NTTが提供するISDN回線「INSネット（ディジタル通信モード）」のサービス廃止が目前に迫ってきています。
この記事では、ISDN回線の概要とサービス廃止までのスケジュール、またサービス廃止を受けて必要となる企業側の対応等をまとめています。
ISDN回線に代わるおすすめのサービスも紹介しているので、現在もISDN回線を利用しているという企業様はぜひ参考にしてみてください。
Contents
サービス廃止が決定した「ISDN回線」とは？
まずは、2024年1月で廃止となるISDN回線の概要と、サービス廃止までの具体的なスケジュールについて詳しく見ていきましょう。
2024年1月でISDNサービス「ディジタル通信モード」が廃止に
「ISDN（Integrated Services Digital Network）」とはNTTが提供するアナログ回線を利用したデジタル通信網のことで、一般的に「サービス総合デジタル網」と呼ばれています。
1つの電話番号で2つの回線を使える点が大きな特徴となっており、音声通話とFAXおよびインターネット接続を同時利用できることから、1988年のサービス開始以降、個人・法人ともに広く利用されてきました。
NTTが提供するISDNサービスには、電話・FAXを利用できる「通話モード」とデータ通信を利用できる「ディジタル通信モード」の2種類があり、この内「ディジタル通信モード」については2024年1月でのサービス廃止が決定しています。
サービスが廃止される理由とは
「ディジタル通信モード」のサービス廃止の理由としては、“関連設備の老朽化”が挙げられるでしょう。
NTTからは、公衆交換電話網（PSTN）によるデータ中継・信号交換機の機能維持が2025年頃に限界を迎えること、また今後はデータ中継・信号交換機のIP化を進めていくことが発表されています。
更に光回線やスマートフォンが急速に普及して固定電話の使用率が大きく低下したことで、ISDNの利用者自体が減少している点等もサービス廃止に至った理由の1つと考えられます。
サービス廃止までのスケジュールをチェック
ISDNサービスが廃止されるまでの大まかなスケジュールは以下の通りです。
| 2017年10月 | 固定電話のIP網への切り替えが発表 |
|---|---|
| 2021年1月 | 他事業者との接続をIP網経由の接続に切り替え開始 |
| 2024年1月 | INSネット「ディジタル通信モード」および関連する一部のサービスが廃止（「通話モード」は継続利用可能） |
| 〃 | 固定電話契約の一斉引き継ぎと新料金の適応 |
| 〃 | 固定電話の発通話を順次IP網経由の接続に切り替え |
| 〃 | メタルケーブルを利用した通信システムの提供（補完策） |
| 2025年1月 | IP網経由の接続へ切り替え完了 |
| 2027年 | メタルケーブルを利用した通信システムの廃止 |
このように、2024年1月には「ディジタル通信モード」のサービスが廃止されるため、日々の業務の中でISDN回線を利用している場合は早急に切り替え対応を進めていく必要があるでしょう。
ISDN回線の廃止に伴う企業への影響とは？
続いて、ISDN回線の廃止が影響するサービスと、ISDN回線の契約有無の確認方法を見ていきましょう。
ISDN回線を使用している主なサービス
2024年1月で廃止される「ディジタル通信モード」はデータ伝送に特化した仕組みとなっており、主に以下のような専用端末を用いたセンター⇔エンド間通信で活用されています。
| 区分 | 利用用途（主な利用例） |
|---|---|
| POS（販売情報管理） | 企業の本部⇔店舗間のPOS端末通信 |
| CCT/CAT（信用照会端末） | クレジットカード会社⇔店舗間のCAT端末通信 |
| 警備 | 個人宅等から警備会社への監視映像通信 |
| ラジオ放送 | 屋内外からの番組中継、他局への番組素材配信、本社⇔送信所間の音声通信 |
| EB（電子バンキング） | 銀行⇔企業間のEB（振込・口座照会） |
| EDI（電子商取引） | メーカー⇔卸⇔小売間での商品受発注データ通信 |
| ビル管理 | ビル等における入口やエレベーターの監視映像送信・通報 |
| G4規格FAX | 主にコンビニのマルチコピー複合機によるG4規格FAX |
| 銀行ATM | 銀行のセンター拠点⇔店舗ATM間のデータ通信のバックアップ |
| 企業内WAN | 企業内ネットワーク（WAN）でのデータ通信のバックアップ |
| レセプトオンライン請求 | オンラインによる診療報酬等の請求データ（レセプトデータ）通信 |
これらのサービスを扱う企業ではISDN回線を契約している可能性が高いため、まずはISDN回線を利用している機器を洗い出してから、廃止後の代替サービスを検討・導入するという対応が必要です。
