近年「働き方改革」という言葉が注目を集めています。
とは言え、具体的に働き方改革とはどのような取り組みなのか、またいつから導入されるのかなど、よく分からない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、働き方改革とは何か、なぜ働き方改革が必要なのかといった部分をわかりやすく解説しています。
また働き方改革によって必要となる企業の取り組みや現在の課題なども紹介。
働き方改革とはどういう内容なのかを理解し、より自分らしく過ごせる働き方を探してみましょう。
働き方改革とは?施行で何が変わる?
働き方改革とは、多様化するライフスタイルに合わせた働き方を選択できる社会の実現を目指した政府による施策の1つです。
まずは、働き方改革が成立した背景や具体的な内容について詳しく見ていきましょう。
働き方改革関連法の背景と目的
働き方改革が成立した背景には、日本の社会が直面している以下のような問題があります。
- 少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少
- 長時間労働と過労死問題
- 副業や育児・介護との両立など多様化するライフスタイル
現在の日本では、少子高齢化によって深刻な人手不足が起きています。
また限られた人員で業務を行うため、長時間労働の常態化や過労死問題も依然解決には向かっていません。
働き方改革とは、これらの問題を解決し、多様な働き方の選択ができる社会の実現を目指して定められた重要政策なのです。
働き方改革の概要
働き方改革とは、正式には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と呼ばれる法整備のことです。
労働基準法をはじめとする、8つの関連法の改正を行うことを目的に定められました。
厚生労働省では、働き方改革に必要な取り組みとして、以下の7つを挙げています。
- 非正規雇用の待遇差改善
- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方ができる環境づくり
- ダイバーシティの推進
- 賃金の引上げと労働生産性向上
- 再就職支援と人材育成
- ハラスメント防止対策
中でも「非正規雇用の待遇差改善」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方ができる環境づくり」は3つの柱として特に重要視されています。
非正規雇用の待遇差改善
これは正社員と非正規雇用者(派遣・パートなど)の間にある不合理な待遇差を改善するための取り組みです。
賃金や福利厚生などの不合理な待遇差をなくし、非正規雇用者であっても十分なスキルアップができる環境を整えることが求められます。
働き方改革とは正社員だけでのものではなく、派遣やパートなど様々な雇用形態の方に関わる制度なのです。
長時間労働の是正
長時間労働は心身の病気を引き起こしたり、過労死につながったりする可能性を持っています。
働き方改革関連法では、時間外労働に対する罰則を設けるなど、より厳しい残業規制が定められました。
また年次有給休暇の取得についても、より厳密な管理と実施が求められるようになります。
柔軟な働き方ができる環境づくり
日本における職場環境の問題を解決するために、厚生労働省が推進しているのがテレワーク(在宅勤務)という働き方。
テレワークを導入することで、生産性の向上やストレスの減少などが期待されています。
働き方改革関連法はいつから施行される?
働き方改革関連法はすでに一部の施行が始まっています。
大企業と中小企業、また建設業や運送業など一部の業界で施行時期が違うので注意が必要です。
大企業と中小企業における主な関連法の内容と施行時期は以下の通りです。
施行内容 | 時期 |
---|---|
高度プロフェッショナル制度の創設 | 2019年4月 |
フレックスタイム制度の拡充 | 2019年4月 |
勤務間インターバル制度の努力義務 | 2019年4月 |
年次有給休暇5日の取得義務化 | 2019年4月 |
産業医・産業保健機能の強化 | 2019年4月 |
残業時間の上限規制 | 2019年4月(中小企業は2020年4月) |
同一労働同一賃金 | 2020年4月(中小企業は2021年4月) |
月60時間超の残業に対する割増賃金率の引き上げ | 2023年4月(中小企業対象) |
中小企業の課題と取り組み
働き方改革関連法が施行されることで、中小企業はどのような対応が必要になるのでしょうか。
最後に、今の企業が抱える課題と働き方改革での対策を紹介していきます。
業務内容や労働時間の見直し
企業が最優先すべき働き方改革への対策は、労働者の勤務管理です。
年次有給休暇の取得義務や残業時間の上限規制については、今回の働き方改革関連法で罰則が設けられました。
そのため、各労働者の勤務時間や有給休暇の管理、また残業時間の削減を目指した取り組みなどが必要となります。
すでに定着している働き方を変えることは簡単ではないでしょう。
働き方改革とはその名の通り改革であり、一時的な誤魔化しができるものではありません。
直前になって慌てないよう、今から施行に向けて準備を進めることが大切です。
ITを活用した柔軟な働き方
近年はAI技術の発展などにより、ITツールを活用した働き方改革を推進する動きも加速しています。
WEB会議システムを使って交通費や移動時間を削減したり、AIロボットを使って定型業務を自動化したりすることで、生産性の向上が期待できます。
まとめ:働き方改革とはワークライフバランスの維持を目指す施策
- 働き方改革とは2018年6月に成立した労働法の改正に関する政策のこと
- 残業時間の是正や多様な働き方の実現を目的とした内容になっている
- 企業は働き方改革関連法の施行に対する取り組みを進める必要がある
働き方改革とは、多様化するニーズに対応するための企業におけるガイドラインのようなものです。
きちんと内容を理解して取り組みを行うことで、長期的には企業そのものの業績向上が期待できるでしょう。
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