Microsoft 365の法人向けライセンスの中で、最も多くの機能・サービスを含むパッケージが「Microsoft 365 E5」です。
本記事では、Microsoft 365 E5ライセンスの内容や他のプランとの違い・独自の機能について詳細に解説します。
Contents
Microsoft 365 E5の概要
まずは、Microsoft 365 E5ライセンスの基本情報を確認しておきましょう。
| Microsoft 365 E5 | |
|---|---|
| ユーザー数上限 | なし |
| 公式価格 （1ユーザー/月、年契約の場合の料金） |
7,130円 |
| 公式価格 （1ユーザー/月、月契約の場合の料金） |
9,980円 |
| NECネッツエスアイ価格 | 要お見積もり |
| Officeアプリ | デスクトップアプリ・Webアプリ・モバイルアプリ |
| インストール可能台数 | パソコン5台、タブレット5台、スマートフォン5台 |
| 同時利用台数 | 5台 |
| クラウドストレージ | OneDrive for Business |
| 社内情報共有 | SharePoint Online |
| メールサービス | Exchange Online |
| チャット・Web会議 | Teams |
| 電話・電話会議 | Teams電話 |
| データ分析 | Power BI Pro |
| セキュリティ | エンドポイント保護、ID保護、情報保護、デバイス管理 |
| コンプライアンス対策 | データ資産ガバナンス、内部リスク対策 |
Microsoft 365 E5は、Microsoft 365の大企業向けプラン「Enterprise」最上位のプランです。
Officeアプリ、クラウドサービス、コミュニケーションツールなどMicrosoft 365の標準機能を網羅し、さらに電話・データ分析・セキュリティ・コンプライアンス対策などの機能も付いた包括的なパッケージとなっています。
特にセキュリティやコンプライアンスに関しては、Microsoft製品に限らず企業が保有するオンプレミスデータや私物デバイスまでもカバーされていますので、大規模な企業やセキュリティを重視する組織の高度な要求にも応えることができるプラン内容と言えるでしょう。
Microsoft 365 E3との違いは？E5独自の機能を紹介
Microsoft 365 E5は、大企業向けプランの中で最もセキュリティを重視したプランです。
同じく大企業向けの「Microsoft 365 E3」と比較した場合のプラン内容をまとめると、セキュリティ関連の機能に上位のプランが適用されているのがわかります。
| Microsoft 365 E5 | Microsoft 365 E3 | |
|---|---|---|
| 対象 | 大企業 | 大企業 |
| ユーザー数上限 | なし | なし |
| 公式価格 （1ユーザー/月、年払いの場合の料金） |
7,130円 | 4,500円 |
| NECネッツエスアイ価格 | 要お見積もり | 要お見積もり |
| Officeアプリ | 〇 | 〇 |
| OneDrive for Business （個人用クラウドストレージ） |
5TB（※） | 5TB（※） |
| SharePoint Online （社内情報共有） |
1TB＋10GB×ユーザー数 | 1TB＋10GB×ユーザー数 |
| Exchange Online （メールサービス） |
100GB | 100GB |
| Teams （社内コラボレーションツール） |
〇 | 〇 |
| Microsoft Defender for Endpoint （エンドポイント保護） |
Plan2 | Plan1 |
| Microsoft Entra ID Premium （ID管理・保護） |
Plan2 | Plan1 |
| Intune （デバイス・アプリ管理） |
〇 | 〇 |
| Azure Information Protection Premium （情報保護） |
Plan2 | Plan1 |
ここからは、Microsoft 365 E5でアップグレードされている機能・Microsoft 365 E5のみ利用できる機能を解説していきます。
Enterprise Mobility + Security（EMS）
Enterprise Mobility + Security（EMS）は、クラウドベースでIDやデバイスの管理、情報漏えい対策を行うサービスです。
EMSはMicrosoft 365 E3にも含まれていますが、E5ライセンスではID管理・情報保護サービスが上位プラン（Plan2）にアップグレードされ、全ての機能を利用することができます。
Microsoft Entra ID Premium Plan2（ID管理） 旧：Azure Active Directory Premium Plan2
Microsoft Entra IDは、クラウド型のID管理サービスです。
Microsoft 365 E5に含まれる「Plan2」では、多要素認証やパスワード保護、レポート出力などに加えて、次のようなより高度な機能も解放されています。
- リスクベースの条件付きアクセス
- デバイス・アプリケーションのフィルター
- トークンの保護
Azure Information Protection Premium Plan2（情報の保護）
企業の情報漏えい対策として、膨大なデータを自動的に分類・ラベリングしたり、閲覧やコピーなどの操作を制御したりすることができます。
Plan1では流出後のデータ無効化は手動で行う必要がありましたが、Microsoft 365 E5に含まれる「Plan2」では、データの分類から流出後のアクションまでを一貫して自動で行うことが可能となっています。
高度なセキュリティ機能