システムの切り替えには時間がかかるケースも多く、企業の信頼や事業存続に悪影響を及ぼさないためにも、早急に移行対応を進めることが求められています。
ISDN回線を使用しているかどうか確認するには
自社でISDN回線の利用があるかどうかを確認する方法は以下の通りです。
- 使用している機器の構成から判断する（ISDNの場合はTAもしくはTA＋DSU）
- NTTから送付される請求書を確認する（「INSネット通信料」の項目があればISDN回線を利用している）
NECネッツエスアイが提供するおすすめの代替サービス
ここからは、ISDN回線の切り替え先としておすすめしたいNECネッツエスアイのサービスを紹介していきます。
法人向け閉域SIM【ネッツワイヤレス】
ネッツワイヤレスは、インターネットを経由せずにデータ通信を行うことができる法人向けのモバイル回線サービスです。
ドコモ回線を使用したサービスとなっており、IoTやM2M用途としてセンサー・機器等のデータを取得したり、ISDNからの置き換え・代替回線として活用したりすることができます。
ネッツワイヤレスの主な特長は以下の通りです。
- 完全閉域網での利用が可能なため、社内LANと同じ感覚で安全かつ高品質なデータ送受信を行える
- 法人利用に適したトラフィック設計により、安定した通信速度を確保できる
- 法人向けに特化したプランやネットワーク構成案を多数展開しており、用途別に最適なプランを契約できる
60年にわたって培われてきたシステムインテグレーターとしてのノウハウを持つNECネッツエスアイなら、様々な要件に応じて柔軟な接続構成を提案することができます。
小規模構成から中・大規模構成へのマイグレーションも可能ですので、ISDN回線の代替サービスをお探しの企業様はぜひ一度ご相談ください。
ISDN回線の廃止を機に固定電話の扱いを見直すのもおすすめ
2024年1月で廃止される電話サービス（ビル電話・でんわばん・トリオホン等）を利用している場合は、「Zoom Phone」をはじめとする“クラウドPBX”の導入もおすすめです。
Zoom Phoneはオンライン会議ツール「Zoom」をベースにしたクラウドPBXで、PBXをクラウド上に配置することにより、管理費用や端末費用等のコストを抑えながら運用できるのが特長です。
多くの企業では、現在もオンプレミス型のPBX（ビジネスフォン）が用いられていますが、オンプレミス型PBXには以下のような課題・デメリットも存在します。
- 主装置の維持やメンテナンスに費用がかかる
- 機器管理に手間がかかる（社員の増減・配置替えに伴う電話機の追加や内線番号の変更）
- テレワーク等のリモート業務に対応できない
- 社員ごとの利用状況をリアルタイムで追うことができない
- 他のシステムやクラウドサービスとの連携に対応できない 等
近年は働き方改革の影響もあり、テレワークや在宅勤務等の導入によってオフィスが無人となるケースも増えてきています。
クラウドPBXを導入すれば、外出先や自宅にいながらオフィス宛の電話を受け取れるため、こうした柔軟な働き方にも対応していくことが可能です。
Zoom Phoneは番号ポータビリティにも対応できる（※条件あり）ため、固定電話の番号を変えずにクラウド移行を行いたいといった企業様はぜひ活用をご検討ください。
記事まとめ
- 2024年1月で廃止されるのはISDNサービスの「ディジタル通信モード」のみ
- ディジタル通信モードはPOSシステムやEDI等にも用いられているため、早急に切り替え先の検討を進める必要がある
- ISDN回線廃止後の移行先としては、NECネッツエスアイが提供する「ネッツワイヤレス」や「Zoom Phone」がおすすめ
NECネッツエスアイでは、本記事で紹介した「ネッツワイヤレス」や「Zoom Phone」をはじめ、企業のDXに役立つ様々なソリューション・サービスを提供しています。
個別の要件に合わせた最適なシステムの提案が可能ですので、ISDN回線の切り替えやその他デジタル活用のやり方でお悩みの企業様はぜひ一度ご相談ください。
※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
SymphonictとはNECネッツエスアイが提供する、「共創でお客様のビジネスに新たな価値を提供する」をコンセプトに先端技術やサービスを繋ぎ・束ねることでIT・デジタル変革技術やツール・システムを皆様にお届けするデジタルトランスフォーメーション(DX)サービス。→Symphonictに関してはこちら
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