋)

①情報システム標準化の対象範囲 各地⽅公共団体における事務の処理の内容の共通性、住⺠の利便性の向上及び地⽅公共団体の⾏政運営の効率化の観点から、標準化の対象となる事務を政令で特定(児童⼿当、住⺠基本台帳、選挙⼈名簿管理、固定資産税、個⼈住⺠税、法⼈住⺠税、軽⾃動⾞税、就学、国⺠健康保険、国⺠年⾦、障害者福祉、後期⾼齢者医療、介護保険、⽣活保護、健康管理、児童扶養⼿当、⼦ども・⼦育て⽀援の17業務)
②国による基本方針の作成 政府は、地⽅公共団体の情報システムの標準化の推進について、基本⽅針を作成/内閣総理⼤⾂、総務⼤⾂及び所管⼤⾂が、関係⾏政機関の⻑に協議、知事会・市⻑会・町村会等から意⾒聴取の上、⽅針案を作成
③情報システムの基準の策定 所管⼤⾂は、①の事務の処理に利⽤する情報システムの標準化のための基準(省令)を策定/内閣総理⼤⾂及び総務⼤⾂は、データ連携、サイバーセキュリティ、クラウド利⽤等各情報システムに共通の事項の基準(省令)を策定/策定時に地⽅公共団体等の意⾒反映のための措置を実施
④基準に適合した情報システムの利⽤ 地⽅公共団体が①の事務の処理に利⽤する情報システムは、③の省令で定める期間内に基準に適合することが必要/①の事務と⼀体的に処理することが効率的である場合に、基準に適合する情報システムの機能等について、①の事務以外の事務を処理するために必要な最⼩限度の追加等が可能

引用元:自治体情報システムの標準化・共通化

自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書

自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書

続いて、総務省から出されている「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」の概要をご紹介します。

手順書の特徴・作業手順

「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」は、標準準拠システムへの移行を円滑に行うために、各自治体で共通して想定される作業手順書がまとめられたものです。

自治体情報システムの標準化のゴールは、“関係府省において作成された標準仕様書に基づいて各ベンダーが標準準拠システムをガバメントクラウド(全国規模のクラウド基盤)に構築し、当該システムを各自治体が利用する”状態です。

2025年度末までに上記の目標を達成するために、総務省では以下のような作業手順を公表しています。

計画立案フェーズ ①推進体制の⽴ち上げ、②現⾏システムの概要調査、③標準仕様との⽐較分析、④移⾏計画作成
システム選定フェーズ ⑤ベンダーに対する情報提供依頼(RFI)資料の作成、⑥RFIの実施、⑦RFI結果分析及び移⾏計画の詳細化、⑧予算要求、⑨ベンダーへ提案依頼(RFP)⑩ベンダー選定・決定、⑪契約・詳細スケジュールの確定、⑫特定個⼈情報保護評価(PIA)
移行フェーズ ⑬システム移⾏時の設定、⑭データ移⾏、⑮テスト・研修、⑯次期情報システム環境構築・NW、⑰条例・規則等改正

参考:自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書

ガバメントクラウドの活用方法

ガバメントクラウド(Gov-Cloud)とは、政府共通の情報システム基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS・PaaS・SaaS)を利用できる環境のことです。

要件に沿って開発された標準準拠システムは、このガバメントクラウド上に構築されることとなっています。

ガバメントクラウドを活用することで、自治体側はコスト削減や業務効率化、セキュリティ対策の水準引き上げといったメリットの享受が期待されます。

まとめ

まとめ

自治体情報システムの標準化・共通化に関する具体的なスケジュールもすでに発表されており、2025年度末の統一実現に向けた準備は着々と進んでいます。

2025年が近づいてから慌てて標準化に対応するということがないよう、システムの更新時期などを踏まえながら、早い段階での移行計画・準備を行うことが大切です。

【関連記事】合わせて読みたい

※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。

symphonict

SymphonictとはNECネッツエスアイが提供する、「共創でお客様のビジネスに新たな価値を提供する」をコンセプトに先端技術やサービスを繋ぎ・束ねることでIT・デジタル変革技術やツール・システムを皆様にお届けするデジタルトランスフォーメーション(DX)サービス。→Symphonictに関してはこちら

※免責事項

本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としており、法律的、税務的その他の具体的なアドバイスをするものではありません。個別具体的事案については、必ず弁護士、税理士等の専門家にご相談ください。

本コンテンツの情報は、その情報またはリンク先の情報の正確性、有効性、安全性、合目的性等を
補償したものではありません。

また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

閉じる