Microsoft 365 E5では、デバイスやネットワークをさまざまな脅威から保護する機能も強化されています。
Microsoft Defender XDR（旧：Microsoft 365 Defender）
企業全体のセキュリティを監視・管理するサービスです。
エンドポイント・クラウド・アプリ等すべての場所における監視・保護情報を集約するセンターとして機能します。
Microsoft 365 Defender for Endpoint Plan2
パソコン・モバイルデバイス・サーバーなど、ネットワークに接続されているデバイスを監視するサービスです。
「Plan1」のマルウェア対策など基本的な機能に加え、「Plan2」ではエンドポイントでの検出・対応、自動調査、サイバー攻撃の分析や脆弱性の管理などより高度な監視と保護が可能となっています。
Microsoft Defender for Identity
組織が所有するID全体を監視し、標的型サイバー攻撃から保護するサービスです。
クラウドベースのサービスですが、センサーを追加インストールすることで、オンプレミスのIDも監視対象に含めることができます。
Microsoft Defender for Cloud Apps
従業員が使用するクラウドアプリ（SaaS）の監視・保護を行うサービスです。
アプリを監視対象とすることにより、シャドウIT（組織の管理者が把握していないIT機器）の検出や、データコピーなどの操作の制御を行うことができます。
コンプライアンス機能
社内の機密データを適切に管理し、情報漏えい対策を行うサービス群です。
Microsoft Purview 情報保護
機密データの検出・分類・保護を行う機能です。
オンプレミス・ファイル共有・クラウド・エンドポイント等、データの保管場所を問わずデータ資産全体を可視化し、機密データの移動が行われても継続的な検出や保護が可能です。
Microsoft Purview インサイダーリスク管理
不要なデータコピーや認可されていないデバイスの利用など、内部関係者の悪意ある行動・不注意によるリスクに備える機能です。
ユーザーを仮名化した上でアクティビティを可視化し、問題の速やかな検知と対処を行います。
Power BI Pro
BI（ビジネスインテリジェンス）とは、企業の意思決定のための情報収集・蓄積・分析・可視化を行うサービスです。
Microsoft 365 E5のライセンスに含まれる「Power BI Pro」では、作成したレポートを組織内外のアカウントユーザーに共有したり、共同作業を行ったりすることができます。
Teams電話
Microsoft 365 E5では、Teamsを電話機のように使う「Teams電話」のライセンスが含まれています。
Teams電話スタンダード
Teamsから固定電話や携帯電話への発着信を行う機能です。
インターネット上に仮想の主装置を構築するクラウドPBXのため、パソコン・スマホ・タブレットで利用でき、専用機器を購入する必要はありません。
デバイス間での通話転送や複数名でのグループ通話も可能です。
電話会議
Teams会議に電話で参加する機能です。
インターネット接続が不安定な場合や手元にパソコンがない場合でも、電話機から指定の番号にダイヤルすればTeams会議に参加することができます。
また、会議に招待する際にもTeamsから直接ダイヤルすることが可能です。
よくある質問
Microsoft 365 E5に関するよくある質問をまとめました。
中小企業も導入できる？
Microsoft 365の大企業向けプランはユーザー数に上限がないため、中小企業でも導入できます。
法人向けMicrosoft 365のプランには、ユーザー数300人までの企業向け「Business Basic」「Business Standard」「Business Premium」等のプランもありますが、OneDriveやメールボックスの容量は大企業向けプランよりも少なく設定されています。
大容量のメールやファイルを扱う場合や、Microsoft 365 E5のみで利用できる高度なセキュリティ機能が必要な場合は、Microsoft 365 E5の利用を検討するのも良いでしょう。
E5がおすすめなのはどんな企業？
大企業での一般的な業務範囲で必要なアプリやサービス、セキュリティ機能は、Microsoft 365 E3ライセンスで一通り揃えることができます。
Microsoft 365 E5は、E3ライセンスのセキュリティ強化版とも言えるもので、監視対象サービスの追加・脅威への対応自動化など、より広範囲において迅速な対策ができるのが特徴です。
そのため、
- 個人情報や機密情報を扱う業務内容である
- 企業の規模が大きくIT管理者の負担が大きい
- コンプライアンスリスクへの対策を強化したい
- 安全かつ効率的なデータガバナンス体制を整えたい
このような企業の場合は、Microsoft 365 E5の導入をおすすめします。
記事まとめ
Microsoft 365 E5は、以下のような特徴を持つ製品です。
- 1ユーザーあたり5TBのクラウドストレージ、100GBのメールボックスが割り当てられる
- Office製品に加え、データ分析ツールやセキュリティ・コンプライアンス対策機能も含む総合的なオフィススイート製品
- 他製品を併用しなくても、これ一つでセキュアな業務環境が構築できる
- 従業員規模300人以下の中小企業でも導入可能
現在、Officeアプリと他の分析ツールやセキュリティ製品を別々に購入している企業様の場合は、Microsoft 365 E5に集約することでコスト削減・管理業務の効率化にもつながります。
Microsoft 365 E5プランのお見積もりや、自社に最適なプラン選びなどのお問い合わせは、本記事を監修しているNECネッツエスアイへお気軽にご相談ください。
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